■『聞く』『話す』『読む』『書く』を重視
実際のクラスがどんな雰囲気なのかを知るために体験クラスを覗いてみました。クラス開始直後に目に入ったのは、とまどいを隠し切れず、「My name is …」ではじまる自己紹介をためらう子どもたちの姿でした。ジャマイカ出身の先生はそれを受けて、生徒たちの反応をうかがいつつ、手拍子でリズムを作りながら発音練習を進めていきます。すると子どもたちはそのリズムに乗り、大きな声でアルファベットを発するようになりました。生徒が慣れてくると、なんと今度は子どもが逆に先生役を演じて、ホワイトボードの前でリズムを取りながら、他の生徒に発声の練習を促していきます。わずか1時間で英語独特の発音で単語を言えるようになった生徒たちの成長スピードは、極めて速いものでした。
9月26日に実施された文部科学省の有識者会議においても、小学、中学、高校が連携して『聞く』『話す』『読む』『書く』という4要素を活用したコミュニケーションを重視する方向性が示されており、単純に英語をつかう楽しさだけで終わるのではなく、英語力を養うべきポイントをおさえた内容になっています。
このプログラムは、さらに児童英検にも準拠しています。児童英検とは、日本英語検定協会が児童向けに提供する育成型ゲーム感覚の試験です。コースはゴールド、シルバー、ブロンズの3つに分かれており、成績は合否でなく正答率で表示。目標を達成する喜びを実感することで、子どもにとっての学習の動機づけになっていくという仕組みです。この点を考えると、学校教育で学習する英語との親和性は高く、学校での英語科目の成績にもポジティブな結果が期待できるでしょう。
あなたの周りにいるサッカー少年たちにも、英語圏のチームや英語を話す海外の選手とプレーする日が訪れるかもしれません。そのとき、英語を知らずに会話を避けるのではなく「Nice to meet you. My name is…」と試合前に対戦相手と挨拶を交わせたら、普段の試合では得がたい経験になるのではないでしょうか?
取材・文・写真/永田到