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Jの育成組織に行くことがプロへの近道、ではない。サッカーの進路を選ぶ際に重要なポイント

公開:2019年11月20日

キーワード:ジュニアユースセレクショントレセンレオSC中学生保護者大阪指導者育成進路高校サッカーJクラブ育成組織

中学年代(U-15)の指導者として、多くの選手の進路指導に関わってきたレオ SC(大阪府茨木市)の安楽竜二さん。47FAのチーフインストラクターを務め、昨年度まで長期に渡って関西トレセン、大阪府トレセンのスタッフを兼任するなど、育成年代の指導経験が豊富な安楽さんに、小中高とカテゴリーが上がる際の進路選びについて教えてもらいました。

(取材・文:鈴木智之)

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多少のトラブルがあっても、自分たちで経験することで自立していく。子どもたちに任せることが大事

 

■小→中 は子どもから大人へと階段を登っていく時期

小学校から中学校へ変わるのは大きな変化です。制服を着て学校へ通い、電車料金も大人と同じ額になります。子どもから大人へと階段を登っていく時期と言えるでしょう。

心身ともに大きく変化する中学3年間で、子どもたちはたくさんのことを学んでいきます。安楽さんは、保護者の方に「我慢することはたくさん出てきますよ」と言うそうです。

「小6から中1は、環境や周りの見る目が劇的に変わる時期。自由が増えますし、自立して欲しいので、ルールを作らなければいけません。その中で保護者の方には『本人たちに任せるところを作っていきませんか』と言っています」

安楽さんが指導するレオ SCは、中学1年生になると保護者の送迎は禁止。子どもたちだけで電車に乗って練習会場や試合場所へと移動します。これも自立を促すためのひとつの方法のようです。

「小学6年生の3月末まで親が送り迎えをしているのに、4月1日から急に自分たちで調べて来るようになります。もちろん最初は、コーチが一緒に電車に乗りますが、車で送迎してもらって、寝ていたら家に着くのとはえらい違いですよね(笑)」

このような経験を積み重ねていくことで、「うちの中3はみんなしっかりしています」と安楽さんが自負するように、子どもたちが自立心を育んでいきます。

自分たちで練習や試合会場に来ることに意味があり、成長につながると考えています。小学生でも、電車に乗って30分ぐらいの距離ならば、みんなで行かせる家庭も増えてきました。『切符を無くしたから遅れます』と電話をかけてきたりとか、トラブルはあるんですけど、それも良い経験ですよね。中学年代に移動をすることに慣れているからか、高校進学時に他府県に進む子も多いですね」

 

■Jクラブの育成組織に行くことがプロへの近道、ではない

レオ SCのジュニアユースはこれまで加入のセレクションをしていませんでした。(※2020年度生よりセレクション開始)。近年は指導の質進路実績が評判を呼び、募集から短期間で定員が埋まってしまうそうです。

安楽さんは「保護者の方はJリーグのジュニアユースやユースに行くことが、Jリーガーになるための近道だと思うかもしれませんが、実はそうとは言い切れないことも知っておいてほしいです」と言います。

「うちのクラブからJリーガーになった選手もいますし、街クラブから高校サッカーに行ってプロになる選手もたくさんいますよね。だから、とくに年代が下のうちはJクラブにこだわる必要はないと思います」

安楽さんは「そう言いながら、うちの小学5年生の息子も、Jクラブのセレクションを受けに行きましたけどね」と笑顔を見せます。

「子どもが小さな勇気を持って、『セレクションを受けたい』と言ってきたのなら、それは親として尊重してあげたい。友達との会話の中で『○○のセレクション、受けてみない?』という会話があったのかもしれません。そこで『セレクション受けたいんやけど』と言われたら、受かるかどうか微妙でも、親としてもアカンとは言えないですよね。」


安楽さんはクラブを選ぶ際に、「最終的には選手自身に決めさせることが大事」と言います。

「いまはインターネットなどで色々な評判がわかりますが、最後は選手が見て決めることが大事だと思います。ある人にとっては良くないチームでも、別の人には合うかもしれないですし。ジュニアユースを選ぶ時に、子どもの意見を聞かず、親が『このクラブに行きなさい』というケースも多いです。うちから強豪高校に進む選手が多いので『とりあえずレオに任せといたら、良い高校に入れてくれるやろう』と言う人もいます。でも、チームに預けるってそういうことじゃないじゃないですか。自分のお子さんだけでなく、チーム全体を応援してもらえたらなと思います」

中学年代の指導者として、選手を次のステージへ送り出すことも大切な仕事のひとつです。Jクラブのユースや街クラブ、高校サッカーに進むのかなど、人生を左右する決断を15歳でしなくてはいけません。

「中3の5月に、どのような進路を希望するかを紙に書いてもらって面談をします。5月だと明確に決まっていない子も多いですが、進路を意識させて、親子で会話をさせるためにという意味もあります。7月に入ったら選手と僕とで面談をして、本人の考えと、親とどれだけ話をしているかを聞きます」

進路について、親と子どもの間での会話が重要なようです。

「親としては、子どもの偏差値が50あったら、53から55のところを目指して欲しいと思うもの。でも、偏差値45ぐらいの学校でサッカーに熱心な先生がいて、県でベスト16に入るぐらいのチームであれば、サッカーライフが充実するかもしれません。練習参加で体験してもらって、学校の雰囲気なども親に一緒に見てもらうと『意外と良いやん』というケースもあります」

インターネットなどのツールの発達もあり情報を得ることが簡単な時代ですが、実際に肌で感じることが大事なのです。そして、進学先でもサッカーを続けたいとき、何に注目すればいいのかも教えてくれました。

 

■今強くても自分の代も同じ強さの保証はない。自分の目で見て決めることが大事

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「今」強くても、自分の代でも強いか保証はない。結果よりも大事なこととは

 

中学時代にAチームに入っていない選手でも、他府県に進んでサッカーを続ける選手もいるそうです。安楽さんは進路を選ぶ際のポイントに「今年の結果だけを重視しないこと」を挙げます。

「その年に大会で優勝したからといって、自分が入学したあとにも優勝できるかはわかりません。学校に行って、自分の目で見て、練習に参加させてもらって判断した方がいいと思います。親がインターネットで見て、あれこれ言っても、本当のところはわからないですから。子ども自身にアクションを起こさせることが大事だと思います。サッカーの練習は1日2、3時間ぐらいで、残りの時間は学校生活です。生活環境も見た方がいいですね」

誰しも悩む進路選び。より良い結論を出すためには、まずは情報を集めること。自分で見て、感じることが大切なようです。ぜひ参考にしてみてください。

 

安楽さんが指導をするレオSCのHPはこちら>>

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取材・文:鈴木智之 写真:吉田孝光

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