考える力
自然と考える力がついて家でも継続できる! サッカー上達にも直結する「サカイクキャンプ サッカーノート」の仕掛けとは
公開:2020年3月17日 更新:2020年3月18日
今年も春休みにサカイクキャンプが開催されます。参加者からはサッカーが上手くなるだけでなく、「考える力がつく」という感想が寄せられるキャンプですが、昨年末と年明け1月に開催した冬キャンプから新たな取り組みとして、しつもんメンタルトレーニングとコラボレーションしたサッカーノートを導入しました。
サカイクサッカーノートを監修するのは、しつもんメンタルトレーニングでおなじみの藤代圭一さん。サカイクキャンプのコーチ陣による「子どもたちが、自分の考えをたくさん書けるようにしてほしい」というリクエストに応えて、様々なしつもんを作ってもらいました。
これまでも「自分で考える力」を育むことを大事にしてきたサカイクキャンプですが、コーチたちも「これまでよりさらに、自分で考えるきっかけになる工夫がある」「自分の考えを言語化すること、アウトプットする力がついていると感じる」と称賛のこのノートのすごさをキャンプのヘッドコーチを務める高峯コーチに伺いました。
(取材・文:鈴木智之 写真提供:オールスポーツコミュニティ)
■自分の考えを整理しやすい設問で、自然とたくさん書けるようになった
サカイクキャンプの責任者を務める、高峯弘樹コーチは言います。
「以前から、キャンプに来る子たちにサッカーノートを書いてもらっていたのですが、『そもそも子どもたちは、何のためにノートを書くのだろう?』という原点に戻ることにしました。せっかくキャンプに来て、ノートを書く時間があるのだから、自分の考えを言葉にして、文字に残してほしい。そしてノートに書いたことを意識しながら、トレーニングに取り組んで欲しいと考えました」
白紙のノートを前に「さあ、思いついたことをなんでもいいから書いてみよう」と言われても、なにをどう書けばいいの? と悩む子も多いもの。とくに、考えを言語化する能力がまだ低い子にとっては難しいようです。
そこでしつもんを通じて、考えを整理させることで、文字にしやすく、書きやすくなるのではないか? そう考えたのが、サカイクサッカーノートのスタートでした。
「前回のキャンプでテスト導入してみたのですが、子どもたちがたくさん書くようになったんです。これはすごいぞと思いましたね。自分の考えを整理して、言葉にするのが苦手な子に対しても、コーチがしつもんを通じて『どう思った?』『どこがうまくできた?』など、掘り下げていくことができるんです」
高峯コーチは、さらに続けます。
「サッカーがうまくなるためには、感覚的なものも大切ですが、それと同じぐらい、理論立てて考えることや言語化することも必要です。サカイクはライフスキルとして『感謝の心』『コミュニケーション』『考える力』『リーダーシップ』『チャレンジ』と5つのテーマを大切にしていますが、ノートを書くことで、これらのポイントに気がつくことができます。考えることに対する出発点になるんです」
キャンプの3日間のうち、日を追うごとにつれてノートの書き方がわかってきて、たくさん書ける子も出てくるそうで、コーチが「たくさん書けてるね。その内容、いいね」などと声をかけると、嬉しそうな顔を見せるそうです。
「昨日よりたくさん書けた。それも小さな成功体験ですよね。そこで褒めると、子どもたちのやる気もアップします。たくさん書くために考えるようになりますし、文字にしてアウトプットすると記憶に定着するので、次の日の練習で意識しやすくなります」
■家に帰っても継続できる、サッカーが上手くなるためのノートの書き方
サッカーが上手くなるためのノートの書き方のポイント。それが「目標設定と振り返り」です。(高峯コーチ)
「成長のためには、目標設定と振り返りがセットになることがポイントです。今日の練習でうまくいかなかったことはなんだろう? と振り返り、どうすればよくなるかを考えて、明日の目標をたてます。ノートの中にあるしつもんに答えることで、振り返りと目標設定がスムーズにいくようになっています」
サッカーキャンプは3日間という限られた時間ですが、そこで身につけた思考プロセスや、考えて文字にするときのポイントを理解することができたなら、家に帰った後の継続も期待できそうです。
「キャンプの中でサッカーのプレーだけでなく、練習やプレーを振り返ること、考えたことを言語化することにも取り組んで欲しいと思っています。そのためにこのノートはすごく役に立つものだと信じています」
漠然とボールを蹴るのと、自分のプレーを振り返り、意識しながら練習をするのとでは、上達の度合いが変わってきます。
「キャンプでは練習が終わった夜に、今日は自己採点で何点だったかを書いてもらい、次の日の目標を立てます。その日のプレーを思い出してもらうために、イラストで書く欄もありますし、しつもんは、具体的に答えられるようになっています。子ども達に考える余地を与えて、イメージを引き出しやすいようにしているのです」
3日間のキャンプで書いたノートを見返すことで、自分の考え方の変化に気がつくと同時に、保護者の方も「うちの子は、こんなことを考えて過ごしていたんだ」とわかるようです。
■サカイクキャンプはレベルに関係なく、どの子も楽しめるキャンプ
高峯コーチは最後に、こんなメッセージをくれました。
「ノートを見返すと、子どもの思考をたどることができます。初日と3日目とで書いてあることが変われば、成長している実感がわきますよね。キャンプはサッカーを楽しめる場であることは間違いないですし、サッカーが好きな子は、もっと好きになると思います。日々の競争で疲れている子には、サッカーって楽しいものなんだと思い出すきっかけになってほしいですし、考える力を刺激するので、レベルに関係なく、楽しめると思います!」
サカイクキャンプ2020春も、サッカーをする楽しさを存分に味わえるだけでなく、今回から本格導入するこのサッカーノートにより、自分で考えることがまだまだ苦手な子でも、考えるきっかけを自然に身につけ、家に戻ってからも継続性が期待できるキャンプとなっております。
高峯弘樹(たかみね・ひろき)/サカイクキャンプヘッドコーチ
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科博士前期課程修了。ケルン体育大学聴講生を経てベガルタ仙台ユース・ジュニアユース監督、大阪学院大学高等学校サッカー部監督(2007年高校選手権 大阪予選準優勝)、神奈川大学サッカー部監督などを歴任。現在はシンキングサッカースクール、サカイクキャンプで子どもたちを指導するほか、セミナー講師などの活動も行っている。
保有ライセンスは日本サッカー協会公認A級ライセンス、ドイツサッカー協会公認B級ライセンス