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ボール奪取から素早く攻撃へ繋げるコツは出し手と受け手の共通理解。守⇒攻のトランジショントレーニング

公開:2023年9月 3日 更新:2024年1月 5日

2022年末に鹿児島で開催された『JFA 第46回全日本U-12サッカー選手権大会』に、3年連続で出場したソレッソ熊本U-12。

同クラブは育成力に定評があり、松岡大起(清水エスパルス→ グレミオ・ノヴォリゾンチーノ)、満田誠(サンフレッチェ広島)ら、多くのJリーガーを輩出している。

ソレッソ熊本は攻守の切り替えのスピードが高く、ボール奪取から素早く攻撃に転じる「トランジション」が特徴的なスタイルだ。

そこで今回は「守備から攻撃、攻撃から守備のトランジション」をテーマに、指導経験豊富な三角将行監督に、トレーニングを実施してもらった。

はたして、全国レベルで存在感を発揮するソレッソ熊本は、どのようなトレーニング、コーチングのもと、奪ったボールを素早く攻撃へと転換する「トランジション」を高めていくのだろうか?(文・鈴木智之)

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攻守それぞれで大切なのが「プレーの優先順位」を理解すること

トレーニング開始前、三角監督は「このトレーニングでは、予測、判断、決断が大事になります。それらをチームコンセプトに照らし合わせ、共通理解を持ってトレーニングしていきます」と、方針を説明する。

最初のトレーニングは「5対3+5対3」。縦20m×横10mのグリッドを横半分に分け、片方のグリッドで5対3のボール回しを行う。

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もう片方のグリッドには守備側2名が待機しており、5対3の状況で守備側がボールを奪ったら、もう片方のグリッドにパスまたはドリブルで進入したところで攻守交代。

攻撃側はボールを奪われた際、反対側のグリッドに展開される前に奪い返すと、再びボール回しをすることができる。

このトレーニングで三角監督が強調したのが「プレーの優先順位」だ。

「攻撃側はボールを動かすときに、優先順位を確認しよう。おへそがグリッドの真ん中を向いたところ、もしくは対角線上へのパスを狙おう。ボールを動かしながら、縦パスを狙って、守備の間にパスを通そう」

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一方、守備側にも、奪ったボールを攻撃へ転換するときに、優先順位が必要になる。三角監督は「ボールを奪った後、実際の試合ではなにをする?」と問いかけ「攻撃につなげるために、顔を上げて、攻撃方向を見るよね」と説明。

そのため、反対側のグリッドを攻撃方向に見立て、ボール保持者は素早く、反対のグリッドへパスを通し、周囲の選手とイメージを共有しながらパスをつないでいくことがポイントになる。

三角監督は「奪ったあとは関わる!そこを速く!」とシンクロしながら声をかけていく。

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また、守備の連動性にも言及し、ファーストDFが相手に寄せて、後ろの選手がどこを切るかをコーチングすることや「守備の間を通させない守り方ができないと、ボールは奪えない」とアドバイス。

守備時にただボールを追うのではなく、ファーストDF、カバーリング、予測を立てることなどの考え方を整理して、わかりやすく提示していく。

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攻撃面では「インターセプトした後、スピーディな攻撃につなげたい」と話し、「パスの受け手にその意識がなければ、反応できない」と指摘。

「ボールを奪ったら、出口になる選手はその準備をしないといけない。ボールを受ける準備ができていないと、スピーディな切り替えにはつながらないよ」と意識付けをしていく。

ほかにも、「常に反対側へのパスを意識すること」「相手の守備が整う前にパスを出すこと」「ボールを回すために三角形を作ること」など、ボールを保持することと、素早い守から攻への切り替えを実践するために、必要なことを伝えていった。

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優先順位はまず前。縦パスを意識し、難しければ次の選択肢に移る

続いてのトレーニングは「3対3+2サーバー(2ゴール)」。縦25m×横15mのグリッドを横半分に分け、コーンゴールを2つずつ設置。コーンゴールをドリブルで通過すると1点となる。

攻撃の際はFWをイメージしてサーバーを使うことがポイントで、自陣のサーバーにパスを出してはいけないというルールだ。

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三角監督は「ゴールを目指すことと、目の前の相手のラインを越える努力をしよう」と声をかけ「ラインの越え方は、オフの動きで突破することやドリブル突破、サーバーにパスを出し、人が関わることで突破する方法もある」とプレーの選択肢を提示。

ボールを奪って終わりではなく、攻撃に転じることが目的なので、「ボールを奪ったときに、サーバーにボールを入れられそうであれば、積極的に入れよう」「相手にサーバーへのパスコースを切られたら、次のことを考える。優先順位はまず前」と、プレーの優先順位を頭に入れておくことを強調していた。

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動画では、サーバーへのパスコースがあったにも関わらず、ドリブルをしてボールを奪われた選手に言及。

ほかにも、試合中によくありがちな、横にドリブルをして、角度がない状態で縦にパスを出して、インターセプトされてしまうプレーを指摘し、進行方向に体を向き直すことの重要性を、デモンストレーションを交えて伝えているので、ぜひ動画で確認してほしい。

トレーニング後、三角監督は「今回は守から攻へ切り替えるトレーニングをしましたが、大事なのはボールを奪った後、どういう意識を持って攻撃に移るか。共通意識を持つことです」と振り返った。

後編では、攻撃から守備へ切り替える際に、相手の攻撃を前進させないための即時回収をテーマに行っていく。

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【講師】三角将行/
1981年6月27日生まれ。筑波大学時代に少年サッカーの指導をスタート。卒業後は熊本県の高校で3年間教員を務め、2007年からソレッソ熊本のコーチに就任した。2020年からU-12の監督に就任し、3大会連続で全日本U-12サッカー選手権大会出場に貢献した。

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