――2つめのチームは、ドイツのバイヤー04レバークーゼンで指導されたそうですね?
最初のスクールでは約1年間お世話になったところで、たまたまドイツへの就労ビザも取得できたこともあり日本を離れてドイツに渡航しました。ビザを申請する際に併行してドイツ・ブンデスリーガのほぼ全チームにコーチとして入れてもらえないかという手紙を送り、2つのチームからOKの返事をもらった時は本当にビックリしましたね。えっ本当にいいの?という感じで(笑)そしてそのうちの1つのチームであるバイヤー04レバークーゼンにお世話になろうと決めました。最初はU13を指導するよう言われたのですが、私自身はU8やU9に興味がありチームにお願いしたところ、U8とU9の指導者の下について勉強することになりました。ここで日本の子どもたちとの違いを感じたのは、理解できないことは必ず質問するという事です。素直に「わかりました」という子はゼロでした。納得してからでないと絶対に行動(プレー)しないのです。なので、子どもたちが納得するための回答をたくさん用意して、しかもそれをドイツ語で返せるようにするためにすごく苦労をした記憶がありますね。
――なぜ、そのような質問をドイツの子どもたちはするのでしょう?
それはやはり、ドイツの教育にあると思いました。家庭や学校でも常に疑問に思いなさい、素直に受け入れるのではなく、自分でしっかり考えなさいという教育が浸透しているようです。もちろん、文化の違いもありますが、なぜそうなのか?という疑問の意識を常に持たせることで思考の回転が速くなっているのだと思います。同じU8やU9の日本の子どもたちの場合はどの練習メニューをやりましょうと言っても何の疑問点も持ちません。これは別に誰が悪いとかではなく、教育の構造の問題なのですぐに改善できるとは思えませんが、日本という国はこの現状に危機感を持たないといけないのではないでしょうか。そこで、私たちにできることは何なのか考えると、地道にサッカーを通じて考える脳を育てる教育をしていくことだと思います。壮大なテーマかもしれませんが、日本の未来を担っているジュニアの世代からアプローチしていくことが、日本のサッカー界にできる直接的な貢献だと信じています。