考える力
無名チームから國學院久我山へ―。文武両道を追い求めたとある指導者がレギュラー獲得のために"親に内緒で"したこと
公開:2017年8月10日 更新:2021年1月27日
■無名のクラブから高校サッカー強豪校のレギュラーに。 プロという夢はかなわずも、その努力に一片の悔いなし
周りの選手との圧倒的な差を目の当たりにし、プロのサッカー選手になるという夢を高校1年時にあきらめた石尾さん。そこで新たな目標を立てます。それが「高校サッカーで日本一になること」と「日本一偏差値の高い大学に入ること」でした。「サッカーは高校でやめる。でも、日本一になってやめよう」と決意を胸に秘め、中学時代のクラブチームの監督のもとへ行きました。
「当時、自分が学校で置かれていた状況を正直に話しました。そんな中でも、自分はこの環境でしか得られないものがあると思ったので『全国で優勝して、日本で一番偏差値の高い大学に入ります。そうなったら、高校卒業と同時に指導者として雇ってください』と言いました。『誰も経験できない高校生活で得たものを、子どもたちに還元したい。無名チームからでも、全国トップクラスを狙えることを伝えたいんです』って。監督は言葉少なに『わかった』って興味なさそうな感じだったんですけど(笑)」
その後、サッカーは深夜の練習を続けて、一番下のチームからステップアップし、高3時には東京都リーグ1部優勝、インターハイ出場、選手権出場の東京三冠をレギュラーとして達成。そして全国高校サッカー選手権では全国ベスト8に進出しました。勉強面では第1志望校には到達しませんでしたが、高校受験時同様、塾には行かず「"自分の意志で努力をした"というプロセスには、一片の悔いもない」と語る高校時代を過ごし、早稲田大学入学後、大学職員兼教員という特殊なキャリアを経てNPO法人スポーツカントリーアンビスタを立ち上げます。
(サッカー少女たちが所属するFC HERMANA)
中学、高校時代と量・質ともにとてつもないレベルで文武両道を追求してきた石尾さんが掲げる、アンビスタの文武両道とは? 次回の記事で、そのユニークな取り組みを紹介します。
石尾潤(いしお・じゅん)
NPO法人スポーツカントリーアンビスタ代表理事
私立國學院大學久我山高等学校へ一般入試で入学。3年の全国高校サッカー選手権でベスト8。早稲田大学教育学部入学と同時にサッカーの指導者に転向。女子サッカーチームFC HERMANAで指導をする傍ら、文武両道支援特化型のアカデミー「Academia Ambista(アカデミア アンビスタ)」を運営。
NPO法人スポーツカントリーアンビスタ
2016年創立。少年少女サッカークラブ(FC LIGAR / FC HERMANA)の運営を中心に、小中学生の文武両道の支援(Academia Ambista)、未就学児と母親を対象としたヨガ教室(Raga)、小学生対象のチアダンス教室(W☆Orange)の運営を行っている。
ほかにも地域の子どもたちを対象とした『走力アッププログラム』、JFAの女子サッカー普及委託事業『なでしこひろば』、アスリードフードマイスターを招聘しての栄養講座など、地域住民へスポーツの機会を提供している。
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文:鈴木智之、写真提供:NPO法人スポーツカントリーアンビスタ