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子どもたちが自由に笑顔でプレーできるようにしないとサッカーの未来はない /JFA リスペクトシンポジウム2021

公開:2021年9月13日 更新:2021年9月22日

キーワード:FIFAJFAセーフガーディングハラスメントリスペクトシンポジウム中村憲剛子どもを守る暴力暴言田嶋幸三

日本サッカー協会(JFA)は、子どもたちが楽しく、安全に、安心してサッカーに打ち込めるようリスペクト・フェアプレー委員会を中心に様々な取り組みを行い、暴力や暴言、ハラスメントのない健全なサッカー環境の実現を目指しています。

JFAでは毎年、Jリーグや各種連盟、地域・都道府県サッカー協会と協力し、スポーツの現場での差別や暴力に断固反対し、リスペクト(大切に思うこと)とフェアプレー精神を広く伝えることを目的とした活動を行っており、今年は9月10日(金)から19日(日)まで「JFA リスペクト フェアプレーデイズ2021」を設置しています。

その一環で9月11日(土)、「JFA リスペクトシンポジウム2021~子どもたちの明るい未来のために」をオンラインにて開催しました。

JFAの田嶋会長や現在JFAロールモデルコーチを務める中村憲剛さんが語った内容を紹介します。

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■田嶋会長「子どもたちが自由に笑顔でプレーができるようにしないとサッカーの未来はない」

第一部の基調講演では田嶋幸三会長が、9/12(日)に開幕したWEリーグに触れ「女性の社会進出が日本はOECD(経済協力開発機構)の中で遅れている。サッカー界から変えていきたい」とコメント。

そして「子どもたちが自由に笑顔でプレーができるようにしないとサッカーの未来はない。子どもたちの環境をプロテクトする。未来に責任を持つという事は、今いる子どもたちを大切にすることだ」と、子どもたちが安心してサッカーができる環境を守ると強く宣言。

また、「サッカーは男性だけのものではない」とし、子どもや障がいのある方、LBGTQの世界にも門戸を開きたいという意向も明かし挨拶を締めくくりました。

 

■FIFA「子どもを危害から守り、保護することは道徳であり法律」

今回のシンポジウムでは、特に子どもを守ることに焦点が当てられており、FIFAのセーフガーディングマネージャー(※)、マリー=ロール ルミナーさんは、FIFAがどれほどに子どもがサッカーに親しむ環境を大事に考え、大人による暴言や暴力といったハラスメントを根絶させるために尽力しているかをスライドで説明。

サッカーを愛し、プレーを続けるためには安全な環境を作ることが大事なことであり「子どもを危害から守り、保護することは道徳であり法律」であるとマリーさんは言います。また、ハラスメントの問題を根絶させるためには全員が当事者意識を持つことが重要であると強調しました。

※セーフガーディングとは、18歳以下の子どもたちや社会的弱者を、肉体的、精神的、心理的、性的虐待から守り、安心安全を高めることをまとめたプログラムで、各国が参考にしている。

 

■JFAはハラスメントに容赦なしの対処をする

JFAでも、もちろん子どもを守る活動に力を入れており、担当者から暴力等根絶相談窓口の現状報告もありました。

それによると、暴力暴言窓口への相談は2020年は109件でそのうちの47%が4種年代、内訳としては「暴言・威圧」が約50%とのこと。

近年は目に見える暴力は減少しているものの、その代わりに心にダメージを与えるような暴言や威圧の割合が増えています。これらのハラスメントに対して「ゼロ・トレランス」(容赦なし)で対処するというJFAセーフガーディングポリシーについて報告されました。

その中では、サッカーが持つ多面的な価値を言語化し、再認識するための指標作成などを行う予定であること、子どもたちにも自分のいる環境について意見を持ち、発信できるようになってほしいという願いも語られました。(環境について意見を持つとは「怖い指導を受けているから、いまのチームにいたくない」など自分の意見を言えること)

今年5月にはトライアルとして「JFAセーフガーディング・ワークショップ」を開催。暴力、体罰はダメ! で思考停止するのではなく、子どもたちが笑顔でプレーするために自分たちに何ができるのか、を考える場を設けたそうです。

また、中村憲剛さんらも参加したパネルディスカッションでは、JFAリスペクト・フェアプレー委員会委員長の山岸佐知子さんが、子どもたちの安心安全環境を作っていくためには、子どものころからのリスペクト(相手を大事に思う心)が大事では、という提言も。参加者たちも大きくうなずいていました。

 

■中村憲剛さん「自分が受けた指導を繰り返す指導者がいる」

現在JFAのロールモデルコーチを務める中村憲剛さんが参加したパネルディスカッションでは、子どもたちを守るために大人はどうすればいいかが話し合われました。

「暴力暴言指導は受けたことがない」という中村憲剛さんは、自信のサッカー人生を振り返り「指導者たちはサッカーが楽しめるようにしてくれた。子どものころから強制されることのない、主体的に取り組める環境で育ったから40歳までプレーできたと思う」とコメント。

サッカーだけでなく、家庭でもご両親が「大事なのは子どもの意思」というスタンスだったそうで、何事も「憲剛のしたいように」と意思を尊重してくれたそう。そのような幼少期から自分で考えて決めていたことも影響しているかもしれない、とご両親の姿勢についても言及。常に子どもの話を聞く耳を持っていて、本人が決めたことに口を出さないという、安心して意見が言える環境、保護者に見守られた安全な環境であったことを教えてくれました。

現在は指導に関わることも増えてきて、他の指導者を見て「自分が受けた指導を繰り返してしまう人もいるんだな」という事を実感することもあるそう。

子どもを守る、という当たり前ができていない人もいるという現状の課題はあるけれど、自分自身は子どもを守る大人になりたい、と意思を明かし「僕自身もこの活動をより多くの指導者、保護者に広めていけるように、みんなで一緒にやっていきたい」と今後もプロジェクトに積極的にかかわっていく姿勢を示すとともに、「暴力暴言指導を受けてこなかった自分らしい指導を子どもたちにしていきたい」と意気込みを語ってくれました。

 


FIFAのセーフガーディングマネージャーのマリーさんは、JFAの子どもを守る取り組みを、「十分にやっている」と高く評価。

日本の取り組みもまだ完ぺきではないとしながらも、できることをやっていくことが大事として、「この取り組みを継続してください。FIFAはJFAをサポートします」と力強く宣言し、会を締めくくりました。

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