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「学校の成績が低いと、練習参加禁止」を実践。選手権やプロを目指すために必要な心構え

公開:2019年12月 6日

キーワード:FOOTBALL CLUB 66サッカー推薦ジュニアユーススポーツ推薦内申点勉強大学進学強豪校比較しない活動停止Jリーガー

神奈川県横浜市を拠点に活動するFOOTBALL CLUB 66。ジュニアのスクール、ジュニアユースのチームを持ち、精力的に活動を続けています。スクールでは個を伸ばすことに重点を置き、ジュニアユースは「やるからには真剣に、プロを目指そう」というテーマで活動をしています。

ジュニアを経てジュニアユースでは、どのような心構えでサッカーに取り組むべきなのでしょうか? 鈴木浩二監督に聞きました。

(取材・文・写真:鈴木智之)

 

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クラブでは、選手たちの将来を考えて「プロになりたいのならば、大学まで見据えよう」という話をするそう(C)鈴木智之

 

■サッカーだけでは強豪校に行けない時代

FOOTBALL CLUB 66では、選手たちに「プロになりたいのならば、大学まで見据えよう」という話をするそうです。近年、大学経由でJリーガーになる選手が増え、即戦力として活躍しています。大学卒業の肩書があれば、セカンドキャリアの選択肢も増えます。

「大学で頑張って、Jクラブの特別指定選手になれば、上田綺世選手(法政大→鹿島)のように、大学の途中でJリーグに入るケースもありますよね。小池裕太選手(流通経済大→シント・トロイデン→鹿島)のように、大学から海外に行く可能性もあります。そのためには、勉強もしなければいけないんです」

勉強の重要性は、ジュニアユースに入ると顕著になります。なぜなら、高校進学があるからです。

「高校サッカー選手権にあこがれて『強豪校でサッカーがしたい』という選手は多いです。昔はサッカーの能力が高ければ、スポーツ推薦で高校に入ることができましたが、最近は学力を重視する強豪校が増えています。5段階評価で9教科あり、最大が45だとして、32から36ぐらいは取っておかないと、サッカーが上手くても『その成績では無理ですね』と断られてしまう可能性があります」

学力が高ければ、学校選びの選択肢も増えます。せっかくサッカーの能力が高くても、学力が到達しないがゆえに、希望校に進めないとなると悔いが残ります。FC66のジュニアユースでは、勉強の成績によって、クラブでの活動を停止するというルールを作ったそうです。

「いまは、サッカーだけやっていればいいという時代ではありません。成績が9教科で20台の子は、自己申告でいくつまで内申を上げるのか決めてもらいます。30以上の子は、一つでも成績が落ちたら、テストからテストまでの期間はサッカー活動を停止してもらいます。親御さんからは『すごくいい。助かります』と言われますし、それで成績を4上げたり、最大で6上げた子もいました。クラブは月謝をもらっている手前、活動停止には中々踏み切れなかったんですけど、大事だと思って『やります』と言ったところ、成果につながっています」

サッカーの能力と学力。この2つがなぜ必要なのかというと、誰しもがプロになれるわけではないからです。ましてや大学まで進んでプロになるキャリアを描いているとなると、学力は切っても切り離すことができません。

「勉強以外にも、人間性を育むことも大事な軸にしているので、社会のマナーを身につけさせたいと思っています。たとえば、練習後の買い食いは禁止にしています。プロテインを持って来させて、補食も摂らせるので、練習後に最低限の栄養摂取をさせています。家に帰った後も、消化の良い物を食べるという風にしています。夜遅くにコンビニに寄る姿は良くないですし、歩きながら食べるのも良くない。ましてや電車の中で食べるなんて、もってのほかです」

 

■サッカーを思い切りやれているのは「当たり前」ではない

なぜ社会のマナーを大切にするのでしょうか。その理由を、鈴木監督は「子どもたちの将来のため」と言葉に力を込めます。

「極端な例ですけど、いまは不自由なく育っていたとしても、何かのきっかけにサッカーが続けられなくなったり、家庭の事情で働きに出なければいけなくなる可能性もゼロではありません。将来どうなるかは、誰にもわからないですよね。いつ社会に出てもいいように、最低限の社会性は中学生年代の内に身につけてほしいと思っています。言葉遣いもそうですが、『了解です』という言葉は、目上の人には失礼にあたりますよね。 LINE やメールを送るときも『承知しました』『かしこまりました』など、社会人が送るような文面や内容、日本語の使い方なども教えています」

子どもたちには「いろいろな人の助けがあって、好きなサッカーを思いきりやれていることを、当たり前だと思わないこと」と、常々言っているそうです。

「親から買ってもらったスパイクやバッグを大切にすることもそうですし、感謝の気持ちを持ってプレーしてほしいですよね。普段の生活はプレーに出ますから。いい加減な生活をしている人は、プレーもいい加減です。保護者には、『プレーには普段の生活が出るので、何かあったら、言ってください』と伝えています。『親御さんが言っても直らないようであれば、僕らの名前をうまく使ってください』と。『鈴木コーチに言うからね』と、僕が悪者になっても構いませんので(笑)」

 

■成長には個人差がある。「今」できなくても他の子と比べないで!

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成長には個人差がある、わが子が「今」ほかの子よりできない部分があっても比較しないこと(C)鈴木智之

 

様々な角度から、選手を成長させるアプローチをする鈴木監督。「選手の成長は、個々にタイミングが異なる」と言います。

「成長には遅い、早いがあるので、慌てずにその子の成長スピードを見ながら、かける言葉を変えています。他の子ができることができなかったとしても、今は仕方がないと割り切ることも大切です。時間をかけて育っている途中なので、保護者も他の子と比べるのではなく、懇親会などで話をして、『慌てないでください。僕らが慌てていないので、お父さんお母さんが慌ててはだめです』と言いますし、選手本人ともしっかり話をします」

子どもの成長について、様々な観点から考えを聞かせてくれた鈴木監督。最後に、保護者がどのようなサポートをすればいいかを聞きました。

「親ができることは、子どもを後ろから支えてあげること。子どもを信じて、後方支援をしてもらいたいというのが一番ですね。あとは、小学校高学年、中学生年代は成長期なので、食事の面は最大限サポートしてあげてほしいなと思います。親御さんだけでサポートをするのが難しいことに関しては、僕ら指導者や学校の先生と三位一体となって、子どもを成長させていくことが大事だと思っています」

 

今回お話を伺った鈴木浩二さんが監督を務める
FOOTBALL CLUB 66のHPはこちら>>

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取材・文・写真:鈴木智之

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