テクニック
小学生から覚えておきたい3つの守備コンセプトとは?
公開:2015年1月29日 更新:2020年3月24日
日本代表はUAEを圧倒的に押し込みながらもPK戦の末に敗れ、アジアカップ敗退が決まった。スペイン・バルセロナを中心に世界20か国で活動する指導者集団『サッカーサービス』のポール・デウロンデルコーチは、日本代表の守備をどう見たのか。UEFA・A級ライセンス保持者の分析をお届けする。(取材・文 鈴木智之)
■もっとも注意すべきは、自分の背後、ゴールよりのスペース
UAEは日本の守備を研究していました。どのように動けば日本のディフェンスラインを崩すことができるかを熟知しているようでした。それが顕著に現れたのが失点シーンです。
失点場面は、UAEの選手が前方へロングパスを蹴ったことから始まります。森重選手、吉田選手ともにボールに意識を向けてしまい、UAEの2トップを自由にさせてしまいました。これは日本の守備陣に起きる典型的なミスです。ボールばかりを見てしまい、選手同士の距離感が広くなり、ラインが崩れてしまうのです。相手がワントップの場合、2人のセンターバックで対応するので、一人が外されてもカバーリングで対処できるのですが、相手が2トップで来たときはピンチを招いてしまいます。
失点場面のひとつ目の改善点は、森重選手のポジショニングです。自分に向かってボールが蹴られた瞬間、7番のマブフート選手に自分の背後を走り抜けられてしまいました。守備の鉄則として『自分の背後、ゴールよりのスペース』こそが、もっとも注意すべきゾーンです。相手選手にそのゾーンを使われると、ワンタッチコントロールでシュートを打つことができるので、決定的なピンチを招きます。
■前後左右の4つのゾーンのどこを優先するか
この場面では、自分の体を中心に、前後左右に4つの四角形を作ったときに、どのゾーンを優先すればいいか。その認識が低かったために、もっとも危険なゾーンをマブフート選手に使われてしまいました。我々サッカーサービスは小学校3、4年生に「守備の時にどうやって相手をマークするか」を教えています。中1になると「ラインをどう作るか」というグループ戦術を教えます。各選手が守るべきゾーンはどこか、DFラインを安定させるために、どこを守らなければいけないかを認識するトレーニングをしています。これは、たとえプロの選手であっても、コンセプトを学び、知らなければ実行に移すことが難しいプレーです。