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テクニック

小学生でもできる組織的なビルドアップ!周りの時間とスペースを作るためのボールタッチのトレーニング

公開:2023年10月15日

2023年春、Twitter上で、あるチームの試合動画が話題を呼んだ。小学2年生のちびっこたちが、状況に応じたボール保持から前進を始め、パスを繋いでゴールを決める映像だ。その映像内ではU-8の選手たちが、年齢を感じさせない状況判断、グループとチームの連動を見せていた。

そんな素晴らしいチームを作ったのは、埼玉と横浜で活動するRAD Football Academyだ。代表を務める鳥丸太作氏は、Fリーグ・Y.S.C.C.横浜フットサルの監督を務める。

「フットサルを通じて、グローバルなフットボール選手の育成」を掲げるRAD Football Academyは、どのようなトレーニングを行っているのだろうか? 

今回は「組織的なビルドアップ完成のための個人戦術」をテーマに、「周りの時間とスペースを作るためのボールタッチ」のトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

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アップからルックアップを習慣づけるためのトレーニングを

トレーニング開始前、鳥丸監督は「僕たちの最終目標は、ボールを持ちながら優位性を作っていくことです。今回は、優位性を作る第一歩として、個人戦術をベースにしたトレーニングを行います」と話し、「2対1」に入っていった。

「2対1」は16m×16mのグリッドを使い、複数のグループでボールポゼッションを行う。DFにボールを奪われるか、グリッドの外にボールが出たらDFが交代するというルールだ。

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鳥丸監督はトレーニングの狙いを、次のように説明する。

「ただボールを持つだけではなく、優位性を作っていくこと。目標はゴール。そのための一歩として、個人のトレーニングから、グループ、チームになっていきます。個人を飛ばしてグループ、チームの連動をしてもうまく行かないので、最初に立ち返って、個人のベースをトレーニングしていきましょう」

さらに、トレーニングを見ながら「ボールは人よりも速いから、スペースをできるだけ使って、幅を広くとろう。ボールを持っている人は、マークする選手を引き付けてからパスをすること。ボールを持っていない人はパスラインを作りながら、スペースがあるところでボールをもらいましょう」とアドバイスしていく。

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ほかにも「ボールの移動中に顔を上げて周りを見る。味方と他のグループを見て、どこにスペースがあるのかを見よう」と声をかけた。「DFはボールの移動中に寄せること。攻撃はプレッシャーが掛かっていたら、ボールを動かしてパスラインを作ろう」と、状況を見ながら、相手と駆け引きをすることの重要性を説いていく。

自身のファーストタッチで数的有利を作る意識づけが重要

2つ目のトレーニングは「パス&コントロール」7m×7mのグリッドで実施し、サーバーからパスを受けて1対1がスタートする。攻撃側はゴールをドリブルで通過することを目指す。

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鳥丸監督は「DFはボールと自分のマーカーが一度に見える位置を作り、ボールの移動中に寄せよう」とデモンストレーションを交えて説明。「ボールホルダーに手で触れるぐらいのディフェンスをしよう」と強度を求めていく。

そのようなディフェンスに対して、攻撃側には「足元にボールを止めたり、相手に対して後ろ向きでボールを持ったりすると前にパスが出しづらくなるので、前向きでボールを受けられるように」とアドバイス。

「足元にボールを止めると、DFに寄せられるので、パスに対して自分からボールを迎えに行って、マークをはがす」と実演を交えて説明。

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「そうするとどこかで数的優位ができる。先程の2対1のトレーニングを思い出して、DFを引き付けてパスができれば、守備は崩れる。このプレーの先になにがあるかをイメージしてやろう」

設定として、最初は「DFはボールを奪いに行かない」「中を切る(攻撃側は縦にコントロールして進む)」という流れから、最後はボールを奪いに行く1対1を行う。

攻撃側の選手が縦に進む際は、一度、中に動いてDFに中を意識させておいて、縦に行くといったように、「ボールにアタックして、DFの矢印を動かしてから逆をとること」を強調。

「ミスをしてもいいから、駆け引きを大事にしよう」と声をかけていった。動画では数的優位の作り方、相手の崩し方を説明しているので、詳細は映像で確認してほしい。

ロンドでより実践的に味方を自由にするボールの持ち方を覚えさせる

前編最後のトレーニングは「3対1(ロンド」)。7m×7mのグリッドを4つに分け、3対1を実施。ルールは「ボールを受けた選手は、別のグリッドに移動してからパス」「12回パスを回せば勝ち」だ。

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ポイントは、ボール保持者が良い状態であれば、DFを引き付けてパスをすること。そうすることで、次にボールを受けた選手に時間が生まれるので、移動がしやすくなる。

その際に「パススピードが遅いと、DFが寄せる時間が生まれるので、速いパスを出せるようにしよう」とコーチングしていった。

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トレーニングを通じて、プレーの裏側にある意図を説明し、「なんのためにそのプレーをするのか」を理解させることで、個人戦術、グループ戦術の向上にアプローチする姿が印象的だった。

前編の動画は以上で終了。後編では2対2などの、ゲーム性のあるトレーニングを行っていく。

この内容を動画で詳しく見る

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【講師】鳥丸太作/
1981年8月22日生まれ。FC東京ユースや明治大学でプレー、ブラジル留学を経てフットサルプレイヤーに転向。バルドラール浦安などでプレーした。引退後、指導者となり、現在はフットサルのトップリーグに所属するY.S.C.C.横浜フットサルで監督を務めている。またフットサルで学んだ経験をサッカーに生かすために、「RAD Futsal Project」というアカデミーを立ち上げ、代表を務めている。

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