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サッカー豆知識

部活だけでなく勉強、挨拶、掃除、片付けも頑張ることで、人間としても大きく成長/多くのJリーガーを生んだ公立高校の指導哲学

公開:2018年2月28日

キーワード:Jリーガートレーニング公立高校凡事徹底川崎フロンターレ指導

圧倒的な強さで九州を制覇した大津高校

さる2月20日、平成29年度九州高等学校U-17サッカー大会決勝戦が宮崎で行われ、大津(熊本代表)が選手権3度制覇の強豪、東福岡(福岡代表)を3-1で破り優勝。3月15日にから福岡で開催されるサニックス杯国際ユースサッカー大会への出場が決定しました。

大津高校は熊本県大会でも選手権予選優勝校の東海大熊本星翔に9-0で大勝。準決勝では16年度選手権出場のルーテル学院高に7―0、準々決勝でも14年度選手権出場の秀岳館高に6―0で大勝。5試合52得点無失点という驚異的な成績で堂々の優勝を果たしました。

九州大会ではブロックリーグを1位通過。宮崎日大を4-1、筑陽学園を2-0、神村学園を2-1で下して3連勝。決勝トーナメント1回戦では、大分工業に3-1、続く準決勝・宮崎日大戦は4-0で勝利と盤石の戦いぶりで優勝を手にしています。

(記事提供:内外出版社、写真:井芹貴志)

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(「職業は教師。仕事は人づくり」と自認する総監督・平岡和徳氏)
<<多くのJリーガーを生み出した強豪校が練習を100分しかしない5つの理由

■仕事は人づくり 多くのJリーガー、日本代表を輩出した小さな町の公立高校

そんな大津高校は昨年のJリーグ王者・川崎フロンターレ谷口彰悟車屋紳太郎。また日本代表にも選ばれた巻誠一郎(ロアッソ熊本)、植田直通(鹿島アントラーズ)など、50名近くのJリーガーを輩出する名門校です。

有力選手をかき集めるスポーツ進学校だと追われがちなのですが、実は人口3万人ほどの小さな街の普通の公立高校でありスカウト活動も行っていません。

多くのJリーガーを輩出した背景には、「職業は教師。仕事は人づくり」と自認する総監督・平岡和徳氏ならではの指導哲学やスタンスがあります。

同校に行くと、渡り廊下の壁に書かれている「凡事徹底」の文字が目に入ります。これは同校で教頭を務めた平岡氏の書で、同校のスローガン。「当たり前のことを 人並み以上に 一生懸命にやる」という意味です。

それをさらに具体的にしたものが、入部とともに配れるプリントに書かれている【大高サッカー部の目指すところ】です。

■一、諦めない才能を育てるのがスポーツ最大の財産である。

「サッカーの技術は、自分から変わろうと思わなければ、そう簡単には上手くなりません。見えている所でのトレーニングだけではなく、見えない所でコツコツやらないと、技術の進歩はない。自らアクションを起こし、努力を続けた先に進化がある。諦めない才能とは、進化のための努力を続けていく才能のことだと考えています」と平岡氏。

ここで磨かれる「諦めない才能」は、高校を卒業し、大学を経て社会に出ても必ず役に立つものです。サッカーを通してそうした「生きる力」を磨き、高めて欲しいという思いが根底にあります。

熊本地震の際には、部員たちは片付けや清掃、復旧作業を積極的に行うだけでなく、地元の同級生や先輩、指導者のサポートを受けながら募金活動を行いました。またサッカー部の卒業生たちも、学校の枠を越えて街頭で募金活動をしました。

「ピンチは新しいものを創るチャンスだ」という平岡氏の指導をサッカー以外の場でも実践したのです。

■二、技術には人間性がストレートに現れる。

「技術があっても、それを使い分ける戦術や判断力遂行する体力、それを支えるメンタリティが必要。心・技・体はかけ算です。技術があっても心がゼロなら、かけ算をするとゼロになってしまいます。ピッチの中で起きている事象を見て、たくさんの情報を一気に取り入れないといけません」と平岡氏は言います。

平岡氏は赴任して以来、補講に引っかかったり赤点があったりする選手は、どんなに上手くても遠征などに連れて行きませんでした。

「授業で目と耳を鍛えていない生徒にいくら良いことを言っても、それは頭に残らない、ただの子守唄になってしまう」

よく見(観)て、よく聞(聴)く力は、サッカーでも欠かせない情報収集能力です。それは他者との関わりが求められる社会生活においても必要なことです。

「紙一重で勝利を引き寄せるには、日常生活から勝利の女神に認められるような行動をとらなければならない。日常的にぼーっとしている選手が、ピッチに出ていきなりすごいプレーができるなんてことはあり得ないと、私は思っているんです。」

サッカーを頑張るだけではなく、授業も当たり前に、ちゃんと臨む。寮の部屋や教室の棚を片付けることも、制服をきちんと着ることも、試合会場でバッグやシューズを整頓しておくことも同様です。

ある年には、野球部の応援に行ったサッカー部の生徒が会場周辺のゴミを拾って表彰されたことがありました。ゴミが落ちていれば拾うという行為が当たり前の習慣として普段の生活に定着しているからできたことでしょう。

「捨ててはいけない、から入るより、落ちていたら拾おうよと言う方がいい。拾うことが習慣になれば、その生徒はゴミを捨てなくなりますから、学校はすぐに綺麗になります。そういう作用・反作用を意識することも重要で、何から取りかかるかに大人のセンスが問われる。そこを見極めるのも指導者の仕事だと思います」

次ページ:喋らない子には『お前とはサッカーしたくない』と言う

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記事提供:内外出版社 写真:井芹貴志

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