考える力
大人が離れれば子どもはどんどん成長する! 運営、審判、試合の作戦まで子どもたちだけで行う「子どもが主役」の大会
公開:2018年3月16日 更新:2018年3月23日
■言い合い、ぶつかり合いも子どもを成長させる
この大会は3ピリオドで、選手は1ピリオドごとに交替するルールです。そのため、選手全員が交互に出場します。誰がどのピリオドに出るかも子どもたちが決めるので、なかには「俺は出ていない」「あいつばかり出ていて」などの言い合いになるそうです。
(試合中の交代も含め、試合に誰が出るかも子どもたちが決めます)
「普段の試合だと、不満がある場合はコーチに言います。でも、この大会は子どもたちで解決するしかありません。発言力のある子は他の子のことも配慮してあげてほしいし、勇気を持って意見を言ってほしい。大人が口出ししないことで、子ども自身が考えて、解決しなければいけない状況を作っているんです」
ちなみに一場さんが監督を務めるFCしらゆりシーガルスでは、子どもたち同士がけんかする機会を大切にしているのだと教えてくれました。けんかを通して自分の考えや気持ちを伝えること、相手の考えを受け入れること、相手を許すこと、お互いが納得する解決策を見つけることは、社会に出ても役に立つスキルと考えているからです。それはサッカーのプレーでの力加減などにも反映されると言います。
しらゆりシーガルスでは、「仲直り」したと証明するためにチームメイトの前で握手やハグを行うというルールを設けています。本人同士だけでなくみんなに証明してけんかを終わらせることで、気持ち的にも区切りがつき、サッカーはチームプレーだという意識も芽生えるようです。
大人に頼らず、自分たちで行動する。自分の考えを相手に伝える。子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのための大会を開催すると、子どもたちには多くの『経験』が、大人にとってはたくさんの『気づき』があるようです。
後編では『子どもが主体』の大会を円滑に進めるためのポイントについて、一場監督の考えを紹介します。
後編:指示待ち人間にならないために。 言葉より「経験」を通して学ぶことでサッカー選手としてもレベルアップ>>
しらゆり招待サッカー大会とは
しらゆりチャンピオンスポーツクラブ、FCしらゆりシーガルスが主催する小学生年代のサッカー大会。伊勢原市、学校法人伊勢原白百合学園が後援。
神奈川県伊勢原市で開催される「子どもが主役」を主旨として、子どもたちが主体的に大会を運営する大会。設営から試合の審判、片づけまですべて子どもたちの手で行い、大人はそれを見守りサポートする「子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのための」大会。2018年の大会期間は2/10(土)~3/17(土)までの毎週土曜日または日曜日。3/31(土)にはオランダ大会も行われる。
日本では、サッカーだけでなく人間性を育むための大会を行っているという事を伊勢原から世界に発信していく。
更にこの大会は、サッカーを通して地域を活性化させる狙いもある。伊勢原市観光協会は、民芸品や郷土料理を販売し、伊勢原・大山をアピール。県外からのチームは大山旅館組合の旅館に宿泊。伊勢原市の伝統工芸品「大山こま」の大会を伊勢原青年会議所と一緒に開催するなどたくさんの地元の企業・団体・商店がこの大会に関わっている。キッチンカーが何台も並び、単なるサッカー大会でないことが分かる。地元の高校生との交流もあり、スポーツと文化を通じての地域交流の場にもなっている。子どもの成長の場を、大人や地域がみんなで協力して支えている大会である。