■スキルだから身につけられる。だから聞き上手にもなれる!
關本さんが話す「NURSE」というコミュニケーションスキルには納得する部分が多く、保護者や指導者が実用的に使えることが多々ありそうです。その理由を考えると、看護師とお母さんお父さん、あるいは看護師と指導者との間に“心に寄り添う”という共通することがあるからです。
「私はこれまで、たくさんの重い病を抱える患者さんとそのご家族と関わってきました。怒りや悲しみといった心にある感情は聞かなければわからないし、それぞれの方にある背景を知らないとその気持ちに本当には寄り添えないんです。話し上手よりは聞き上手になることが大事だし、聞く姿勢を持たなければ相手は心を開きません」
「たとえ親子の間であってもコミュニケーションをとる時は“場の設定”が大切です。二人で向き合って話す。背景の音をなくした状態で話す。そういう環境作りをあらためて行うことが言葉のキャッチボールにつながります」
「意外かもしれませんが、沈黙も大事な要素です。それは自分と向き合っている時間ですから。もしお子さんが少し黙って言葉に詰まったとしても、親御さんが『ごめんね、答えにくい質問で』や『黙ってしまったのはどうして』などと、優しく言葉をかけてあげたらまた話を始めるはずです。待つ姿勢(聞く姿勢)は親御さんにも指導者にも必要なことだと思います」
“待つ姿勢”を持つには、大人側にも“心のゆとり”が必要です。よく子どもと一緒に親も成長すると言いますが、何事も最初から完璧にできる人なんていません。關本さんは取材の中で、保護者や指導者の背中を押すようにこんな言葉を発していました。
「スキルは能力ではなく、技術だから身につけられるものなんです。聞く姿勢を持つ、タイミングを図る、場所を選ぶ――。親御さんも子供たちと同様、一つずつ振り返って一歩一歩前に進んだらいいと思います。私も失敗だらけでしたから(笑)」
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文:木之下潤