■メンタルをコントロールできる選手へと脱皮
もちろん、彼の『やんちゃ』さを消してはいけない。物怖じせず、強気でトライするメンタリティーまで消してしまっては、彼のよさそのものが出なくなる。冷静になりながらも、要所で『やんちゃ』な自分をむき出しにする。これが「心はホットに、頭はクールに」だ。
これを念頭に置き続け、より存在感を増した井手口は、高2でトップチームに出場できる2種登録を結び、2014年3月には正式にトップ昇格を果たした。
「トップチームだと、いくら自分が熱くなって、ガンガン行ってもボールを取ることができない。ボールを奪うには、つねに頭を使って守備をしないといけない。そして奪ったら、冷静かつ強気に仕掛けていく。そこは昔の自分と大きく変わりました」
遠藤保仁や今野泰幸、宇佐美と言った一流選手に混じって練習をすることで、よりあの言葉の意味を深く噛み締めることができた。
そして冒頭で書いたように、ミャンマーの地で彼はその成長の跡をしっかりと表現している。チーム内では一番下の年代ながら、臆することなく堂々とプレーし、かつ攻撃や守備のバランスにも目を向けてプレーしている。
「『心はホットに、頭はクールに』。この言葉はいつも強く持ちたい。熱い気持ちを持ち続け、その上で周りを見て、冷静にプレーできていると思います」
13日17時55分キックオフの韓国戦。決勝トーナメント進出がかかるこの一戦で、彼がピッチでこの言葉を再び表現してくれることを期待したい。
取材・文・写真 安藤隆人