■書くと忘れるからサッカーノートは書かない
――サッカーノートはつけさせたのでしょうか?
ないですね。一度も書けと言ったことはありません。書くと忘れるというのが私の持論で、書いたという安心感で頭に残らない。だからすべて記憶に留めておくようにと、いつも伝えてきました。そうすると真剣に聞いてくれるようになるんですよ。
――奥様との役割分担は?
二人三脚でずっとサポートしてきました。叱らないといけないときは、どちらかが叱り役になれば、もう一方はクッション役になったり。うまく役割分担できていたのかなと思います。プロという道に行かなくても、どんな道に進んでも、子どもたちが応援しようという根本的な部分は同じでしたから。子どもたちとも夫婦ともつねに情報共有していましたね。
――家事についてはお手伝いをさせていましたか。
これも私の持論ですが……プロになるんだったら、家事なんて小さいことをするなって言っていました。いまの時代に逆行しているかもしれませんが、妻はそれについてはすごく反発していましたね(苦笑)。でもプロの世界で必死に戦っているのに、仕事が終わって家事をする余裕なんてないはずですから。自分も手伝ったことがないのですが、その点に関しては親子揃って、妻には本当に迷惑をかけてばかりですね。勉強についても、漢字が読めないのはさすがに問題ですが、良い点を取ろうが取るまいが、勉強しろとは一度も言ったことがありません。スポーツができる期間は限られていますが、勉強は現役を引退してからでもできますから。
■「子どもはほっとけ!」その真意とは?
――あえてご自身の子育てを自己評価すると?
親というのは、子どもを大人にするのが仕事です。現状、3人ともプロ選手になってくれましたから、合格点をつけてもいいのではないでしょうか。この先は子どもが選んだ道でしっかりやってくれることを願うだけ。もちろん家族として心配はありますが、子どもという意識はもうありませんね。もちろん頼りにしてくるんだったら力になりたいとは思いますけれど(苦笑)。
――サカイク読者に、子育てのアドバイスをいただけますか。
ほっとけ、と言いたいですね。もちろん監視の目はしっかり持つべきですが、子どもは親がいなくても育つもの。いまは関与すればするほど子どもがダメになる。ほっとけ、とは言っても、すべてほっとけではない。子どもには子どもの世界があって、大人には大人の世界がある。大人の世界に子どもは入ってこない。それと一緒で子どもの世界に大人が入っていってはいけない。その意味で、ほっとけと言いたいですね。大人が子どもの世界に入りだすと境界線がなくなっておかしくなってしまう。子どもが一生懸命にやっていることに対して手助けするのはいいですが、絶対に口を出してはいけない。とにかく一生懸命、応援者に回ってほしいです。
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取材・文・写真 小須田泰二