■ひとつひとつのトレーニングの積み重ねが大切
とはいえ、ただ手をこまねいているだけではなかなか改善の兆しが見られないのも事実です。身のこなしに問題があるから走り方や走る練習から始めようとされるコーチもいるかもしれません。とりあえずは徹底的に基礎練習ばかりをさせようという考えもあるかもしれません。どのように練習を組み立てた方がいいか。これに関してクラウスは次のようなヒントをくれました。
「サッカーのトレーニングはもちろんいつでもボールとともにトレーニングされるべきだ。でも本当に基本的な運動ができない子どもがいる場合、あるいは他と比べて差が大きい場合は、別の取り組みをすることも大切だ。そもそもサッカーのトレーニングはいずれもコーディネーションが要求されるもの。でも子どもたちによってはボールをつかってのトレーニングが難しいということもある。ぼくだったらウォーミングアップの時間に10~15分間、コーディネーションの練習を取り入れることをおすすめする。すぐになにかが改善されることはないが、数週間、数か月続けていけば動きも変わってくるはずだ」
「うまくいかないからとボールを使わないで走らせたり、運動させたりするだけの練習はありえないよ。プロの下部組織のように週に何回も練習ができるならそうした特別な練習をさせることもできるだろう。でも、普通のアマチュアクラブのように週に1~2回しか枠がないのに、それが走りの練習だけで終わったりしたら、子どもにとってこれ以上残念なことはない。走る練習がしたいなら陸上クラブに行けばいい。サッカークラブの練習としてつねにサッカーをする機会を与えなければならないんだ」
一日のトレーニングですべてが改善されたり、劇的な変化が見られることもありません。しかし、一つ一つのトレーニングの積み重ねが大きな成長に結びつくように、一人一人と向き合い、知恵を絞り、導いていくのがコーチの仕事なのです。
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取材・文 中野吉之伴 Photo by Chip Griffin