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テクニック

味方と連動して攻める際のポジショニングの身に付け方/ジュニア年代から攻撃の再現性を習得する練習方法

公開:2020年10月 9日 更新:2020年11月13日

キーワード:ポジショニング攻撃の再現性

サッカーやフットサルで必要な「相手の守備を突破する技術と判断」。局面を打開する力をつけるために、どのようなトレーニングをすればいいのだろうか?そこで今回はフットサル日本代表として長く活躍し、今季限りで引退を表明している稲葉洸太郎(Y.S.C.C.横浜)選手に実演してもらった。テーマは「ジュニア年代から指導すべき、攻撃の再現性を高めるトレーニング」。前編では「2人の関係性を身につけていく練習方法」を紹介したい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年12月23日掲載記事より転載)

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攻撃のバリエーションを持つためにはポジショニングをマスターする

稲葉選手はプレイヤーとして活動する一方、サッカーの東京ユナイテッドの下部組織やフットサルスクールなどで指導をしている。今回のトレーニングについては「攻撃のバリエーションを持つためには、まずポジショニングをマスターすること。2人の関係ではワンツーやパラレラ、3人の関係ではライン間をうまく使いながら、どうポジショニングをするかという部分にアプローチしていきたい」と説明する。

最初のトレーニングは「2人組のボールポゼッション」。

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グリッドを2つに分けて2対1の状況を作り、攻撃側は守備側の選手を突破し、7秒以内に隣のグリッドへ移動するというルールだ。守備側の選手はライン上しか動くことができないので、攻撃側の2人組は、その選手をどのように突破するかを考えながらプレーしていく。

稲葉選手は「オニ(守備)の人はどこを観ていた?身体の向きはどうすればいい?」と問いかけ、「オニが片方に寄ると反対側のスペースが空くし、ひとつの方向ばかり見ていると、背後をドリブルで突破されてしまうよ。両方を観ることができる、身体の向きを作ろう」と、ポイントを丁寧に説明しながらトレーニングを進めていく。

さらに「攻撃側はオニ(守備側)の背中をタッチする」というルールを加えることで、守備側の選手に360度を観るように仕向けていくとともに、攻撃側の選手には「背中を狙おう」とコーチングし、相手の背後をとる意識を高めていく。

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攻撃側は2人の共通理解があると相手を崩しやすくなる

2つ目のトレーニングは「2対1」。攻撃と守備が次々に入れ替わる設定なので、攻守の切り替えを速めることがポイントになる。稲葉選手は攻撃の選手に対して「ワンツーをするときは、守備側の選手を引きつけてからやってみよう。パスを受ける選手は、守備側が足を伸ばしてもギリギリ届かない位置にポジションをとってみよう」と実演を交えて指導。

さらには、サイドラインに対して平行に縦パスを送り、縦のスペースに味方を走らせて、守備を突破する「パラレラ」の動きもレクチャー。最初はワンツーを狙うが、守備側がパスコースを切ってきたら、縦にパスを出してパラレラをする。このように、判断を変えることがポイントになる。

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「この練習は1対1と2対1の状況が入っているよね。1対1のときは、もうひとりの味方のポジショニングが大事になる。味方が良い位置にいると、守備の選手はパスコースをケアしなければいけない。それがフェイントになって、相手を抜きやすくなる。相手に『選択肢がたくさんあるな』と思わせることが大事」と、ドリブル突破だけでなく、パスもあると見せるための身体の向き、目線などでフェイントをかけて相手をかわしていくことの重要性を説いていく。

前編最後のトレーニングは「2対1→シュート」。

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ボールを受けた縦半分のコートでしか攻められず、攻撃側の突破はワンツーかパラレラのみというルールを設け、これまでやってきたプレーを、実戦に近い形の中でチャレンジしていく。これによりボールを受けなかった選手のサポートの動きが自然と必要になる練習になっている。

パラレラのポイントは「斜めにパスを出すのではなく、タッチラインに対して平行に出す」こと。守備側はワンツー、パラレラともにさせないような身体の向きを作り、1対2の数的不利な状況で守備をして、ボールを奪う。

ここで稲葉選手は、守備側の選手に対して「一発で取りに行くとワンツーでかわされる。斜めのコースを切りに行くと、縦にパスを出されてパラレラをされてしまう」と話し、ワンツーをされたときには、パスを受ける攻撃側の選手の前に体を入れて、パスをインターセプトすること。そして、パスの受け手が守備側の選手の背後に入り、パスコースがなくなったときに、守備の選手はボール保持者との距離を詰めて、ボールを奪いに行くことをアドバイス。

「いかにパスコースを切りながら、相手との距離を詰められるか。数的不利だけど、相手が止まった瞬間がチャンスになる。思い切って行こう」と守備の仕方をレクチャーしていった。

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稲葉選手は前編のトレーニングを、次のように語って締めくくった。

「攻撃は2人の共通理解があると、相手を崩しやすくなります。良い位置に味方がフォローしていると、1対1の場面が2対1になり、パスかドリブルかの選択肢を持つことができます」

稲葉選手が子どもたちに向ける、ポイントを絞ったコーチング、実演は非常にわかりやすい。フットサルコートという限られたスペースの中でも、技術と判断、コンビネーションを磨くことができるメニューを紹介しているので、とくにジュニア年代の指導者には参考になるだろう。ぜひ動画で確認していただければと思う。

撮影協力:FC REAL U-12

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【講師】稲葉洸太郎/
1982年、東京都生まれ。フットサル、Fリーガーとしてバルドラール浦安やフウガドールすみだでプレーし、2018年からFリーグ2部のY.S.C.C.横浜に所属。2004年-2016年日本代表・2008年、2012年にはフットサルワールドカップに出場し、通算最多得点記録を保持。フットサルプレイヤーとして活動する傍ら、サッカーの東京ユナイテッドの下部組織やフットサルスクールなどで指導者としても活動している。

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