考える力
元バルサの頭脳、シャビが一番大事にしている「最適なプレー選択」に必要な判断力の身につけさせ方
公開:2017年10月24日 更新:2021年1月27日
■ただ「考えろ」というだけではダメ
では、トレーニングではどのように取り組むことが求められるでしょうか。
例えば、攻撃選手3人対守備選手2人という形の練習はとてもオーソドックなものだと思います。ここで「考えろよ!」「アイディア出せよ!」といって子供まかせにして、黙って見守るだけではなく、「ボールを持っている選手が相手守備の一人を引き付けることで、味方選手の一人を完全にフリーな状況を作り出す」ことが目的だというのを明確にすることが重要です。
そうすることで、その目的を基準にどんなプレーが有効か、どんなプレーが状況にふさわしくないかの線引きを知ることができます。
慣れてきたら試合の状況に近づけるために、「10秒以内にシュートまで」「DFがボールを奪い返してコーチにボールをパスしたらオフェンス陣は腕立て5回」という風にルールで刺激を与えるのもいいアイディアでしょう。
いい選手に求められる決断能力とは、時間的な制限や様々なプレッシャーがある中で、自身の持つ能力から、可能な限り理想的で、状況に応じた行動を選ぶ能力なのです。
■大人の役目は子どもが「発見」できる環境を作ること
へーナーさんが言うように、選手はできるだけ素早く適切な選択肢を見つけ出し、その中から最適な決断をする。このとき「最適な決断」の中には状況に対応させること以上に、自分の今できる技術レベル・メンタル状態・フィジカルコンディションで可能かどうかという判断も重要になるということです。
ただし、だからといって、「無理そうなプレーはするな!」という消極的な解釈をするのはどうでしょうか。
「どう考えてもそれはできないだろう?」という無謀なプレーは考えなければならないでしょうが、イメージしたプレーができるようになるためには様々な失敗を繰り返しながら、少しずつ成長していくことが求められます。
だからこそ育成年代では、トレーニングでも試合でも、将来的にできるようになるために、常にチャレンジすることが大事なります。
この点で特に大事なのは、答えの発見を子どもたち自身ができるように導くことです。何から何まで指導者が口にすべきではなく、あくまでもヒントや指摘まで。あとは子どもたちがゲーム形式の練習の中で、自分でキーワードを結びつけ、自分で整理できるように、環境を整えてあげましょう。
自分で「これだ!」というものを発見した時の興奮は何よりも素晴らしい成功体験です。