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トレセンに選ばれるのはどんな子? 技術以外も見てるって本当? 親も気になる最新トレセン情報

公開:2026年3月13日

キーワード:セレクショントレセントレセン選ばれるナショナルトレセン伊東純也内田篤人日本サッカー協会

JFAユース育成ダイレクターの城和憲氏に聞く「トレセン」についてのインタビュー。

後編では、保護者の皆さんが気になる「トレセンに選ばれる選手の傾向」「選ばれなかった子の可能性」、そして「保護者の心構え」についてお聞きしました。

多くの方が抱いている不安や疑問の解消に、一役買ってくれることでしょう。

(取材・文 鈴木智之)

 

この記事の概要
・伊東純也選手や遠藤航選手らもセレクションにはあまり縁がなかった ・技術だけ見ているわけではない ・鈴木彩艶選手が「普通のこと」としてやっていること ・トレセンの本来の目的 ・子どもたちへのメッセージ ・保護者へのメッセージ ・選手としての成長は「日常がすべて」

トレセンの様子 ©JFA/PR

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■U-12からA代表まで上がる選手はわずか 伊東純也選手や遠藤航選手らもセレクションにはあまり縁がなかった

多くの保護者が気になるのは「小学生でトレセンに選ばれなかったら、プロになるのは無理なの?」という疑問です。

城氏は明快に答えてくれました。 「U-12からエリートコースで上がっていった選手で、A代表まで行く選手は実は少ないと思います。12歳でトレセンに選ばれたからといってプロになれるなら、みんなプロになれているはずです」

この言葉は、現在トレセンに選ばれていないお子さんを持つ保護者にとって、大きな安心材料となるでしょう。

「成長のタイミングや、いつどこで、どのような刺激で伸びるかは全くわからないんです。だからこそ、12歳でトレセンに選ばれなかったからサッカーをやめるのではなく、成長と共に続けていくことが、その子の可能性を広げることにつながると思います」

実際、現在のA代表を見ても、幼少期からトレセンに選ばれ続けていた選手ばかりではありません。伊東純也選手遠藤航選手など、セレクションにあまり縁がなかった選手でも、日本代表のユニフォームを着て活躍しています。

 

■トレセンでは技術だけ見ているわけではない、サッカー協会が重視する「人間性」とは

トレセンの様子 ©JFA/PR

 

サッカーの技術だけでなく、人間性も重要視されるトレセン。12歳という年齢では、どのような点が評価されるのでしょうか。

「トレセンは1日だけの活動なので、チームとは違って深くまで、その選手を見るのは難しい部分があります。でも最終的に残っていく選手は、パーソナリティのある選手だと思います」

具体的には、どのような点を見ているのでしょうか。

「基本的なところでは、しっかりと挨拶ができること。当たり前のことですが、できない子も多いです。あとは自分の意見をちゃんと言える子。もちろん。初対面の選手やコーチとコミュニケーションを取るのが苦手な子もいますが、そういう子を排除するわけではありません」

城氏が強調するのは「排除しない」という点です。

「できる子は褒めて評価し、できない子にはトライをさせる。成長していく上で、できるようになる子もたくさんいます。我々はパーソナリティの大切さを、講義を通しても伝えています」

 

■鈴木彩艶選手は荷物の片付けや運搬を「普通のこと」としてやっている

興味深い例として、鈴木彩艶選手のエピソードを紹介してくれました。

「鈴木彩艶選手は、荷物の片付けや運搬を率先してやっています。ワールドカップのアジア予選が終わった後、一人でロッカーをきれいにしている姿をスタッフが見かけて、『試合に出ている選手なんだから、やらなくていいよ』と言っても、それが普通だと思ってやり続けていたそうです。そういった選手が最終的には、世界のトップになっていくのだろうと考えさせられましたね」

 

■トレセンの本来の目的は「お山の大将」にどう刺激を与えるか、成長のきっかけを与えること

トレセンの本来の目的である「お山の大将状態の子への刺激」について、城氏はこう説明します。

「チームでは普段できていることが、トレセンに来て周りのレベルが上がると、できなくなります。そこで心を折るために呼んでいるのではなく、『もっとやらないといけないんだよ』『もっとやったらサッカーが上手くなるし、楽しくなるよ』ということを伝えることも、トレセンの意義のひとつです」

重要なのは、挫折を与えるのではなく「気づき」を与えることです。

「選手自身が気づいて壁にぶつかった時に、指導者が寄り添ってあげる。そうすると、できなかったことができるようになるための努力をして、それが達成できた時に、またサッカーが楽しくなる。トレセンでは、そういった気づきを与えていきたいと思っています」

 

■トレセンに選ばれたからと言って将来が保証されるわけではない

最後に、城氏から子どもたちに向けて、メッセージをいただきました。

「トレセンに1度選ばれたからといって、将来が保証されるわけではありません。これは日本代表も同じで、常に競争があり、選ばれていない選手の方が、強い気持ちを持って、その座を狙っています。しっかりと目標を持って、そこに向かって突き進んでいくことが大切です。日々の結果に一喜一憂することなく、自分の夢に向かって進んでほしいと思います」

現在、トレセンに選ばれていない子には、次のように語りかけます。

落ち込む必要はありません。まずはチームの活動を通して、サッカーを楽しみながら成長していってもらえれば、必ずトレセンのような場に出会えると思います。諦めることなく楽しんで、サッカーの練習をたくさんしてほしいです」

 

■サッカーを楽しむことが一番の成長につながる

そして、保護者の方々にもメッセージをいただきました。

「子どもたちがサッカーを楽しんでやることが、一番の成長につながります。最初は『サッカーがしたい』と言って楽しそうにしていた子が、いつしか練習に行くのが苦痛になってしまうのは、いろんなことを教えられすぎたり、プレッシャーを与えすぎたりするからです」

「毎日サッカーに行くのが楽しければ、みるみる成長していくと思います。トレセンに選ばれなくても、代表に入っている選手はたくさんいます。保護者の皆様には、子どもたちが好きなことを精一杯できる環境を作ってあげてほしいと思います」

 

■トレセンは刺激を与える場、選手としての成長は「日常がすべて」毎日を大切に過ごして

城氏が最も伝えたいメッセージは「日常が全て」ということでした。

「トレセンは刺激を与える場であり、選手を排除したり、選ぶためのものではありません。トレセンに選ばれなかったからどうこうではなく、サッカーを続けていく限り、可能性はあると信じて、日常を大切に過ごしてもらえればと思います」

トレセンは「選び抜くシステム」ではなく「可能性を広げるシステム」であることが、このインタビューから見えてきました。

大切なのは、お子さんがサッカーを楽しみ、継続することです。保護者の皆さんも長期的な視点で、お子さんの成長を温かく見守っていただければと思います。

* *

城 和憲(じょう かずのり)
現在JFA ユース育成ダイレクターとして、全国の育成年代を対象とした育成事業全体の統括を担当。
主な経歴 ・鹿児島実業高校サッカー部に所属
・高校卒業後、1年間オランダへサッカー留学
・帰国後、鹿児島ユナイテッドの前身チームで約2年間プレー
・JFL・ホンダロック(現ミネベア アクセスソリューションズ)にて、社員選手としてプレーし、監督も務める
・2019年より日本サッカー協会(JFA)に所属

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取材・文 鈴木智之

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