■いいと思うものを取り入れ、ストライカーを育てる
――先ほど、タニラダーは脳からの動作信号が体に伝わり、つながっていくことを体感するのに役立つと言われていました。トレーニングの見本として、シナプソロジーとの組み合わせたものをやられていましたが、あれはそういう意味で考案されたのですか?
長谷川 神経系の発達期にあるジュニア年代にとってとても役立つと思い、シナプソロジーを組み合わせたものも考えてみました。脳からの信号を体に伝える神経に対する刺激、そして、そのパイプを太くすることは判断を伴うサッカーには大事なことですから。マス目に「1」〜「4」の番号を付け、他の人からマスに足を入れる場所を指示してもらう。さらに、慣れる前に「one」〜「four」と英語を加え、「1」とか、「three」とか指示を複雑化して判断材料を増やす。そうすると、脳から決断を下した動作がより早くできるようになります。サッカーは判断・決断が伴うスポーツですからね。
タニラダーをつかったステップ練習
――ゲーム感覚で楽しくやれますしね。
長谷川 それにシナプソロジーをそのまま受け入れているわけではありません。それはサッカーが予測のスポーツだからです。私はあのトレーニングの中でステップを踏む側の選手が「次は2かな」と予測というか、山を張ってもいいと思っているのです。ただ、それにはセットで「他の数字を言われるかもしれない」という可能性を頭に残しておかなければ意味がない。0からの対応力というよりは一つ準備をしての対応力。1対1の勝負では、FWもDFも予測しているからそれと異なるプレーや動きをされたときに対応できるんです。
私が現役を長くやれたのは、谷さんにラダーを、木場さんにチューブを使ったトレーニングを指導していただいたからです。いい器具やいいメソッドのいいとこどりをさせてもらいつつ、2030年にはワールドカップで得点王に輝ける選手を育てられるように励んでいきます。
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