■親の背を見て子は育つ!親が率先してお手本を見せることが大切
さらに、「いろいろな人と接することには、ほかにも子供の成長に繋がります。それは人との接し方、大人との接し方を学ぶことです」と監督。成人して社会に出れば、いろいろな人と接することになります。すぐに分かり合える人もいれば、なかには自分と合わない、いやだなと感じる人もいるでしょう。そういった育ってきた環境も考え方も違う人たちと如何に対応していくのか。裏表を作るという意味ではなく、いろいろな人がいていろいろな考えがあるということを子どものうちから知っておいてもらいたい。今日だれかが練習に来ているとしたら、「こんにちは、どこから来たんですか?」といった会話が自然とできるようになってくれることを望んでいます。実際、筆者が取材でお邪魔したときも、グラウンドに来る部員の皆さんが挨拶してくれるだけでなく、個別に近寄ってきては「一発芸します!見て下さい」と初対面の私にとっておきの一発芸を見せて笑わせてくれたり、練習の合間にも物怖じする様子なく話してくれたり、運動部ならではの爽やかさだけでなく、とても好感を持てる雰囲気を感じました。
「やはり人と話すこと、コミュニケーションは大事だと思います。仕事だって、いろいろな人が協力してくれて初めて成り立つし、サッカーも仲間がいてはじめて成り立つわけです。子どもたちがサッカーを通してコミュニケーションスキルが身につくような接し方を心がけています。自分が苦手だからかもしれないですね(苦笑)」
また、「感謝の気持ちを大切にする」「おもてなし」も田邊監督がこだわるキーワードです。練習を見に来てくれた人に対して「来てくれてありがとう」「このチームに興味をもってくれてありがとう」という感謝の気持ちを持つこと。そのためには、まず応援してもらえるチームになることが大切です。
「応援してもらって初めて感謝を感じる。感謝が先にあるのではなく、応援してもらえるような人間になってほしいです」。
強いチームほど嫌われるものですが、「強いから嫌われても仕方ない」というのではなく、「『強いけど、なんかあの子たち可愛いんだよね』とか、『なんか応援したい』って思われるようなチームになりたいんです」と田邊監督。
「成功しても応援されない人間になったら、いつか足下をすくわれますから。サッカーだけの話じゃないよ」と部員たちにもします。そういったチームづくりをするために、人から応援されるような行動を監督自らが率先して行います。たとえば、ゴミ拾いもその一つ。
「『ゴミ拾っておけば何か良い事あるかもね』と子どもたちに言ったら、言った大人も一緒に拾うべきです」。
親の背を見て子は育つ。筆者も子を持つ親として「ああしろこれしろ」と口で言うよりも、親が率先してみせてあげることの大切さに気付かされました。
田邊友恵
日ノ本学園高等学校サッカー部監督。東京女子体育大学サッカー部時代には、関東大学女子サッカーリーグにて得点王、ベストイレブンに選出。2002年結成の「アルビレックス新潟レディース」初期メンバーで、FWとして活躍。2007年現役引退。2008年よりJAPANサッカーカレッジレディースの監督に就任。2012年より現職に。
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