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「振り返り」ができるようになって上達を実感、強豪街クラブ・センアーノ神戸が導入したサッカーノートとは

公開:2022年7月27日 更新:2022年10月17日

キーワード:サッカーノートサッカー上達センアーノ神戸自分で考える

兵庫県神戸市の強豪街クラブ、センアーノ神戸は、選手と監督・コーチとの間でサッカーノートをやりとりすることで、サッカー・生活両面でのコミュニケーションを図っています。

これまでは市販のノートを使用していましたが、この春からサカイクサッカーノートを3年生以上の年代で導入。

使用して約2か月の時点でどんな変化や成長を感じるか、クラブの代表を務める大木宏之監督と学年の担当コーチ、選手たちに聞いてみました。選手たちも実感しているサッカー面での成長などをお伝えします。
(取材・文:貞永晃二)

 

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チームの代表を務める大木監督は、これまでのノートに比べ圧倒的に書く量が増えたことを実感していると教えてくれました

 

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【関連記事】子どもたちが証言! 「自分の現在地」がわかるから課題が明確になるサッカーノート

  

■サッカーノートを上手く使ってサッカーIQを上げてほしい

まずはU-12の大木宏之監督にお話を伺いました。

――選手は土日に使ってもらっているそうですね。

大木監督(以下、大木) 土日に試合をするので、試合前に目標を立てて、試合後にそれを振り返るというやり方です。提出してもらって僕らがコメントを書く形で使用しています。

以前は普通のノートを使用していました。内容は、半分はサッカー以外のこと。たとえば家での様子や、学校で何かあったとか、何でもいいから普段の生活の事を、あと半分はサッカーの試合のことを書いてもらっていました。特に「今日やってよかったこと」3つくらいと、ここはこうしたら改善できるというような「もっと良くなるところ」を3つくらい書いてください、といったやり方で運用していました。

 

――選手は試合映像を見てノートを書くのですね?

大木 高学年は選手がその日の試合の映像を見られるように、Googleドライブを使っています。保護者が撮影したビデオをアップしてもらってみんなで共有して、僕であれば担当している4年生の試合を見て、その振り返りを行うわけです。

選手たちにも映像はちゃんと見るように言っています。海外では小学生年代でも自分たちの映像を見て振り返るのは普通のことだと聞きます。今、教え子がサウサンプトン(イングランド)のアカデミー(U-15)にいるんですが、その子の話では、チームから送られてきた映像を自分で分析して、トリミングなど編集をしてコメントを書き、コーチに送り返すということをやっているそうです。

うちは街クラブなのでそこまでの運用は難しいですが、少なくとも映像を見てサッカーノートをうまく使って、自分たちのプレーを分析することで、サッカーIQを少しでも上げていってほしいと思っています。

 

 

■子どもたちが書く量が圧倒的に増えた

――サカイクサッカーノートを使用して変わった点を感じられますか?

大木 サカイクのノートは試合の前に目標を書く項目があるので、前回の振り返りと、今日の目標、どんなことを工夫するかというのがあるので、子どもたちにとってはすごくいいと思います。

僕ら指導者たちも「今日はこんなことを目標にプレーしていたんやな」っていうのが見えるのでそれはすごくありがたいです。今日どんなことをしたいか、どんなことを学べたかとか、ちゃんと項目ごとにあるので、子どもらはすごく書きやすいと思います。

しつもんに沿って書いていく形式なので、子どもたちが書く量が圧倒的に増えてますね。書きやすいんだと思いますよ。

 

■自分の気持ちを口に出すのが苦手な子も、ノートで本音を伝えてくれる

――保護者の反応はどんな感じですか?

大木 監督、コーチと子どもたちとのコミュニケーションツールとして、すごくいいですねと言われました。

小学生だと本当に喋れない子たちがいますからね。でもサッカーノートにはちゃんと書けたりするんです。もちろん、声に出して表現できない本音を伝えてくれるのは良い事ですが、将来的には、それをちゃんと口に出して言語化する訓練もしないといけないなとは思っています。

そういった、自分の気持ちを口に出すのが難しい子もいますから、コミュニケーションツールとしてはすごくいいですよ。

子どもたちとのコミュニケーションが取りやすくなったので、「今日はシュートを意識していたんやろ。すごくよかったやん」などと声かけしたら、言われた子は目を輝かせて、どんどん自信を持って能動的にプレーが発揮できるようになったような感じはしますね。

 

■選手たちと「サッカーの会話」が増えた

――選その他気づかれた点はありますか?

大木 いいなと思ったのは体重を記入する欄です。体重の増減が分かるので、あまり体重が増えていないのに身長ばかり伸びている子はトレーニングのやりすぎじゃないか、と考えるきっかけになります。選手たちの健康のためにもトレーニング負荷、試合の頻度、そういうのをスタッフが知り得る目安になりますから。

あと、朝起きた時の体調を3つの顔から選ぶ欄もすごくいいと思います。例えば、一番左(悲しい表情)にチェックが付いていたら、どうした? とやっぱり声をかけますよね。

子どもらの変化で言えば、サッカーの知識のところですごく探究心が出てきて、発言の内容がサッカーっぽくなりましたね。代表戦とか、Jリーグ、プレミアリーグとかを見て、「あの選手のあそこはすごくいいよね」とか、そういう"サッカーの会話"が増えているような気はしますね。

 

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■「振り返りができるようになった」3、4年生代表の声

選手代表として動画でコメントを言ってくれた4人と担当コーチに感想をお聞きしました。

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選手たちもそれぞれが自分の課題を振り返ることで成長につながっていることを実感しているそう

――サカイクサッカーノートを使ってどうですか?

