昨季のヨーロッパチャンピオンズリーグを制した世界有数の強豪クラブ、イングランド・プレミアリーグのチェルシーFCのエッセンスを日本の子どもたちに、先日「adidas ChelseaFC Clinic 2012」がチェルシーFCの全面協力のもと行われました。
今回サカイクでは8月20日に行われた東北エリアクリニックの様子をレポート! ヨーロッパ最前線のトレーニングメソッドをご紹介します。
■チェルシーFCの技術、情熱すべてをキミに
今回のクリニックで指導に当たったのはチェルシーFCユースで日々、将来有望な選手たちに接しているスティーブン・ウィネットヘッドコーチ率いる6人のコーチ陣。宮城県にある松島フットボールセンターに集まった小学4~6年生のサッカーキッズたちにチェルシーFCアカデミーのコーチングプログラムを基にしたトレーニングを伝授してくれました。
トレーニングは、
- 楽しみながら行うウォーミングアップ
- 個人技を磨くドリブルセクション
- 決定機を逃さないシュートセクション
- 正確な状況把握に欠かせないターンセクション
- 実戦を意識したゲームセクション
の5つのセクションに分けられ、子どもたちはグループ別にそれぞれのセクションを順番に体験していきます。
ドリルとしてはオーソドックスなものでも、どのセクションでも随所に「チェルシーFCらしさ」が見られる特徴的なトレーニングメニューです。
これから、それぞれのセクションについて詳しく見ていきましょう。
1.楽しみながら行うウォーミングアップ 「テリー!」「マタ!」謎の合い言葉
最初のセクション、ウォーミングアップセクションで一番重視されていたのは「サッカーを楽しむこと」。一番の目的は子どもたちの身体を温める準備体操の役割ですが、練習を楽しむために気持ちを温めることも重要です。
トレーニングは四角く区切られたピッチの中で行い、各自ボールをひとつずつ持ってピッチに入ります。
まずは好きにドリブル。そしてコーチがかけ声をかけると決められた動作を行います。「テリー!」というかけ声がかかればチェルシーFCの精神的支柱、イングランド代表CBのジョン・テリー選手のようにその場でジャンプをして、ヘディング動作。「マタ!」の声にはスペイン代表MFでテクニシャンのファン・マタ選手さながらのまたぎフェイント。そのほかにもチェルシーFCで活躍する世界のトッププレイヤーの名前を冠した動きで、緊張気味だった子どもたちの心もリラックスしたようです。
もちろん狭い空間にひしめくチームメイトとぶつからないように周囲の動きを察知したり、かけ声に俊敏に反応するクイックネスも求められ、サッカーに必要なスキルも身につきます。
ウィネットヘッドコーチによれば、ジュニア年代はサッカーを楽しむ、好きになることも上達への近道。ただ走るだけのウォームアップではなく、ボールに触って楽しみながらトレーニングをスタートさせることが大切なのだそう。チェルシーFCのユース、アカデミーでも実際に行っているこのウォーミングアップ。若き金の卵たちも、身近なスーパースターの活躍を思い描きながら練習に取り組んでいるのです。
2.個人技を磨くドリブルセクション 対人プレーの基本を学ぶ
次のセクションはチェルシーFCが重視する個人技のひとつ、ドリブルセクションです。図のように4隅に置かれたコーン付近から、中央のコーンに向けてジグザグドリブルで進みます。中央に置かれたコーンはDF代わり。コーンの前までボールを運んだら、コーチの指示に合せてその場で決められたフェイントをしてDF(目の前のコーン)をかわします。
ボールを運ぶ技術として重要なドリブルは、攻撃の崩しの局面ではDFを抜き去るための重要なスキルになります。ジグザグドリブルでドリブルへの意識付け、そしてフェイントから相手を抜き去る積極性、テクニックのバリエーションを身につけるトレーニングです。
さらに実戦的なセクションへ
今回はウォーミングアップ、ドリブルの二つのセクションを紹介しました。次回はさらに実戦的に、シュート、ターン、ゲームセクションをご紹介します。
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取材・文/大塚一樹 写真提供/アディダスジャパン