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子どもたちを信じて任せれば、可能性は広がる!選手が自ら考えて試合に挑んだサッカー大会

公開:2013年1月11日

キーワード:サポート大会自立

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 雨が上がった富士山の麓、子どもたちの元気な声が響きます。虹が架かるピッチでサッカーの大会! これだけでも素敵なのですが、近づいてみて見てみるとこの大会、なんだか雰囲気が違うのです。
 昨年、12月15日、16日の二日間、「Football Connection U-10 in 富士?任せれば、できる。?」という大会が行われました。
 

■子どもたち、選手が主役の大会

 選手が主役、ノーコーチング、保護者のサポートも極力なし。メンバー決めも選手交代も全部子どもたちが自らやる。一目見たときに感じた雰囲気の違いはこの独特のルールにありました。“自分で考えるサッカー”はまさにサカイクと相通じるもの。今回はこの大会の様子をお伝えしたいと思います。
 
 子どもたちがいつもよりのびのびプレーして見えます。コーチも見守るだけで指示は出さない。親御さんの黄色い? 声援もない。聞こえてくるのはお互いに励まし合う子どもたちの声だけ。この大会、もともとはtwitterで自然発生的に集まったサッカー指導者仲間が立ち上げた「Football Connection」というグループが自ら企画して実現した大会です。中心人物の1人であるSUERTE juniorsのコーチ、久保田大介さんが言います。
 
「ジュニア年代こそ選手が主役であるべきだと思ったんです。自分のチームでもほとんど選手に任せてやっているんですが、選手たちは『ここはサポートしてあげないとな』とか『これは無理だろうな』なんていう大人の先入観を軽く超えることを見せてくれるんです。子どもに気づかされることが多いんですよ」
 
 同じく会の中心となって大会開催を後押しした丸山聡さんが続けます。
「はじめはtwitterで指導者間の悩みを語り合っているだけだったんですが、現状を変えられるような何かができないか? という話になり、20人くらいで集まって話し合いを持ったり、そこからスタートしたんです」
 
 3,4年生で合宿形式、しかも選手たちができることはすべて任せる。そんなコンセプトで大会の構想が練られていきました。
 
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■ボトムアップの先駆者、畑喜美夫監督も登場

「ほら、子どもたちが生き生きしてるでしょう。4年生でもやれるんですよねぇ」
 
 この大会の開催に大きな影響を与えた人物。それが、2006年に広島観音高校でインターハイ制覇、現在は広島県立安芸南高校を率いる畑喜美夫監督。畑監督は選手が自ら考え、行動する「ボトムアップの組織論」を打ち出し、スタメンや戦術、交代までも選手たちに決めさせるという指導法で激戦区広島を勝ち抜き全国に名前を知られる監督です。Football Connectionの取り組みに共感して、夜の部のトークセッションに参加してくれることになっていたのですが「子どもたちに会っておきたい。試合を見ておきたい」という思いから、初日から早めに会場入りしていたのです。
 
「子どもたちを信じること、それが一番大切ですよね」
 畑先生はピッチを駆け回る子どもたちに笑顔を向けながら話してくれました。
 
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■子どもたちを信じることで広がる可能性

 会場に設けられた試合会場は1面、そのほかは好きなときに好きなだけ使っていいフリースペース。「同点だったからさっきの続きしよう」子どもたちが打ち解けてきた二日目にはそんな会話もかわされていた様子。大会に集まった大森FC、FCパルピターレ、C-Best.SC、大豆戸FC、SUERTE juniorsの5チームのすべての選手がずっと笑顔で楽しそうにサッカーをしている姿が印象的でした。
 
 会場にいるお母さんたちお話を聞くと「この中でやれるのが楽しいからサッカーをやっているみたい」「普段からサッカーのことはコーチに任せている」と理想的なお話しばかり。初日の夜行われたトークセッションはFC東京・幸野志有人選手のお父さん、幸野健一さんの体験に基づいた講演、さらに畑先生のボトムアップの実際、お二人のトークセッションなど熱いサッカー談義の時間に。
 
「子どもたちを信じて任せればこんなに可能性が広がるんだ」
 参加した指導者の方々は、この大会の方向性に改めて可能性を感じたようです。
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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取材・文/大塚一樹 写真/坂東正啓

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