■一所懸命を尺度にする
柴崎岳が高校時代に一番嫌がったことは、一所懸命やらないこと。個人に実力差は当然あるが、その差がどうこうではなく、一所懸命やっているかどうかを尺度にする。それを周囲に求めるだけでなく、自分自身にも厳しく求める。自分自身に厳しく求めたものをクリアするためになにをすべきか、試合でも練習でも考える。こうして彼は、さらに成長をしていった。
「彼は監督やコーチに言われたことを一所懸命ひたむきにやって、ミスをしたとしても怒りませんが、手を抜いていたり戦っていない選手には容赦なく怒っていた。やはり、自分と同じ気持ちで戦っていない選手には腹が立つのでしょう」
考える力。これは普段の生活から心がけていないと育たない。普段の生活から考えることが、ピッチ上での考えの土台になる。日常生活で土台を作り、ピッチ上でその土台の上にさらに積み上げる。こうした作業を中学のときからやってきたからこそ、いまの柴崎岳がある。
「彼は自己発見をくり返す中で、その時々に必要な物差しを確立していった。だからこそ、自分に足りないものは補い、足りているものはさらに伸ばそうとしました。岳の成長に終わりはないですし、まだまだ求め続けると思います。そういう選手だから魅力的なのかなと感じます」(黒田監督)。
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取材・文・写真 安藤隆人