■サッカーがうまくない子にだってポジティブな要素は存在する
どんな子どももいいプレーをしたいと思っているし、ミスなんかしたくないと思っているはずです。でも、一緒に練習していると比較的すぐにできる子もいれば、なかなかうまくいかない子もいます。そうした子とミニゲームの組み分けなどで一緒のチームになりたがらないこともあると思います。そうした時にはどのような対処が必要だと思いますか?
「子どもはよくも悪くも正直だ。思ったことをすぐ口にしがち。最近ぼくのサッカースクールにすごく太っている子どもが来ている。サッカーもうまくはない。すると、練習でミニゲームをするときにどんなことが起こると思う? チームを分けているときにその子がビブスをもらうと、ビブスチームの子が『えー、これでもう勝てないよ』と騒ぎ出すんだ」
そこでクラウスは、すぐに子どもたちを集めてこう伝えたそうです。
「たしかに彼は太っているよ。サッカーもまだそこまでうまくできない。ミスもしてしまうだろう。そのことを彼も自分でわかっているんだ。じゃあ、彼は『サッカーはうまくないしむいてないから』と家に引きこもって、テレビの前でプレイステーションばかりやっているのか? 違うだろう。彼はこうしてトレーニングにきているんだ。みんなとサッカーがしたくて、練習がしたくてここにきているんだ。その勇気を、その思いを、ぼくは本当に素晴らしいことだと思う」
子どもたちはすぐに『そうだよね、ごめんね』といって謝ったといいます。
「その太っている子も監督が自分を支えてくれることを感じて、練習にきていることをほめてもらえたから、すごくうれしそうに楽しそうにサッカーをしていた。その日のミニゲームには負けてしまったけど、それでも彼は、そしてほかのみんなも、すごく大きなものを勝ち得たんだ」
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取材・文 中野吉之伴