サッカー少年少女の皆さんの中でシュートが思うように曲がらない、プロのようなバナナシュートが打ってみたいと思っている人は多いかと思います。そうした悩みをなんと科学の力で解決しよう!というイベントが仙台市内で行われました。10月22日、Jリーグのオフィシャルスポンサー東京エレクトロンが主催で「親子で学ぶサイエンスサッカースクール仙台」が行われ、シュートが曲がる理由についてレポートしました。
■科学の視点でサッカーの悩みを解決!
「親子で学ぶサイエンスサッカースクール」は、単なるサッカースクールではなく科学の視点を採り入れた企画です。第1回は8月20日東京・国立競技場で行われ大好評で、第2回が10月22日仙台市のクローバーフットサルクラブワッセ仙台にて行われました。なお、第3回は11月20日熊本県民総合運動公園にて行われる予定です。
ワッセ仙台には当日50組100名の親子が集まりました。お笑い芸人アメリカザリガニ柳原哲也さんの司会でにぎやかに始まり、続いて科学実験教室を各地で開いているNPO法人ガリレオ工房から講師の稲田大祐さん、ゲストとして元Jリーガーの城彰二さん、名良橋晃さん、ベガルタ仙台アンバサダーの平瀬智行さんが登場しました。
そしていよいよ科学実験プログラムの開始です。今回のテーマは「バナナシュートはなぜ曲がる?」です。シュートがうまく曲がらない…というサッカー少年少女の皆さんにはとても興味深いテーマとなりました。
■バナナシュートは「マグヌス力(りょく)」で曲がる!
まずはバナナシュートのお手本を見よう!ということで昨シーズンまでベガルタ仙台の現役選手としてプレーしていた平瀬智行さんが子ども達にお手本を披露しました。FKの壁には名良橋晃さんが入り、事前に仕込んでいた本物のバナナをちらつかせて平瀬さんを惑わせましたが、平瀬さんは素晴らしいバナナシュートを決めました。平瀬さんが2本放ったシュートのうち1本はなんと壁に入った名良橋さんが高く掲げたバナナに命中!名良橋さんもオーバーリアクションで参加者の皆さんの笑いを誘いました。
まずはベガルタ仙台アンバサダー平瀬智行さんがバナナシュートのお手本を披露
バナナを持って壁に入り平瀬さんを惑わす名良橋晃さん
ここでNPOガリレオ工房の稲田さんが、バナナシュートが曲がる理由は「マグヌス力(りょく)」にあることを説明します。といっても突然「マグヌス力」と言われても分かりづらいので、実験でマグヌス力を説明しました。
「マグヌス力」を説明するNPO法人ガリレオ工房の稲田大祐さん
実験装置はテーブルの上にボールの模型があり、ボールは時計回り・反時計回りどちらにも回転させられます。「ボールを回転させると曲がるのではないか」という子ども達からの意見を受けて、ボールを回転させましたが、左右方向にボールは動きません。そこで実験装置の奥にある扇風機を回して、ボールに向かって風の抵抗を与えます。その状態で反時計回りにボールを回転させると左へ、時計回りにボールを回転させると右へとボールは動いていきました。ボールが回転していて、ボールの進行方向と逆方向からの空気の流れが来ると、ボールの周りで空気の流れる速度が左右で違ってくるため、ボールに「マグヌス力」という力が働き、空気の流れが速くなった方向へとボールが曲がるのです。
扇風機で向かい風を与えた状態でボールを回転させると「マグヌス力」が働いてボールが左右に動きます
■ボールを4分割して右下(左下)を狙って蹴る
シュートが曲がる原理が分かった子ども達は、早速バナナシュートに挑戦します。かつて日本代表FWとして活躍した城彰二さんは「ボールを4分割して右下、もしくは左下の部分を狙って親指の付け根辺りでこするような感覚で蹴ってみよう」と子ども達にアドバイスを送りました。そして何人かの子ども達がバナナシュートに挑戦。実際にうまく曲がるシュートを打てた子も多くいました。
バナナシュートを打つためのコツを説明する城彰二さん
平瀬さんのアドバイスを受けながら子ども達の代表がバナナシュートに挑戦しました
いかがです?ボールが曲がる原理が分かれば、あとは科学実験のように何度も練習し試行錯誤を繰り返せばバナナシュートが打てるようになりますよ。
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取材・文・写真/小林健志