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ボールホルダーの選択肢を狭めるプレスのかけ方/ジュニア年代から理解しておきたい守備の基本トレーニング

公開:2020年11月 6日 更新:2020年11月13日

キーワード:ジュニア守備

ジュニアからU-18までのカテゴリーを持ち、東京の強豪として知られる大森FC(大田区)。攻守にアグレッシブなスタイルが特徴的で、Jクラブとも対等に戦うなど、年々力をつけてきているクラブだ。代表を務める小島直人氏はナイキアカデミーのエリートトレーニング、FC岐阜のトップチームコーチを始め、ヨーロッパの指導者の通訳兼アシスタントコーチを務めるなど、グローバルな視点を持つ経験豊富な指導者だ。

COACH UNITED ACADEMYでは「ジュニア年代から理解しておきたい、守備の基本を学ぶトレーニング」をテーマに、前編では「相手のパスコースを消す、プレッシャーのかけ方」について指導を実践してもらった。メンタル、技術、戦術が高いレベルで融合するチームを作り上げる小島氏による、指導の様子をお届けしたい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2020年2月25日掲載記事より転載)

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守備の際は片方のコースに行かせない位置にポジションをとる

前編のトレーニングは「1対1、2対1の状況で守備側がアクションを起こし、攻撃側をサイドに追い込んでボールを奪うこと」がテーマ。そのため、ウォーミングアップは「体の向きの確認」からスタートした。

選手たちは2人1組になり、パスを出してボールの移動に合わせて走り、股間を通されたボールを回り込んでパスをするという動きを繰り返していく。ポイントは「パスの足が移動の一歩目になること」。そして、ボールに対して回り込むときに、体の向きをコーディネートし、相手の方におへそを向けた状態でパスを出すことも重要だ。

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小島コーチからは「体の向きの変化をしっかりつけよう。これが、守備の練習のときに重要になるよ。パス&ゴーをしっかりしよう」とアドバイスが送られていた。

ウォーミングアップの次は「1対1の守備」。

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パスを受けた攻撃側の選手に対し、守備側の選手が斜めの角度からアプローチをする。そこで1対1の奪い合いが始まるという設定だ。

この練習は、主に守備がメインとなる。守備の選手は攻撃の選手のドリブルやフェイントに合わせて動くのではなく、片方のコースに行かせない位置にポジションをとり、ボールを奪いやすい場所(サイド方向)へと相手を追い込んでいく。

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大森FCらしく、受け身の守備ではなく、「攻撃的な守備」がテーマだ。大切なのは、守備の選手が1対1の主導権を握り、アグレッシブにボールを奪いに行くこと。たとえドリブルで抜かれたとしても、「攻撃側がゾーン内にボールを止めると1点」というルールなので、最後まで足を出して、粘り強く守備をすることがポイントだ。動画では時間の経過とともに、良い守備のプレーが出始めるので、ぜひ確認してほしい。

相手が縦に突破してきたときに回り込み、体重をかけてボールを奪う

続いては「攻撃2対守備1」に発展。ルールを「オフサイドあり」にすることで、攻撃側にプレーエリアを限定させるとともに、守備側に数的不利でもプレスがかけやすい状況を設定していた。

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小島コーチは、守備側の選手に対して「プレー開始時のボールが転がっている時間が勝負。そこで素早く動き、1対1の状況を作ろう。後ろへのパスはいいけど、前方へのパスは出させないように」とコーチング。

さらに、守備の選手が攻撃の選手をサイドに追い込むと同時に、相手が縦に突破してきたときに回り込み、体重をかけてボールを奪うプレーのデモンストレーションもしているので、ぜひ動画を参考にしてほしい。

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小島コーチは「スタート時のボールが転がっている最中に、守備側が攻撃側にどれだけプレッシャーをかけるか。相手に合わせて守備をするのではなく、守備側の選手がアクションを起こして、攻撃側にリアクションをさせる。それが圧力をかけるということ」と話し、「ただ真っ直ぐ守備側に近づくのではなく、もうひとりの攻撃側へのパスコースを切りながら、ボールを保持している選手に近寄っていこう」と動き方のアドバイスを送っていく。

また、「ダッシュでボール保持者に駆け寄り、相手に近づいたらどの方向にも動けるように、サイドステップに切り替える」という動き方を指導。

そうすることで、地面を蹴って動きやすくなる。「相手のドリブルに合わせて下がりながら回り込み、ボールを奪うときは前に出る」という、アグレッシブな守備を知りたい指導者、選手にとって参考になる映像だろう。

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さらには、コーチングの内容だけでなく、声のトーン、褒めるときのテンション、簡潔でわかりやすい伝え方など、コミュニケーションの部分にも目を向けることで、多くの学びがあるはずだ。

小島コーチは、前編のトレーニングを次のように締めくくった。

「前編では、守備の選手のボールへのアプローチにこだわってコーチングしました。ただボールに寄せに行くと、コーチから『突っ込むな』と言われ、行かないと『奪いに行け』と言われてしまうことが多いと思います。そこで、どのようにボール保持者に寄せて行き、ボールを奪うのかというコツを伝えました」

後編ではより実戦に近い数的同数の形式の中で、味方のいる方へと追い込んでボールを奪う方法に移っていく。

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【講師】小島直人/
一般社団法人大森フットボールクラブ代表。東京ヴェルディの普及コーチ、ナイキアカデミーヘッドコーチ、FC岐阜トップチームコーチを歴任。イングランドサッカー協会公認コーチレベル1。日本サッカー協会公認B級指導者ライセンス保持。

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