■ピッチで説明してデモンストレーションをしてあげよう
クラウスは「ドイツにだってそうしたことを知らないコーチは多い。アマチュアクラブの立場からすると、ボランティアでやってくれる彼らにもちろん感謝していることだろう。でもコーチにはこうしたディテールを教えられるのが大事なんだ」と話します。
練習を質の高いものにする上で、もっとも重要な要素の一つがコーチング。この点についてクラウスは「監督にとって大事なことは、ピッチ上で説明してデモンストレーションをすることだ。子どもたちを観察すること。どこにミスがあり、何がミスで、どれが原因か。子どもがシュートミスをしたら、なんでミスをしたのかを説明してデモンストレーションをしてあげること。シュートが浮くことの多くの原因はブレーキなんだ。シュートを打つ前の踏み込みで体にブレーキをかけてしまう。そのために上半身が傾き、ボールが上に飛んでいく。ボールを打つ瞬間、身体は前に行かないといけない。加速が必要だ。あるいはドリブルをしている子どもを見るときは上半身の使い方にも気を配るんだ。手に力が入っていたらいいドリブルはできない。上半身はリラックスする」と指摘していました。
親ならば、わが子を任せるコーチに多くを求めたくなります。しかし完璧なコーチはいません。誰もが短所を抱えているし、ミスもします。その中でなにを重要視すべきか。子どもとしっかりと向かい合おうとしている人間性、そして子どもに教えるという立場への責任感を持ち、自分を成長させようとする姿勢。それがクラブ選びの大きなポイントになるはずです。
次回:サッカー歴30年の親が子どものプレーを指摘し過ぎてはダメな理由 【クラウスの金言】
クラウス・パブスト(Klaus Pabst)
ドイツの名門「1.FCケルン」でユースコーチや育成部長を務め、多くのブンデスリーガを輩出。ケルンで最初となるサッカースクール「1.Jugend-Fusball-Schule Koln」を創設し、サッカー指導者養成機関としても知られる国立ドイツ体育大学ケルンで講師を務めるなどドイツサッカー育成の第一人者である。
日本へは何度も訪れており、指導者講習会や選手へのクリニックを開催。日本サッカーの育成にも造詣が深い。