サッカーチーム、バスケットボールチームを持つMIPスポーツ・プロジェクトでは、子どもたちが審判、味方、そして相手を尊重することを学び、自分たちが成長するために何が必要かを考えます。また何のためにルールがあるのか、そしてルールにはない人としての『モラル』を、スポーツを通じて子どもたちに伝えています。これは元ラグビー日本代表主将で、現在はMIPスポーツ・プロジェクトで理事を務める相沢雅晴さんや、各競技のトップアスリートが、その経験から得たものを子どもたちにも学んで欲しいという願いから教えているものです。
MIP・FCでは上記のように、まずは『スポーツマン精神』『モラル』について考えることが求められます。そしてそのことをしっかりと念頭に置いて、今度はプレーに関する「考える力」を要求します。(取材・文 一色伸裕 写真 田丸由美子)
■トップアスリートは考える力を身につけている
「子どもたちには常に自分たちで答えを見つけ出させ、行動に移させます。この考える力は、言い換えると『決断力』です。コーチたちもただ指示を出すのではなく、何をするにしても選択肢をいくつか与えてあげる。『なんとかしろ』と言うのは簡単です。そうではなく、小学生でも選択肢を与えて自分の責任の下で何事もやらせないと、考える力は生まれないのです。」
答えは一つではなく、出した答えで失敗することもあります。ただ、そのようなミスを繰り返すことでより考えるようになり、しっかりとした決断力が身に付いていくのです。自分たちで考えて出した答えだけに、責任感もおのずと身に付き、しっかりと自分の意見を持った人間に育つと、相沢さんは言います。
「トップアスリートはスポーツを通じて、考える力をしっかりと培っています。だから自分の意見を言うことができるのです。例えば、バトミントンの山口(茜)選手や卓球の平野(美宇)選手や伊藤(美誠)選手。あの子たちは若いのに受け答えがしっかりしている。自分たちの考えをしっかりと主張出来ています」
■親がコーチであるべき理由
子どもがしっかりと成長するためには、親御さんの力も不可欠となります。相沢さんは「親はコーチであるべき」と説きます。
「うちは週3日しか練習がないので、週4日はやっていないことになる。それ以外のところでは親御さんが子どもを教えたり、他のサッカースクールに行かせる事も必要です」
他のサッカースクールに行くことに難色を示すコーチもいますが、「子どもに合うサッカースクールを見つけることが大事」との理由で、相沢さんは自分の子どもに合ったサッカースクールを経験させることを推奨しています。そのためには親御さんもしっかりと自分の子どもに合ったサッカースクールの特色を理解する必要があり、そのような面で「親はコーチであるべき」と説くのです。
ここで注意しなければいけないのは、親御さんが子どもたちのコーチでいるのは入るサッカースクールやチームを決めるまで。
「親御さんには、『頑張れ』はいいけど『簡単に!』とか、プレーに関する声掛けはしないようにお願いしています。ちゃんと試合を見る場所も決めて、それを守ってもらっています」