こころ
「なんでできないの?」ではなく「おー、そう来るか」年間2万人の子どもをみる子育てのプロの思考
公開:2015年10月30日 更新:2021年1月27日
■期待は親の勝手な願い!すべては子どもが決めること
『つながり隊』の活動をするうえで、福中さんはこのような思いがあるそうです。
「つながり隊の活動は、授業自体は子どもが受けますし、子どもにやるんですけど、学校の先生や親にも刺激を与えたいんです。大人が変わらないと子どもは変わりません」
では、実際に大人はどう変わればいいのでしょうか。福中さんが『つながり隊』の活動をつづける中で心がけていることがあります。
「『できへん、なんでや?なんでできへんねん!』じゃなくて、『おー、そうくるか?』そういうスタンスを大事にしてます。できないことがおもしろいんです。『じゃあ、今度はこう行こか』となるんです。『なんでできへんねん!』だと、親が失敗につきあえなかったり、我慢できなくなるんです。それは期待しているからなんですよね。期待は、親が勝手にするものです。どうなるかは子どもが勝手に決めますから」
それを聞いてハッ!としました。わたしも子どもに期待しています。「こうなって欲しい」と思っています。こんな職業について欲しいとか、大金持ちになって欲しいとか、そんな期待はまったくありませんが、「自分のやりたいことを実現していく力をもった人間になってほしい」「困難にぶち当たった時に自分で乗り越えられる力のある人間になってほしい」「思いやりのある人間になって欲しい」という期待です。おそらく、親なら誰でも抱いているのではないでしょうか。でも、それもこれも親の勝手な思いなんですよね。
「期待したところで、子どもはそうはならない」
親の期待とはまったく違う方向に行ったり、親の期待を上回るような人間になることだってあるでしょう。
そんな期待しすぎの親であるわたしに、福中さんは「その状況や関係性を楽しんでみては?」 とアドバイスしてくれました。実際に福中さんの指導を見て学んだ一つが問いかけや対話です。「どうしたらいいと思いますか?」「やってみてどうでしたか?」など、ひとつのメニューをする度に、そういった問いかけを子どもたちにしていました。
「ぼくらは『絶対こうじゃないといけない!』という答えは持ってないんです。どう考えるかが大事なので、いつも答えを持たずに関わるように心がけています。やってみて聞く。対話していくことが大事。子どもにどうなってほしいのか。子どもに自分でできるようになってほしいと思ってるわけですよね。じゃあ、どんなアプローチがいいですか? 大人が介入しちゃうと、結局は大人が決めているわけで、大人がいなくなったらできなくなります。自分でできるようになるには、子どもが自分で気づくしかないんですよね」
人に言われて教えられたことより、自分が身を以て体験したことのほうが、ずっと覚えているし身についていると、わたし自身の過去を振り返ってもそう思います。子どもが自分で気付き、自分で考え自分で決断できるような関わり方。これが重要なんです。手取り足取り、一から百まで教えても、それはただ成功に導いているだけ。その過程でどう考え、どう選択してどう決断するかが大切。
「選び方がわからなかったり、どう選べばいいのかわからないようなら、ある程度選ぶものを限定してあげればいいんです」と福中さんは言います。
乗り越えるのはあくまで子ども自身、選ぶのは子ども自身という関わり方をしていきたいなとわたし自身が感じました。大人が変わらないと子どもは変わらない。大人が変われば子どもは変わる。そう肝に銘じ、子どもと接したいと思います。
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