■関わる過保護と先回りの過保護
― サッカースクールなどを通じて、親御さんに思うことはありますか?
いまは「病気にならないように」「もめないように」と、いろいろと先手を打って回避させるようにする親が多いです。関わる過保護はいいと思いますが、先回りの過保護は正直どうなのかなぁと感じています。親は先をわかっておいた方がいいですが、わかったうえで回避せずに失敗を経験させることは大切なのではないでしょうか。試合中にチームメイトともめても、小学4年生くらいまでは許されるのではないでしょうか。ピッチの中の問題ならピッチの中で解決できると思っています。チーム内で修正できる範囲というのがありますし、学校生活では許されないかもしれませんが、スポーツの中だから許されることと言うか。サッカーを通じてそういう友達との付き合い方の経験を積んでほしいですね。
― 父親のポジションはどこだと思いますか?
親はポジションを子どもの年齢や性格によって変えていく必要があると思います。小学生でも低学年、中学年、高学年で違います。子どもの求めていることをキャッチして、自分のポジションを変えながら付き合うことが大切だと思います。時には父親が子どもの目線になることも必要でしょう。規律やルールをきちんと身に付けさせるなら、父親らしくビシッと接することが大切ですし、勝つという意欲を付けさせるのであれば、プロセスを評価する際に、子どもの目線に立つことも必要だと思います。大人の目線だと上からというか、どうしてもきつくなってしまうことがありますから。そして、母親は一緒にいる時間も長いですし、生活に結びつけた意見を言える、そういうポジションで接するといいんじゃないでしょうか。文武両道ではないですが、生活に結びつけてプレーに意見を言ってみる。目標を持っていれば、規則正しい生活を送れると思います。親は監督でもあるけれど、一緒にプレーするチームメイトであったり、サポーターであったりします。ポジションにこだわらず、ポリバレント(多機能)な選手になれるように、がんばりましょう。
北澤豪(きたざわつよし)
中学時代は読売サッカークラブ・ジュニアユースに所属。修徳高校卒業後、本田技研工業株式会社に入社。海外へのサッカー留学・日本代表初選出を経て、読売クラブ(現東京ヴェルディ)へ。日本代表としても多数の国際試合で活躍(J1リーグ戦264試合・日本代表国際Aマッチ59試合)。03年現役を引退。社会貢献活動にも積極的に取り組み、サッカーを通じて世界の子ども達を支援できる環境作りを目指している。現在は、日本テレビ系「NEWSZERO」NHK・Eテレ「やさいの時間」などに出演中。(財)日本サッカー協会理事兼国際委員、日本フットサルリーグCOO補佐(最高執行責任者補佐)JICAオフィシャルサポーターとしてサッカーのさらなる発展・普及に向けての活動を行っている。
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取材・文/前田陽子 写真提供/FOOTサッカースクール