■日本とイタリアの子どもたちの違いとは?
――ちなみにルカコーチはイタリアでどのような年代を指導していたのでしょうか。
主に14歳以下のプロチームの責任者として、セレクションを開催したり、トレーニングメニューを考えたり、どういう選手を獲得すべきか、などを統括する立場にありました。もっと昔に遡れば、身体のコーディネーションに特化したフィジカルコーチを務めていた時期もあります。最初はキエーヴォ・ヴェローナ、その次に訪れたエーラス・ヴェローナでの仕事が評価されてACミランに入ることになりました。
――イタリアと日本の子ども、主にU12世代をみて率直に感じることはどんなことですか?
イタリアの子どもは、日本の子どもに比べてチャレンジをして、失敗することを恐れません。どんなときでもボールを持ったらまずシュートを狙います。1対1ではまず仕掛けること、チャレンジすることを優先します。ディフェンスの選手も危険な地域であっても勇気を持って相手にアタックすることができます。日本の子どものほうが技術的な部分でスピードがあったり、個人技も素晴らしかったりしますが、パーソナリティが欠けていると感じます。
日本の子どもたちは、内気だったり大人しい。それは、グループで規律正しくプレーできる強みでもあるかもしれませんが、モチベーションを上げるようにこちら側から仕向けてあげないと練習に入っていけないところもあります。つまり、自分の気持ちをさらけ出せないのです。だからこそ、コーチから積極的に話しかけて、その子どもの内側にある感情を外へ出せるように、背中を押す必要もあると感じています。
――しばらく日本で指導をされてきて、ACミランスクール佐倉校の子どもたちに変化の兆しは見えていますか。
もちろん。ぱっと見ただけでも変わったのがわかるくらい、この数ヶ月で大きく変わりました。ゴールのあとに喜びを爆発させたり、ピッチのなかでの感情表現、とくに笑顔が増えたことは顕著です。笑顔でサッカーを楽しむことは、モチベーションにつながります。サッカーに対するモチベーションが高ければ高いほど成長するスピードは早くなります。だから、この2~3ヶ月という短期間で子どもたちが変わっていった姿は見ていて楽しいです。
――それはルカコーチの声がけがポイントだったのですか?
こちらから話しかけることは非常に大事で「ゴールが入ったら喜ぼう」「怖がらずにいろんなチャレンジをしてみよう」「失敗してもいいんだよ」とずっと声掛けしてきました。そうすることで、子どもたちのほうから話しかけてくることも増えましたし、子どもたちの表情から明らかにサッカーを楽しんでいることを感じるようになりました。サッカーをしていく過程でコーチの指示に従うだけでなく、子どもが自分で判断して考えること、そして、勇気を持って考えたことにチャレンジすることが大事なポイントだと思います。
【告知】
【この記事を読んだ人にはこちらもオススメ!】
取材・文/杜乃伍真 写真/田川秀之