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子どもの主体性に任せる指導は甘い? 厳しい指導を求める親も多い中、それでも楚辺SCが「サカイク10の心得」を実践する理由

公開:2025年4月 3日 更新:2025年4月 4日

キーワード:サカイク10か条バーンアウトポジティブな応援主体性保護者楚辺SC

皆さんはお子さんのサッカーで何を大事にしていますか。公式戦が始まる年代になると特にその傾向が強くなり、子どもより親が勝利を求めて熱くなったり、上手い子だけが試合に出続ける状況もまだまだあります。

サカイクでは、上手くなる、勝たせるの前に大事な親の心得10か条を提案していますが、サカイク的な考えに対して「弱いチームがやること」「下手な子が自信をつけるためにやることでしょう」といった考えを持つ方も少なくないようです。

SNSで「(サカイク10か条は)私達が大切にしたいこと。簡単なことのようで非常に難しい。けど、楚辺SCはこれを大事にしていく」と宣言している沖縄県の楚辺SC。

周囲のチームはまだまだ「強くしてほしい」「勝たせるための練習を」という声も多い中、どうしてそのような決意したのか、チームを創設した松田さんご夫妻に真意を聞きました。
(文・木村芽久美)

 

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(写真提供:楚辺SC)

 

関連記事:保護者とのコミュニケーションが希薄で、些細な諍いが絶えなかった大所帯チームを変えた、保護者と指導者の「10の心得」とは

 

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■中学でバーンアウトする子が多い中、「ずっとサッカーを楽しめるチーム」を作りたかった

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(写真提供:楚辺SC)

 

自身も社会人チームでプレーヤーとして仕事をしながらサッカー選手としても活動していた松田塁さん(夫、以下松田さん)は2019年に楚辺SCを立ち上げました。

きっかけは、お子さんが小学生年代、サッカーの活動でなかなか休みがなく、家族の時間が作れなかったこと、また中学年代までサッカーを続ける子たちが少なく、バーンアウトする(燃え尽き症候群)子が多かったことからでした。

「少ない練習でもサッカーを頑張ってできるような、余白のあるチームを作りたいと思った」と話す松田さんは、サカイク10か条を知った時「これこそ自分たちがサッカーを楽しむために大切にしたいことだ」と感じ、賛同したのだそうです。

 

■背景に根強くある、勝利のための厳しい指導や保護者の要求

バーンアウトの背景には勝利のための厳しい指導や、子どもが思考停止してしまうような言葉かけもあるのだと松田さんは話します。

かつての「部活動の厳しさ」を求める保護者も根強くいて、そういう保護者からすると、楚辺SCの考え方は、子どもたちにとって甘いという風に捉えられてしまっているのだそうです。

「最近指示でしか動けない、いわゆる『指示待ちの子ども』が増えているのを感じているんです。

大人が口を出して子どもを動かした方が、すぐに子どもたちの変化も見えるので、一見良いように思われがちですが、やっぱり子どもが成長していく上で、『本当の意味での成長』はないんじゃないかと思ったりもします。

確かに結果はすぐには出ないかもしれないし、遠回りしてるように見えるかもしれませんが」と、教員でもある妻の沢子さんは、子どもたちの主体性の大切さについて見解を示しています。

 

■サカイク10か条に賛同する保護者が増え、ポジティブな声かけをするように

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(写真提供:楚辺SC)

 

沖縄は地理的なことからも「変化を嫌う」閉鎖的な面も持っているのだそうです。

そのため、当初楚辺SCの考え方は「ニューフェイス的な感じ」として、すぐには受け入れてもらえなかったのですが、SNSを通じた発信などから、賛同してくれる人が徐々に増えたのだといいます。

また楚辺SCに入部する際、必ずサカイク10か条のチラシを保護者に渡すようにしていて「楚辺SCは、すごく大人の我慢が必要なクラブチームですよ」と説明しているのだそうです。

サカイクの発信は、保護者とも一緒に勉強していく上で良い基盤になっているそうで、サカイクの考えに賛同する保護者も増えていると言います。

試合会場でも、他のチームの保護者が「シュート出せ!」「パスしろ!」などと指示を出していると、楚辺SCの保護者からは「あっちはうるさいね〜(笑)」というような声を聞くこともあり、子どもたちへのポジティブな声かけも増え、考えが浸透してきていると実感しているそうです。

 

■沖縄という地域ならではの「機会格差」、サッカーを通じて子どもたちの世界を広げてあげたい

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(写真提供:楚辺SC)

 

昨年11月には佐賀県に遠征をし、サガン鳥栖の協力のもと、試合観戦やプロの選手との交流を図ることができたのだそうです。

「プロサッカー選手になりたいって言っている子どもたちもたくさんいる中で、沖縄だとまだまだ閉鎖的で色々な経験ができないんです。

子どもたちの世界を広げてあげたい、『もっと世界は広いんだよ』っていうのを子どもたちに感じてほしいという想いがあります」

離島という地理的な問題は大きく、全国に比べると幅広い機会が少ない「機会格差」があるといいます。

子どもたちが「楽しかった!」と言っていたことに加え、同行していった保護者からも、毎年続けてほしいと好評で、チームにとって貴重な経験が出来たと、引き続き続けていきたいと話しています。

 

■子どもたちが心からサッカーを楽しむために、普段から大切にしていることとは?

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(写真提供:楚辺SC)

 

サカイクの発信や10か条について、「大人の私たちも学び直しができるからありがたい」と松田さんは言います。

特に(1、子どもがサッカーを楽しむために最優先して考えよう)を実践するために、普段からどんな練習や活動をすれば、子どもたちが楽しんでくれるかと考えを巡らせているそうです。

教員である沢子さんは、普段から『失敗してもいいんだよ』という教室での雰囲気作りを心がけていて、(6、ポジティブな応援をしよう)が、まさに現場で大切にしていたことだったのだそうです。

「やっぱり子どもは大人のこと見ていますから。大人が子どものミスを咎めるような環境では、子ども同士でもそうなってしまうと思うんです」

楚辺SCでも同じようにポジティブな雰囲気作りをしていることで、子どもたちが伸び伸びとサッカーができていると実感していると嬉しそうに語ります。

 

■様々な取り組みへの工夫から、中学年代でサッカーを辞める子が一人もいなくなった

楚辺SCは子どもたちに合わせた試合や交流を重視しているため、リーグ戦を重視したり、4人制の試合を行ったり、サッカー協会に登録せずに自分たちで工夫してローカル大会を開いているそうです。同じ考えを持つチームは少しずつ増えてきているそうで、もっと賛同者を増やしていきたいと意欲を示しています。

このような活動が実を結び、楚辺SCの最初の卒業生である、現在中2の子どもたちは、全員今もサッカーを続けているといいます。

今後は子ども食堂とコラボレーションした大会やサカイクのサッカーノート導入を企画中とのことで、多角的に子どもたちがサッカーを楽しめる企画を考えているのだそうです。

試合の勝敗だけを意識するのではなく、大人が視野を広げることで、サッカーは子どもたちの世界を広げる良い機会にもなります。

本質的にサッカーを楽しむために、サッカーを通じて子どもたちの生きる力や主体性を育むために、あなたのチームでもサカイク10か条を配布してみませんか?

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構成・文:木村芽久美 写真提供:楚辺SC

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