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考える力

状況判断の重要性を体感できる! 海外遠征の意義とは?

公開:2014年6月 5日

キーワード:遠征

みなさんは子どもを海外遠征に行かせたいとおもいますか? 今回はピッチ内で得られる海外遠征のメリットを中心にお伝えしていきます。前回に引き続き、SCHフットボールクラブのジュニアユースチームで総監督を努める中野泰延氏にお話を伺いました。スペイン遠征はどのようなスケジュール間で行われたのでしょうか?
 
<<最近、流行中!? 海外遠征で得られるメリットとは?
 
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photo by Michael Neel Soccer
(取材・文/鈴木智之)
 
 

■ボールコントロールはぎこちないが、状況判断に優れるスペイン

11日間で7試合を行いました。地元のクラブを中心に、FCバルセロナとも対戦しました。結果は2勝2分3敗でした。最初に試合をしたジャバックというチームは1学年上の選手たちだったのですが、大人と子供ほど身体能力に差がありましたね。結局、2試合で12ゴールを決められました。相手チームにものすごく足の速い選手がいて、ボールを奪われたら、ほとんどの場面でゴール前まで攻め込まれてしまって。相手チームは1学年上ということもあったのですが、走るスピード、パススピード、ドリブルスピードなど、向こうが圧倒的に上でしたね。うちの選手たちも一生懸命食らい付こうとしていたのですが、「ぶち抜かれる」という表現そのままにやられてしまいました。
 
――日本にいては、経験できないレベルの相手だったのでしょうか?
 
それは間違いないですね。うちはボールポゼッションをしながら攻めるスタイルで、それはある程度はできていましたけど、少しのミスで奪われて、ほぼすべてゴール前まで行かれました。選手たちは、ホームステイ先で出される食事の量でショックを受け、試合でも差を見せつけられて。でも、衝撃を受けるほど強い相手とやれてよかったなと。今年のチームは、大敗した経験が少ないんです。J下部組織と試合をしても1、2点差ぐらいで。スペインでもある程度はやれるだろうと思って行ったのですが、この相手に関しては手も足も出ずでした。ただ、この経験を今後にどう活かすかだと思っています。
 
――フィジカル面以外の技術、戦術面で違いを感じた部分があれば教えてください。
 
スペインの選手は、自分の持っている技術を試合の中で発揮する部分については、うちの選手たちよりも明らかに上でしたね。これは毎週末、厳しいリーグ戦を戦っているからだと思います。公式戦の経験値が高いと感じました。これは毎年スペインに行くたびに思うことで、スペインの選手の中にはリフティングやボールタッチがぎこちない子もいるんですけど、フリーでボールを受けた時には必ず前を向くといった状況判断に一日の長があります。以前、研修でスペインのビルバオに行ったときに、日本のJの下部組織とスペインの街クラブが試合をしたのですが、Jの下部組織の子どもは、ボールコントロールはバツグンにうまいんですよ。一方、スペインチームはかなりぎこちない。ところが、スペインの街クラブのほうが、ゴール前までボールを運んで点を取ってしまうんです。Jの下部組織の子どもの方がボール扱いは圧倒的にうまいのに。そこで、『判断をともなう技術という意味では、スペインの街クラブの子どもの方が上なんだな』と感じました。状況に即したプレーをして結果に結びつけるという部分は、まだ差があるなと感じましたね。
 
 

■自分の技術をゲームにフィットさせるうまさ

――ドリブルやボールコントロールの技術をただ身に付けるのではなく、その技術をどの場面で使うの? というところまで含めて、低年齢から身につけることが重要ですね。
 
そう思います。9年前に初めてスペインに行ったときから比べても、その差は埋まっていないように感じています。私自身、技術だけを取り出してトレーニングするのではなくて技術・戦術・フィジカル・メンタルなど、すべてが入っているトレーニングをしようと、試行錯誤しています。その効果を感じるというほどでもないですけど、スペインでメルカンティルと試合をすると、技術担当のコーチに「毎年よくなっている」と言ってもらうことも多くなりました。「チームとして、ボールをポゼッションして攻めていくスタイルを目指しているのが理解できる」とも言われました。スペインには、ボールを前線に蹴り込むスタイルのチームも多いです。相手が格上の場合、守ってカウンターという戦術をしなければいけないときもありますから。でも、うちもそうですけど、日本のチームはなかなか両方はできない。子どもたちには、「SCHではパスをつなぐサッカーをしているけど、それがすべてではないよ。うちは勝つ可能性を上げるためにこのスタイルでやっているけど、高校に行ったら違うサッカーをしているチームのほうが圧倒的に多いんだよ」という話はします。やり方が違うだけで、どれが正しいとかはないので、サッカー選手としてプロを目指すのであれば、様々なスタイルに適応できる必要があります。
 
――あらためて、スペインで試合をして感じたことを教えてください。
 
どのチームの選手も、自分の技術をゲームにフィットさせるのは上手いと感じました。このレベルの相手だと勝てるかなと思っていても、やられる場面が結構ありました。ボールを持っている選手も、持っていない選手も同様に、状況にあった適切な判断をしている。たとえば、サポートに入った選手が、スプリントをすればチャンスになるという場面ではしっかり走っている。あとはプレーの強度ですね。球際の激しさだったり、スプリントする場面でしっかり走ることであったり。うちの選手たちも、スペインから帰ってきた直後は高いインテンシティでプレーするのですが、日が経つにつれてどうしても消えていってしまいます。スペインで感じたテンションを続けていかなければいけないし、それができれば、必ずもっとうまくなります。それは我々コーチの声かけや雰囲気作りなどで意識させなければいけない部分ですし、スペイン遠征に行って感じたことを意識しながらプレーする選手は伸びていくと思います。来年の遠征も楽しみです。
 
 
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●中野泰延(なかの・ひろのぶ)
SCH.FC ジュニアユース統括/U-15監督
日本サッカー協会公認A級コーチ
神奈川県サッカー協会常任理事
神奈川県CJYサッカー連盟理事長
神奈川県サッカー協会3種クラブ技術委員長
SCHフットボールクラブ
HP http://www.sch-fc.com
Facebookページ
(https://www.facebook.com/SCH.FC)
 
スポーツライター鈴木智之氏が主宰し、SCH中野監督も学ぶスペイン語、英語を中心とした語学スクール
『渋谷ランゲージコミュニティ』
Facebookページ
 
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取材・文/鈴木智之

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