サッカーをする子どもを持つ親御さんの中には「サッカーを一生懸命やるなら勉強は仕方ない」「プロになるには勉強よりもサッカーが大事」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。それでも多くの親御さんは、サッカーだけの「サッカーばか」ではなく勉強も頑張ってほしい、サッカーを通して社会に出て通用する力を身につけてほしいと望んでいるものですよね。
これまでサカイクでも幾度となくサッカーと勉強についての記事を配信しており、勉強やそれ以外の事も頑張ったうえで、四六時中サッカーの勉強をしている“サッカーバカ”を目指そうという記事も配信しましたが、今回は「サッカーばかり」の「サッカーばか」にならないよう、“人財育成”を重視する、茨城県つくば市に拠点を置くつくばFCという街クラブを例に考えていきたいと思います。(取材・写真・文:本田好伸)
育成年代の現場では時々、コーチに怯え、目を見て話せない子どもの姿を見かけます。スタンドから怒鳴る親の声に反応し、ピッチ内では仲間の要求に応えられず、後ろ向きなプレーに終始してしまうこともあります。そんな時はふと、「この子は、なぜサッカーを続けているんだろう?」と思ってしまいます。周囲の声を気にして自分で考えることをせず、受動的にプレーしてしまう子どもたち。思考せずただボールを蹴っている子もまた「サッカーばか」と言えるのではないでしょうか。
もちろんこの言葉の定義は難しく、「勉強をしないでサッカーばかりしている」ことを指す場合など様々な意味があるでしょう。いずれにせよ、サッカーだけに傾倒したままでは将来、競技に限らず、社会性、人間性という観点でも遅れを取ってしまうかもしれません。では、サッカーばかにならないために、どんなことが大切なのでしょうか。
■“クラブの思い”こそ、一番に考えるべきこと
Jリーグの育成組織や少年団、街クラブなど、育成年代を指導するサッカークラブは全国に数多く存在しますが、茨城県つくば市に拠点を置くつくばフットボールクラブ(つくばFC)は、1993年から地域に根ざした活動を続ける街クラブの一つです。関東リーグを戦うジョイフル本田つくばFCというトップチームを筆頭に各カテゴリーを整備し、女子カテゴリーや、様々なスポーツの活動も行う総合型スポーツクラブとして、1000名を超える選手やスタッフがクラブに関わっています。一般的には、実績があり、信頼の置けるクラブと言えるでしょう。
では、子どもがサッカーをしたいと言った時、お父さん、お母さんは、何を基準にクラブを選ぶのでしょうか?
Jリーグの育成組織や全国大会などで実績を持つクラブでしょうか? それとも、身近な少年団でしょうか? 意識したいのは、子どもがサッカーのプロ選手に限らず、いずれ社会で活躍できる人間に成長してほしいと願うかどうかということ。もしそうであるなら、“クラブの思い”こそ、一番に考えるべきだと感じています。
つくばFCは、「すべての人が生涯、素晴らしい環境でスポーツを楽しめるようにすること」という理念を掲げています。「人はかけがえのない財産」という認識から、「人材」を「人財」と表現し、サッカー選手に限らず、子どもが将来、一流の人間になってほしいという、強い思いを持っているクラブです。
もちろん、サッカーのプロ選手になることは大きな願いであり、子どもたちが憧れる存在になれるように、男女ともにJリーグとなでしこリーグ入りを目指していますが、すべてのスタートは“人財育成”にあります。こうしたブレない信念を持っているかどうかは、クラブ選びの大きな判断材料となることは間違いないでしょう。
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文・写真:本田好伸