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勉強と進路

元浦和レッズ西野努さんが語る 絶対に勉強もやった方がいい理由

公開:2014年3月17日 更新:2014年3月18日

キーワード:文武両道

「いまはサッカー界の将来、日本の将来を担う子どもたちの教育、育成にいちばん興味があります」

 文武両道、頭脳派として知られるサッカー選手は数多くいますが、ビジネスの世界でも結果を残している選手はまだ少数派です。浦和レッズで9年プレーした西野努さんは引退後リヴァプール大学でフットボールMBAを取得。ビジネスの世界で活躍し、現在は自ら起業を果たし、スクール事業などを手がけています。
 
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イギリスへ留学していた頃の西野努さん(写真右)
 
 今回は西野さんに“文武両道”が当たり前だった学生時代から現役時代、そしてビジネスの世界に身を投じた新たな挑戦についてお聞きしました。
従来のJリーガー像とはひと味違うセカンドキャリアを先取りしてきた西野さんが語るこれからプロを目指す子どもたちへのアドバイスとは?
 

■指導者なし 自分たちで考えるしかなかった学生時代

 県内有数の進学校から神戸大学へ進学。サッカーと勉強は「どちらかひとつという感じではなかった」という西野さんは、本人曰く特に目立った選手ではなく、勉強もして、部活でサッカーを一生懸命やるごく普通の学生だったと言います。
 
「同世代のうまい選手は別次元。高校の部活でも大学でも、いわゆるフルタイムの指導者はいない環境でした」
 
 プロを意識しはじめたのは、大学4年生のときにガンバ大阪の練習に参加させてもらってからという西野さんですが、当時の経験はプロに入ってからも役に立ったと言います。
 
「環境的に恵まれた場所にいたわけではありませんし、全国大会出場経験があるわけではありませんでしたが、高校、大学時代を通して、チーム全員で考えながら練習をしたこと、そこでの工夫はプロになってからも役に立ちました」
 
 周りに教えてくれる人がいない分、考える力が身につく。西野さんたちは「うまくなりたい」一心で、サッカーを自ら学び、自然に行動を起こすようになります。
 
「地元・関西の名門ヤンマーの練習を見学にいって練習内容を真似したり、選抜の練習を取り入れたり、強豪チームのウォーミングアップをみんなで観察したり・・・とにかくチームみんなでどうやったらサッカーがうまくなるかを純粋に追い求めて工夫をしていました」
 
 情報が溢れているいまとは違い、実際に足を運ばなければ練習方法さえも知ることのできない時代です。西野さんの脳裏には当時日本に紹介され始めたクーパーコーチングのビデオをすり切れるまで見たことが焼き付いているそうです。
 
「インターネットで何でも調べられる今の環境は素晴らしい。うらやましいですが、自分の目で見て、体感して実感することも大切。遠回りだったかもしれませんが、曲がりなりにも9年もプロの世界でプレーできたのは、この頃の考える習慣、工夫する力があったからだと思います」
 
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2001年のヴィッセル神戸戦にて(後列左から2番目が西野努さん) ?URAWAREDS 
 

■文武両道の元Jリーガー 絶対に勉強もやった方がいい

 思いがけずプロ選手への道が開けたのはJリーグ誕生前夜。日本中が空前のサッカーブームに騒然としていた時代のこと。
 
「実は1年目はシーズン途中にケガをして大きな挫折を味わいました。だからあの本当のバブルというか、きらびやかな感じは外から眺めていたイメージが強いんです。いま思えばそれも良かったのかなと思うんですが、自分を客観的に見てプロで生き残っていくために何をすべきかがわかりました」
 
 進学校から大学へ、大学卒業後は「税理士になろうと思っていた」という西野さんは「知的なサッカー選手」の代名詞ですが「勉強と頭の良さ」については、現役のJリーガーたちに言いたいことがあるといいます。
 
「サッカー選手のなかには『成績悪かったんですよ』『頭悪いんで』なんていう選手もいますが、プロで活躍する選手はみんな頭が良いんですよ。学校の勉強をしてこなかったかもしれないけど、毎日が勝負と言ってもいいプロの世界で、自分で考えて成長していくとか、高度な戦術を理解して効果的なプレーをするとか、頭が悪くてはとてもできません」
 
 そうした選手たちを見るたび、西野さんは勉強を捨ててサッカーを選ぶというこれまでの考え方が「もったいない」と思わずにはいられないと言います。
 
「現役時代だけですべてが終わる訳じゃありませんから、勉強も端から捨てるべきではありません」
 
 西野さんは勉強のコツや基礎を身につけ、応用に変換してテストで実力を発揮するプロセスは、サッカーにも通じるものがあると言います。
 
「サッカーの場合、いいプレーって技術や体力だけではありませんよね。ある種の勘所をつかまえる能力とか、相手の痛いところを突くプレーは、テストでヤマを張るのにも似ているような気がします」
 
 何をしたら効果的か、どこを目標にどう頑張るのかは、勉強であってもサッカーであっても同じこと。自身も「勉強しなくてもできる、授業だけですべてわかる生徒じゃなかった。地頭で言ったらそんなに良くないと思います」と言う西野さん。これと決めたことをきっちりやる。それは練習の時間の限られたサッカーでも同じことだったと言います。
 
「いまの、たとえば日本代表クラスの選手と話していても『そんなことまで考えているのか』とか『とらえ方や思考力がすごいな』とその頭の良さに驚かされる選手がたくさんいます。 特にこれからプロ選手を目指す子どもたちにはサッカー選手を目指すならもっと勉強も頑張った方がいいよとアドバイスしたいですね」
 
 J3が創設された現在、西野さんの現役時代に比べれば「プロサッカー選手になれる人」は飛躍的に増加しました。だからこそ西野さんは「先を見据えてできるだけ長くプレーし、全力を出し切ったあとに見えてくるセカンドキャリアを築いてほしい」と言います。
 
次回は、Jリーグのセカンドキャリア研修の講師も務めている西野さんにご自身のセカンドキャリア、これからの展望についてお聞きします。
 
文武両道の元Jリーガーが教える、これからのサッカー選手の育て方>>
 
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西野 努//にしの つとむ
1971年奈良県生まれ。Jリーグ開幕からDFとして浦和レッドダイヤモンズで活躍した。奈良県立奈良高校から神戸大学へ進学。スポーツ推薦を受けずに進学校でプレーしていたことでも知られる。9年間の現役生活の後、引退。
現在は株式会社オプト・スポーツ・インターナショナル代表取締役、株式会社SEA Global取締役を務め、スポーツビジネスの現場で幼児向け運動プログラムやスクール事業などを手がけている。産業能率大学客員教授。
 
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取材・文/大塚一樹

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