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ボールホルダーを孤立させないサポートの動き/オオタFCのアタッキングサードを攻略するトレーニング

公開:2021年4月26日 更新:2021年4月30日

技巧派を多数輩出する街クラブとして評判なのが、岡山県倉敷市と岡山市で活動を行うオオタFCだ。5年ぶり4回目の出場となった昨年度の「JFA第43回全日本U-12サッカー選手権大会」では、グループリーグを負けなしで通過。ラウンド16では育成に定評があるサガン鳥栖U-12を3-0で下し、ベスト8進出を果たした。

OBの島村拓弥選手(セレッソ大阪)を筆頭にドリブルを武器とする選手を多く輩出するが、何よりの特徴がゴールへの積極性だ。今回、『サッカー指導者のためのオンラインセミナー「COACH UNITED ACADEMY」』では、オオタFCでU-11とU-12トップチームの指導を行う元Jリーガーの今井大悟ヘッドコーチに「アタッキングサードの個の仕掛けと積極的サポート」の指導法について解説してもらった。(文・森田将義)

(※COACH UNITED 2020年10月12日掲載記事より転載)

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ゴールに近づくカギは受け手がアクションを起こす「積極的サポート」

いくら個人技に優れた選手であっても、一人でゴールまで持ち込むのは難しく、ボールを持った選手への関りが必要になってくる。オオタFCが個人技のレベルアップと同様に力を入れているのは個人の突破力に頼らない組織的な崩しだ。ボールホルダーを孤立させないようパスコースを作るだけでなく、「積極的サポート」と呼んで、相手にとってより怖いポジショニングやタイミングでパスコースに入ることを練習から求めているという。

意識付けのベース作りとしてウォーミングアップで行うのが、六角形の各位置に選手を配置して行うパス&コントロールのトレーニングだ。

まず初めにメニュー1では外側にいる6人の選手がパスを繋ぐ。ボールを出した選手は素早く出した先へと移動し、次のパスを待つ。

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発展形のメニュー2では、図のように近くの選手にボールを預け、リターンパスを奥の選手へと展開する。受けた選手は近くの選手にボールを預け、また奥の選手にパスを入れるのがルールだ。

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この六角形のパス&コントロールでポイントになるのは、ファーストタッチだ。ファーストタッチでボールを一旦止めてから、次のプレー方向に身体を向けるのではプレースピードが落ちてしまう。受ける際には次の選手にパスが出しやすいよう、身体の向きとファーストタッチを意識すればスムーズにパスが出せる。パスコースに立っているだけでは相手が捕まえやすいため、実際の試合を想定し、ボールが出る瞬間にタイミングよくパスコースに走り込むのも重要だ。

また、スムーズなパス回しには、次の選手への思い遣りも欠かせない。思い遣りの一つ目は、パスの質。進行方向や利き足を踏まえ、受け手の左右どちらの足にパスを入れるかを意識する。受け手が声やジェスチャーで自分が、ボールを受けたい足を示すと出し手もプレーを選択しやすい。

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二つ目はパススピード。パスを通す際は、相手に獲られないよう速さが必要だが、メニュー2のように近距離の選手にボールを預ける状況で速いパスを出せば、受け手がコントロールしづらい。状況に応じて、パスの緩急を使い分けられるよう意識したい。

ゴール前の2対2では攻撃の速さを意識

六角形のパス&コントロールを終えると、実践的な「2対2」へと移行する。ハーフウェーライン横に立つコーチがボールを配球するとゲームが始まる。ペナルティーエリア2つ分ほどのグリッドであるため、常にゴール前の状況に近く、時間をかけていてはゴールを奪えない。コーチからのパスを受けた時点では相手からのプレスを受けにくいため、ファーストタッチで前進するなど常にゴールを意識しながらプレーするのがポイントだ。

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守備が遅れていると判断すれば、コーチから来たボールをダイレクトで反対サイドにいる味方へとパスするのも有効的なプレーと言えるだろう。ただ選択肢を選手に教えるのではなく、「どうすれば早くゴールに近づけると思う?」と投げかけ、選手からプレーのアイデアを引き出すのも、今井コーチの指導で目を惹いた点だ。

同時に鍵となるのは、プレーの判断だ。六角形のパス&コントロールとは違い、相手もいるため、状況に応じてドリブルとパスを上手く使い分けながらプレーする必要がある。選手はどんなプレーがゴールに一番早く近づけるか、相手にとって脅威なのかを考えながらプレーすべきだ。

また、受け手も相手の守備対応を見て、足元なのかスペースなのかパスを受ける場所を意識しなければいけない。相手が足元を警戒しているなら、スペース。スペースを警戒しているなら、足元と常に相手の裏をつくパスコースに入り、ボールを要求するアクションも忘れてはいけないポイントとなる。

欲しい場所で待っているだけでは相手が対策をしてくるため、六角形のパス&コントロールと同様にタイミングも注意して欲しい。同じメニューをこなしても指導者の声掛け一つで、選手の成長速度が大きく変わるのが育成の楽しさであり、難しさだ。

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選手一人ひとりへの声掛けの上手さが光る今井コーチの指導法や詳細は、ぜひ動画でチェックして欲しい。

後編では2対2の発展形である「3対2」やゲーム形式でのグループトレーニングを行っていく。

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【講師】今井大悟/
福山大学を卒業後、 佐川急便大阪SC、カターレ富山、ブラウブリッツ秋田でプレー。2015年からOBであるオオタFCのU-11、12年代のトップチームのコーチを務めている。

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