■"人との違い"を尊重(リスペクト)するために
人と違うことに対する偏見や差別、私たちの日常にも潜む問題ですが、ジャイヤ選手はトランスジェンダーのサッカー選手であることが“特別視”されること自体に違和感があると言います。
「世界中の事情や状況を知っているわけではありませんが、W杯予選に出場したことが大きく取り上げられてニュースになるとは思っていませんでしたし、私がW杯予選に出場したはじめてのトランスジェンダー選手ということも知りませんでした。サッカーは誰でも同じようにプレーでき、誰にでも平等に機会が与えられる素晴らしい競技だと思っていたので、そのことを知ったときは悲しい気持ちになりました。最近FA(イングランドサッカー協会)がトランスジェンダーの選手に門戸を開くことを発表しましたが、FIFAもこうしたルール整備や差別を禁じる基準を設けるべきだと思っています」
トランスジェンダーに対するFAの取り組みが報じられた際に「男子選手並みのフィジカルを持つ選手が女子としてプレーするようになったらどうなる?」という疑問も出たそうです。このことについてジャイヤ選手は「自分としては体のことをもっと勉強しないと正確なことは言えませんが」と、前置きした上で、ご自身の考えを語ってくれました。
「選手として思うのは、ホルモン治療を受けて女性的な身体になったとしても、自分自身が女子代表としてプレーするのには抵抗があります。すでに男子代表としてプレーする私が、これから代表を目指す女の子のポジションを奪うのはフェアではないと感じるからです。女の子たちの夢を奪うことはできません」
横浜は上映終了も、札幌ならまだ間に合う!!
3月14日(土)サッポロ・フットボール映画祭2015開催
取材・文 大塚一樹