みなさんは家庭で子どもたちの世話をどの程度していますか? まだ小学生だから......と何から何まで手伝ったり、先回りしたりしていませんか? 親がやってくれたら、子どもにとってはとても楽チン。考えることも責任を取ることも覚えません。
子どもは自分で色々チャレンジする才能を持っています。でも、親がなんでも先回りして準備をしてあげると自分で考えて行動する力がつかず、自分が好きでやっているサッカーの準備も全部親任せになってしまったりします。
これから先、中学、高校、大学、社会人となってもずっと先回りしてあげることができるのでしょうか? そしてそれは子どもにとって幸せなことでしょうか?
可愛い我が子の自立をサポートしたいなら、ほんの少しの間だけ、親が先回りして手を貸せない環境のなかで、子どもが自分で考えて行動するきっかけを与えてみませんか。
この夏、みなさんも子どもと離れて過ごす非日常体験を通して、子どもの自立に向き合ってみてはいかがでしょうか。
(取材・文:前田陽子)
■親はどうして子どもの世話をするのか
― 高峯コーチはこれまでサカイクキャンプで多くの子どもたちを指導しています。今の子どもたちの特徴を教えてください。
高峯:子どもたちはみんなかわいいい。自信のある子、ちょっと自信のない子。でも、どの子にもいいところがあるから、そこを伸ばしたいと思って向き合っています。小学生年代ではまだ自分の長所に気が付いていないことが多い。だから、いいところを褒めて、そこに気が付いてもらうことが大切だと思っています。
― サカイクキャンプでは、グループ内での仕事の割り振りを子どもたちで決めているそうですが。
高峯:リピーター参加してくれている子たちが、みんなで話し合って決めてもらいます。どんな役割がいいのか、子どもたちなりの考えで進め、自分達で決める事で主体的にキャンプへ参加する気持ちが生まれてくると思っています。
また、毎日夕食後に1人1人にコーチから評価をフィードバックします。もちろんダメ出しなどはせず、できていたことを言葉で評価し、翌日さらにモチベーションが上がるような声かけです。
― 親御さんたちは、キャンプに子どもたちをゆだねているのだから、コーチたちに仕切ってほしいと思ったりしていませんか?
高峯:コーチは何しているんだ!って?(笑) 後からクレームというのはありませんが、事前に「自分の子どもはサッカー技術を向上したいから、うまい子たちとチームを組ませてほしい」とか、「大人しい性格なので、やんちゃな子どもと同じ部屋にしないでほしい」、というリクエストをいただいたことはありました。
実際は、技術のある子がサッカー経験の浅い子と一緒になって率先して教えたり声をかけたりして、それまでは表に出ていなかったリーダーシップを発揮するようになったり、技術のある子の方にも気づきや成長があるのですが......。
私も子を持つ親なのでお子さんが心配なのは理解できますが、今の親御さんは本当に先手を打ちたがりますね。
― 子どもに苦労をさせたくないんですよね。ケガしたり、忘れ物で困ったりしたらもう大変!と考えちゃう。だって、子どもは親の分身。理想の子にしたいし、そんな素敵な子の親でいたいと思っちゃうんですよね。
高峯:でも、子どもと親は別人格ですよね。親の思うようには育たないんじゃないですか。
― そうなんだけど、できるだけ反抗される期間を先にしたくて、短くしたい。そのためには先手必勝なんですよ。子どもも苦労しなくていいから、心地いいんじゃないですかね。子どもから「いい加減にしてくれ」「やめてくれ」とはっきり言われないと、子どもの役に立っていると勘違いしちゃうんですよ。
次ページ:親が「あること」をするだけで、子どもがグングン成長
サカイクキャンプ2018夏