「今まで1対1の守備では、腰を落としたディフェンスをすることが常識とされてきましたが、その常識を見直すべきだと思います。背筋を伸ばすようなイメージでディフェンスをしたほうがより相手に圧力をかけられるし、相手の動きにも対応しやすくなるのです」
前回の記事では、フットボールスタイリストの鬼木祐輔さんが日本サッカーで常識とされる1対1のディフェンスの姿勢について問題点を指摘しました。
日本人は習慣的に骨盤が後傾しているために、無意識のうちに重心が後ろに傾いてしまい、慢性的に姿勢が良くありません。そのため、サッカーの1対1のディフェンスをする際にも腰を落として、背中を丸めるように力んで相手に対応しがちです。
■ボールを奪いたいなら、わきの下に手を入れろ!
前回の記事でも同じ写真を載せましたが、実際にディフェンダーがボールにアプローチに行った際に、姿勢を屈めてしまった例が下の写真のとおりです。このとき守備者の両脚には体重が乗っているので地面に居ついてしまい、相手の次の動作に反応しにくい状態になっています。さらに、背中を小さく屈めてしまっているため、相手を威圧することができず、心理的なプレッシャーをかけることもできていません。
この状況を改善するためのポイントとして、鬼木さんは「(ボールにアプローチするときに)背中で止まること」を挙げます。
実際にこの姿勢を実践したのが次の写真です。
背筋を伸ばしながら「背中で止まる」イメージを持つと、屈んでしまった姿勢よりも身体を大きく見せることができるので、相手にプレッシャーを感じさせることができます。さらに、その場合は腰が落ちたり、両脚に体重が乗ったりしていないので、相手の揺さぶりにも素早く反応して動き出せる状態にあるのです。
さらに、このときに相手からボールを奪い切るポイントとして「相手の脇の下に手を入れる」とより効果的だと鬼木さんは付け加えます。
「身体の重心を相手に預けながら、相手の脇の下に手を入れて押し込むことができれば、体重をそっくりそのまま相手にぶつけることができるので、簡単にボールを奪うだけのパワーを発揮することができるのです」
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取材・文/鈴木康浩 写真/サカイク編集部