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テクニック

1手、2手先のプレーを考えられるとボールは奪われなくなる。相手の背中をとる「とりかご」トレーニング

公開:2022年3月25日 更新:2022年10月17日

2021年10月下旬に行われた「全日本 U-12サッカー選手権大会青森県大会」で優勝し、青森県代表として、5年連続で「全日本 U-12サッカー選手権大会」に出場しているリベロ津軽SC。

育成に定評のある同クラブのアカデミーダイレクター・住谷学氏によるトレーニング実践。後編は「頭の回転を早めるとりかごを使ったポゼッショントレーニング」をテーマにお届けしたい。技術と判断を向上させるトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2021年11月1日掲載記事より転載)

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1対1のポイントは「相手に行く方向を絞らせないこと」

最初のトレーニングは「1対1」。ゴールを左右に置いた状態で1対1をし、いずれかのゴールをドリブルで通過すれば勝ちとなる。ポイントは前編のトレーニング同様「ボールを、相手より遠いところに置く」「相手と同じ方向にへそを向けない」「相手の背中を取る意識を持つ」の3つ。

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住谷氏は「練習は全部つながっている。最初のタッチで良いところにボールを置き、2タッチ目で相手の反対をとることにチャレンジしよう」と声をかけ、選手たちがトライしていく。

ここで重点的にコーチングしたのが、「相手の逆をとる」こと。ゴールが横にあるので、相手にどちらに進むかに悟られないようなボールの持ち方、体の向きを意識しながらドリブル突破を仕掛けていくことが大切になる。

住谷氏は「行きたい方向と反対にへそを向けると、相手の逆をとることができる。そして相手が追いかけてきたらアウトサイドでターンするなど、相手に行く方向を絞らせないように意識しよう」と話し、「ボールを取られることに臆病にならず、どんどんやってみよう」と、チャレンジすることの大切さを伝えていく。

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さらには「ボールを持っている人が急にスピードをあげると、相手があわててついてくる。
うまくボールを扱えない時は、自分の体だけでも素早く持っていくと、相手も同じ方向を向くので、背中がとりやすくなる」と、ボールコントロール以外のテクニックもわかりやすくアドバイスしていた。

良い状態でボールを受けるためにタイミングを見て動きに変化をつける

2つ目のトレーニングは「とりかご(1対1+3フリーマン)」。グリッド内で1対1をし、周囲にフリーマンを3人配置。攻撃側の選手はフリーマンを使いながらボールを保持する。守備側がボールを奪うと、すぐに攻守交代する。

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ここでは「周りを使って相手をかわしてもいいし、ドリブルでかわしてもいい。相手をどうやってかわすかを考えよう」と話し、選手たちのプレーを見ながら「ダラダラ走っていてもボールを受けられない。いまだというときにスピードを上げたり、工夫しよう」などの声をかけていく。

このトレーニングのポイントは、攻撃側の選手がフリーマンを使い、守備側を攻略すること。そのため、攻撃の選手は守備側の状態を見て、「いつ走り出せばパスが受けられるか」「どう動けば、守備側の背中をとることができるか」を考えながら動くことが重要になる。

住谷氏は「ボールが動いているときに、ボールと一緒に動いてもマークは外れないよ」と改善点を指摘。「ボールと一緒にマラソンをしていてもしょうがない。タイミングを見て動きに変化をつけよう」と話し、「フェイントをかけて守備側のタイミングをずらし、ボールを受けられる場所へ入ること」の大切さを説いていく。

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これらのアドバイスを受けて、選手たちのプレーに緩急とメリハリが生まれていく。その様子はぜひ動画で確認してほしい。

とりかごはパスを回すだけでなく「相手の背中をとること」を意識する

最後のトレーニングは「4対1(条件付きのボールポゼッション)」。ルールは「次にボールを出してほしい選手のビブスの色を言ってパスを出す」こと。

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住谷氏は「頭を使うので、誰にパスをするかに意識が行きがちで、動きがなくなる。1つ前のトレーニングと同じように、人も動いて、攻撃を仕掛けながら名前を呼ぶことを意識しよう」とポイントを伝えていた。

このトレーニングは周囲の情報を素早く仕入れて、1手、2手先を考えてプレーしないと、ボールが回らない。加えて、ボールをつなぐことではなく、相手の背中をとることを考えて動くことが重要になる。

住谷氏は「アクションがないと、相手は困らない」と話し、自分から仕掛けて相手の逆をとることの大切さを強調していた。動画を通じて、実演を含むアドバイスはわかりやすいので、ぜひ参考にしてほしい。

住谷氏はトレーニング終了後、COACH UNIETD ACADEMY会員に向けて、次のようなメッセージを送った。

「今回はU-12、15世代でも使えるトレーニングを紹介しました。ミスに対して責めるのではなく、失敗を恐れずにチャレンジをうながすようなコーチングをしてあげて、子どもたちが思い切りプレーできるように心がけました。今回のトレーニングを参考にして、いろいろなことにチャレンジしていただければと思います」

今回のトレーニングは、判断と技術を同時に高めることにフォーカスしている。少人数でも実施することができ、広いスペースも必要ない。どのカテゴリーでも実施できるトレーニングなので、ぜひ練習に取り入れてみていただければと思う。

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【講師】住谷学/
2009年より指導者を始め、2015年より全国大会の常連である青森の強豪チームのリベロ津軽SCでの指導を開始。2018年から2020年までU-12監督を務め、2019年からは女子U-15監督を兼務しながら、2020年よりアカデミーダイレクターも務める。

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