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【サッカーの物語】岡崎慎司選手の原点‐神戸ウィングスタジアム

公開:2011年4月 4日 更新:2011年5月12日

キーワード:メンタル高校サッカー

 いまや日本代表のエースストライカーとして、存在感をあらわしている岡崎慎司選手(シュトゥットガルト/ドイツ)。彼と幸福な関係を築いているスタジアムがあります。それが神戸ウィングスタジアム(現・ホームズスタジアム)。

 2002年の日韓ワールドカップで使用するために、2001年に作られたこのスタジアムは、彼が滝川第二高校2年生の2003年に、ヴィッセル神戸のホームスタジアムとして、グランドオープンを果たしました。 この真新しいスタジアムの寵愛を受けたのが、「神戸ウィングスタジアムに最も愛された男」こと、岡崎慎司選手でした。

「もう特別ですね。唯一無二のもの。滝川二で過ごした3年間はあまりにも濃すぎたんです。その濃さがさらに凝縮されたものが選手権。『全国高校サッカー選手権大会』という憧れの大会の切符を手に入れるための決勝となったら、(高校3年間の)すべてが映しだされるということじゃないですか。高校サッカーは県予選決勝にその"すべて"がある。だからこそ県予選決勝を戦う場所は、物凄く強い思い出が残るんです。不動の存在になればなるほど、そのインパクトはいつまで経っても残り続けるし、今も高校生たちを魅了し続けるのだと思います。それこそが『聖地』たるゆえんだと思います」

 2003年のインターハイ兵庫県予選決勝。この試合で彼は初めてこのピッチに立つと、1-0からチームの2点目となるゴールを挙げました。このゴールが岡崎選手とウィングスタジアムの幸せな関係の始まりになったのです。 そして、彼の人生にとって忘れられない出来事が起こりました。それは同年の第82回全国高校サッカー選手権大会兵庫県予選決勝戦。 市立尼崎と対戦した滝川二は、岡崎選手をケガで欠き、苦しい試合となっていました。この大会の直前で右足首を捻挫した岡崎選手は、ずっと試合に出られないまま、ベンチを温め続けていた。2点を先行される展開の中、ハーフタイムに声がかかります。

「慎司! 行くぞ!!」 この大会で、岡崎選手にとっての"初出場"は、最大の山場で訪れたのです。足の痛みは若干あったものの、時間の経過と共に敗色濃厚となっていくチームの中で、彼は必死に勝利へ向けて全力疾走し続けました。 1点を返し、1-2で迎えた後半ロスタイム。先輩たちが繋いだボールが、ペナルティエリア外で待つ岡崎選手の下へ。無心ではなったシュートは、ゴールバーを直撃し、激しく真下に叩きつけられて、ゴール真上に突き刺ささりました。 「普通は絶対に入らないゴール。あの時初めて、『入っちゃうんだ』という感覚を経験した。あんなゴールは本当にない。そう考えると、僕はあのスタジアムに愛されていたと思います」 起死回生の同点ゴールで追いつくと、延長戦で逆転し、滝川二は優勝を飾りました。さらに翌年のインターハイ予選決勝、選手権予選決勝でもゴールを奪った岡崎選手は、ウィングスタジアムで4試合5ゴールという結果を残しています。

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