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土のグラウンドでも結果は出せる。インターハイ準優勝校の"堅守速攻"のトレーニング

公開:2021年10月 4日

キーワード:インターハイ土のグランド米子北高校部活指導高校生

日本代表のDF昌子源選手(ガンバ大阪)らを輩出し、中国地方屈指の強豪校として知られるのが、鳥取県の米子北高校だ。
高校サッカー選手権大会には11年連続で出場するだけでなく、8月に福井県で開催されたインターハイでは準優勝。2017年から2年間は、高校年代最高峰のプレミアリーグに所属するなど、特筆すべき成績を残している。また、近年はFC町田ゼルビアで活躍するMF佐野海舟選手を始めコンスタントに高卒Jリーガーを輩出し、選手育成に関しても注目されているチームだ。(文・森田将義)

(COACH UNITEDからの転載記事です)

米子北高校のトレーニングDVD
詳しい情報はこちら>

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多くのチームが難しさを感じるチームの結果と個の育成を両立しているが、置かれた環境は決して恵まれているとは言えない。人工芝グラウンドで行う週1回のトレーニングを除けば、学校内にある土のグラウンドでトレーニングを実施。他の強豪とは違い、中学時代に輝かしい経歴を持つ選手もほとんどいない。それでも、伝統である堅守速攻を日々の練習から徹底して磨くことで、全国大会で活躍できる選手、プロへと羽ばたく選手が育っていく。
米子北のトレーニングには、同じような環境に置かれる公立高校やこれからの飛躍を目指すチームに役立つヒントがたくさんあるはずだ。そこで、今回は米子北のトレーニングをおさめたDVD「堅守速攻~守って攻め切るチーム作り~」の中から、練習の一部を紹介していく。

堅守速攻に欠かせないアプローチの速さは、ポゼッション練習の徹底によって磨かれる

躍進を果たした今年のインターハイでも、全員が連動して粘り強く奪ったボールを素早く相手エリアへと運び、ゴールを目指すスタイルが勝ち上がりを支えた。そうした"堅守速攻"の鍵となるのが素早いアプローチで、毎日の練習でも4vs2のボール回しを必ず行っている。
四角形のグリッドの四隅に立つ攻撃の選手が、DFに奪われないようボールを回すのがルールだが、メニューの狙いは2人のDFによる連動した守備にある。ボールに近い選手が素早く身体を寄せて、ファーストDFとなり、もう1人のDFがこぼれ球やインターセプトを狙う。堅守速攻に欠かせない切り替えの速さを養うため、練習でも奪ったら素早く攻撃へと移行して、パスを繋ぐ。

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DVD「堅守速攻~守って攻め切るチーム作り~」より

攻撃の選手を自由にさせないためには、ボールを受けた瞬間に素早くアプローチするのが、ポイント。当たり負けしないよう球際の強さを意識するのも忘れてはいけない。また、1人目で奪いきれなくても、2人目できっちり奪いきれるよう守備の選手同士が声を掛け合い、どちらを切るのか意思疎通を図るのも必要だ。
一見簡単に思えるかもしれないが、全国大会に出れば一瞬のミスが命取りとなり、チームの勝敗に直結してしまう。90分通して継続できるチームになるためには、選手全員の守備意識を高める必要があり、毎日のトレーニングを繰り返すしかない。選手が常に全力で相手にアプローチするようコーチングを続ける中村真吾監督の働きも参考にして欲しい部分だ。

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 発展形として行う3vs3vs3のボール回しも、守備のアプローチが重要となるが、4vs2と比べてより攻撃を鍛える意味合いが強くなる。
2グループ(6人)が攻撃、1グループ(3人)が守備に回り、6対3でボールを回すのがルールで、ボールを奪われたグループが守備のグループと入れ替わる。素早い守備の寄せを回避するためにはボールを持つ選手が、アプローチの逆をつくパスを出す必要があるほか、受け手となる周りの選手も常に動き続けて、パスコースとして使えるスペース作らなければいけない。また、常に次の展開を意識して、ポジショニングやボールの置き所をイメージできればテンポよくボールが繋がり、速攻に必要な攻撃の躍動感が生まれる。他にもDVDでは、速攻を磨くためのランニングパスやコンビネーションシュートなどを紹介している。中村監督や門脇章裕コーチの技術指導を含めて、参考になる点は多いので是非チェックしてみて欲しい。

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フィジカルトレーニングとケアも米子北を支える重要な要素

"堅守速攻"を具現化するためのトレーニングは、ボールを使ったメニューだけに留まらない。多数の外部コーチのサポートを受けて、フィジカル面も鍛えるのが米子北の強さの秘訣だ。
フィジカルトレーニングを行うのは、ザスパクサツ群馬や鹿児島ユナイテッドなどでの指導歴を持つ東輝明氏だ。現代サッカーでは時速24km以上の速度で走れる走力が求められているが、これは68mを10秒以内で走れることを意味している。週に1度のトレーニングでは、目標タイムを達成できるようランメニューを通じて、正しい足と腕の使い方を身体にしみ込ませている。他にも、20m、28m、35mといったショートスプリントのメニューも行うことで、堅守速攻のスタイルを具現化できる選手へと成長していく。

 ここまで紹介してきた強度の高いトレーニングをこなすためには、怪我をしない身体も重要になってくる。しなやかかつ強靭な身体づくりとケアのためのトレーニングを指導するのは、バスケットボールのBリーグ「島根スサノオマジック」でトレーナーを務めたことがある前谷涼子氏だ。

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DVD「堅守速攻~守って攻め切るチーム作り~」より

心身共に疲労が溜まっている試合後に行うのは、「ほぐしトレーニング」と呼ばれる足裏を指全体でほぐすトレーニング。足の指先まで丁寧にほぐすことで、翌日以降の練習に疲れを残さない。他にも身体の柔軟になる肩・肩甲骨のトレーニングや、身体のセンターラインのほぐし方など米子北が取り組む身体のケアは複数ある。DVDでは、2人の指導も余すことなく紹介しているので、ぜひ手に取って参考にして欲しい。

米子北高校のトレーニングDVD
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文・撮影/森田将義

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