ポジショニングのセオリー、最後はFW編です。
フィールドを縦に3分割すると、ディフェンスゾーン、ミドルゾーン、アタッキングゾーンの3つに分かれます。これらの中で最も時間とスペースを奪われ、厳しいプレスを受けるのはFWが主にプレーするアタッキングゾーンです。
このゾーンを突破するためには、より瞬間的な判断によるポジショニングと、オフザボールの駆け引きが必要になります。
昨シーズンで引退した元イタリア代表のフィリッポ・インザーギ、あるいはサンフレッチェ広島の佐藤寿人、ジュビロ磐田の前田遼一のように「点を取る嗅覚を持っている」と言われるストライカーは皆、オフザボールの動きや駆け引きに優れています。ボーッと突っ立ってゴールを決めているわけではありません。
どのようなポイントに注意すれば、彼らのようにFWのオフザボールの質を高めることができるのか? その基礎を紹介したいと思います。
■相手DFの守備方法を見極める
ディフェンスには、マンツーマンとゾーンの2種類があります。前者は"人"に対してマークを行う方法、後者はボールの位置に合わせて"スペース"を埋める守備です。
自分をマークしている相手が、マンツーマンとゾーンのどちらの意識で守備を行っているのか? FWはそれを理解することで、より効果的なオフザボールの動きを選択することができます。
例えば相手がゾーンの意識で守備をしている場合、
図のように相手はディフェンスラインを保ち、スペースを埋めているので、FWは相手選手の担当スペースのすき間に立つようにポジショニングを行います。このようなすき間を『ギャップ』と呼びます。相手ディフェンスラインとMFの間、あるいは相手DF同士の間に生まれるギャップを見逃さないようにポジションを取ることで、パスを受けるときに余裕ができ、さらに相手選手は誰がプレスに行くべきかを迷うことになります。
文/清水英斗、写真/小林健志(2012全日本少年サッカー大会より)