●安田蒼くん(やすだ あお・4年生)
振り返りができるようになりました。練習の前にこのサッカーノートを見て、できたことはもっと伸ばそうと、できなかったことは修正してもっと頑張ろうと思うので、サッカーの面でも伸びたと思います。

●石川克人くん(いしかわ かつひと・4年生)
このサッカーノートを使って、パスのスピードや、オフザボールの動きをもっと多くすることを意識してできるようになりました。

●山田真平くん(やまだ しんぺい・3年生)
味方を生かすプレーとか、自分で思いきり突っ込まずにパスを出せるようになりました。サッカーノートは良くなかったことも詳しく書けるから、改善点を次の試合で意識できるようになりました。

●杉本悠陽くん(すぎもと ゆうひ・3年生)
前は「止める・蹴る」の精度が低かったけど、このサッカーノートで何回も振り返ることで、「止める・蹴る」のパススピードや置く位置が良くなりました。サッカーノートは質問されるのではなく、自分で考えて書くものと思っていましたが、サカイクのノートを使ってみて質問されるサッカーノートもあって、自分だけじゃなくてサッカーノートと一緒に書けるんだなあということが分かりました。

 

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■4年生担当コーチも「思考が分かりやすくなった」ことを実感

●前泊璃音コーチ(まえどまり りお・4年生担当)

――サカイクサッカーノートを使ってから選手の変化とか日常で気づいたことはありますか?

前泊 子どもたちがいつもの練習では口にしていないことをノートに書いて、表現してくれるので、本心というか普段は言葉にできていない本音や思考が分かりやすくなったのは、変化だと思います。

 

――以前のノートとサカイクサッカーノートの違いはどうでしょうか?

前泊 以前使用していた市販のノートだと、良いことを3つと改善点3つ、そしてサッカー以外の生活について数行といった割と自由な感じなので、書くのが苦手な子もいましたが、サカイクのノートだと質問が書いてあって、それに答える形で書くので、以前に比べて書く量も増えました。

 

――サッカーの面で意識が変わったとか、以前はできなかったことができるようになってきたなどの変化はありますか?

前泊 まだ使い始めて2か月程度なので、そこまで明確には感じられないですが、ちょっとずつ感じられればいいと思っています。

 

■3、4年生たち自身が感じた成長

動画でコメントしてくれた上記4人以外の意見も紹介します。子どもたちの本音を参考にしてください。

――選サカイクのノートを書くようになって、サッカーで変化がありましたか?

「声を出すことを監督に言われて、それをノートに書きました。ノートで振り返って(チームを)まとめるために声を出そうと意識して練習や試合に臨んだので、出せるようになってきました」
「ビルドアップが苦手だったけど、ノートを見て、できなかったことを次の時に練習して、できたことは継続してやっていたら、意識してうまくビルドアップできるようになりました」
「タテにパスを入れることしか考えてやっていなかったけど、繋ぐことをノートに書いて、意識して練習をしていたら、強いパスを繋ぐことができて横から縦にボールを動かすことができるようになった」
目標を高く持てる。できなかった時はノートを見て前のことを振り返ってから、また目標を書けるから。目標を立てるのにはいいと思います」
「普通のノートの時は、目標を立てても忘れることが多かった。だけどサカイクのノートは前のページの目標の欄を見れば書いてあるから忘れにくいです

 

■サッカーを始めたころの自分を思い出した

――最初の方のページに、「どうしてサッカーをはじめましたか」、「10年後どんな自分になっていたいですか?」を書くスペースがありますが、それを書いてどういうことを考えましたか?

自分がどうやってサッカーを始めたのか、とかそういう自分の(幼稚園の)小さかった昔のことを思い出した。今とだいぶ違うな、大きくなったなと思った」
「書いたのは2018年Wカップの時の乾貴士選手のゴールを見て、本気でサッカー選手になろうと思ったこと。今でもあのゴールを覚えていて、憧れていてあんなゴールを決めたいなと思っています」

 

■「今の自分」を知ることで、工夫を重ね成長につながっている

これまでもサッカーノートは書いていた選手が多かったですが、割と自由な書式だったのであまり深く考えずに書いていたけど、サカイクサッカーノートしつもんがあるので考えながら書くようになったという声も。

そのぶん、以前のノートより時間がかかっているそうですがほとんどの子から「書きやすい」「目標が立てやすい」「振り返りができる」などポジティブな意見が聞かれました。

「今の自分」を知ることで、サッカーを考え、工夫するようになったので成長につながっている実感を持っている子が多いようです。

後編では、5、6年生の声をお届けします。

 

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