■言い訳を引き出す質問をしていませんか?
「うまくいってることを見つけた後は、実際に課題を解決していきたいのですが、ここでサカイク記事の復習です。質問には効果的な質問と尋問、2つの種類があるという話です」
藤代さんの連載記事「しつもん(質問)が尋問になるとき、子どもの成長は止まる」というお話ですね。自分も最初に読んだときは、息子に対して尋問ばかりしていると知ってがく然としたものです。
「まず効果的ではない質問=尋問はどんな言い方になるかというと、“Why(なんで?)”です。『なんで?』と質問すると、物事を前に進めることができなくなってしまいます」
すると藤代さんは、グループを2,3人に分けて役割を決めさせ、次のような設定を語り始めます。
Aさん、Bさん(Cさん)で、話題の映画を一緒に見に行く約束をしていました。待ち合わせ時間は朝9時。上映時間は朝9時30分です。公開の1か月前から約束をし、1週間前と前日に『絶対遅れちゃだめだよ!』と電話、LINE、facebookメッセージで確認をしました。そして当日、Aさん(とCさん)は時間通り来ました。ところがあれほど言ったにもかかわらず、Bさんは30分も遅れてきました。もう映画が始まってしまいます。
「そんな状況をイメージして、Aさん(とCさん)はBさんに『なんで遅れたの?』と質問してください。Bさんはその質問に対して、自分なりの答えを返してください。どうぞ」
これぞワークショップならではの尋問体験ですね(苦笑)。Bさん役はみな苦々しい顔をしながら、それでもなんとか答えようとします。「朝が苦手で起きられなくて」とか、「忘れ物をしちゃって」とか、「電車が遅れてしまって」とか。その様子を見守っていた藤代さんが嬉しそうに一言。
「そういうのをなんて言うんでしたっけ?」
「言い訳」(一同笑)
「ありがとうございます(笑)。そうです、『なんで?』って聞くと、言い訳が返ってきます。僕がコーチをやっていたときもそうです。『なんでシュート外したんだよ』って聞くと、『ピッチがぬれてて...』とか『相手が強いんだもん...』という答が返ってくるわけです。それに対して僕はなんと言ったかというと、『言い訳すんじゃねー』と(笑)。言い訳を引き出す質問をしていたにもかかわらず、答えを聞いて『言い訳するんじゃない』と言っていたんです。それじゃあ子どもたちもやる気をなくしますよね。
なので、質問を変えましょう。尋問にならない効果的な質問は何かというと"HOW(どうすれば、どのようにしたら)"です。先ほどと同じ設定で、『なんで?』と聞きたい気持ちをぐっとこらえて、今度は『どうすればよかった?』と聞いてみてください」
ロールプレイとはいえ、大の大人が「どうすれば遅刻しなかった?」と聞かれるのはつらいものがありますが、それでも「なんで?」と問われるよりまともな答えが返せたような気がします。
「どうすればいいかと聞くと、たとえば『もっと早く家を出た方がよかった』とか『前の日にもっと早く寝た方がよかった』というアイデアや改善策が返ってきます。場面はまったく同じにもかかわらず、一方は言い訳が出てくるのに、もう一方はアイデアや改善策が返ってくる。変わったのは『問いかけ』です。この問いかけの違いを実感していただき、子どもたちにどんな質問をするのか考えてみてください」
【参加者募集】
今回のサカイクキャンプでは協賛のumbro様によるシューズの試し履きも予定しております。
以前ご参加頂いた選手はもちろん、初めて参加の選手も大歓迎!
皆様のお申し込みお待ちしております!!
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取材・文 神誠 写真 田丸由美子