スポーツ選手は2倍から3倍のエネルギーが必要です。子どもはそれに加えて、成長するための栄養素も必要なため、大人と変わらない位の食事量を摂らないといけません。
そのためには3食しっかり食べないといけませんが、スポーツを頑張ると食事で得たエネルギーを消費してしまうため、それだけで成長に必要な栄養素まで補うことは非常に困難です。
では、何を食べれば良いのか?ガンバ大阪の阿部浩之選手や東京ヴェルディの梶川諒太選手ら関西学院大学のサッカー選手だけでなく多くのスポーツ選手への食事指導を行ってきたスポーツ栄養アドバイザーの吉田良子さんに、ちょっとしたアイデアで足りない栄養素を補う方法をお聞きしてきました。
■足りない栄養素を補うおやつメニュー
「市販のお菓子には砂糖と油がいっぱいです。ご飯などに含まれる糖質と違い砂糖は血糖値を急上昇させて急下降させるために身体をバテさせる働きがあります。油は血液をドロドロにして得た栄養を取り込めなくしてしまいます。単にお腹が減ったから、お菓子を食べるではなく、足りない栄養素をおやつで補うという考えに変えてみてはどうでしょうか?」と吉田さん。自身もサッカー選手の母親として、実践されてきた“栄養を補うおやつ”メニューがこちら!
【さつまいも】
さつまいもにはビタミンCと食物繊維が豊富。ふかしいも、焼き芋、大学いもなど食べ方はどれでもOK。調理法も簡単なため、手軽なおやつとして重宝できます。
【ホットケーキ】
単にホットケーキを作るのではなく、必要な栄養素を加えるだけで補食の効果が得られます。カロチノイド(抗酸化栄養)が豊富なにんじんをすり下ろして生地に混ぜてみたり、鉄などのミネラルをたっぷり含んだ干しぶどうを入れてみたり。牛乳の代わりにしなやかな筋肉を作ってくれる豆乳を使うのもおススメです。
加えて、サラダ油の代わりにオリーブオイルや米油を使うと効果は絶大。同じ材料で作れる蒸しパンにすると、油を使わなくてもOKというメリットもあります。毎回、作るのは大変という方には少し多めに作っておき、冷凍しておくという手もあります。
【小魚アーモンド】
スーパーなどで販売されている小魚アーモンドという商品。この商品は栄養素が高い2つの食材が合わせて食べられるのでおススメです。小魚は骨を強くするカルシウムが豊富。アーモンドには足がつらないようにするマグネシウムや、鉄、背を高くする為に必要なカルシウムと亜鉛等、ミネラルがたっぷり。体の酸化を抑えて病気を予防するビタミンEも豊富で栄養価が高い。ただ、カロリーも多めなので食べ過ぎには注意が必要です。
【黒ゴマきなこもち】
もちはエネルギー源である糖質です。もちろん単品で食べてもOKですが、そこに一工夫を加えてみましょう。しなやかな筋肉を作ってくれる効果があるきな粉に、ビタミンB群やマグネシウムが豊富なゴマを加えると栄養素がグンとアップ。豆類は非常に栄養素が高く、駄菓子屋で販売されているきな粉棒も隠れたおススメおやつメニューです。
【はちみつレモン】
おやつに気を使うのであれば、ついでに飲み物にも気を使いましょう。砂糖が多く入った甘いジュースよりも、お手製(もしくは手作り)はちみつレモンがおススメです。はちみつは高エネルギー源で早くエネルギーに変わります。 レモンは、ビタミンCとクエン酸で疲労回復に効果があります。混ぜるだけでOKと手軽な点も魅力です。
「私は手間がかかると続けられないので…」と吉田さんが話されるように、どれも簡単なものばかり。このレシピのまま再現できなくても、“こういうものが補食としていいんだ”と頭の中に入れておくだけで、日々の食事メニューを考える際に効果があると思います。風邪をひかない、怪我をしない健やかな身体の成長こそが、サッカー上達への第一歩。“おやつで補食”を子どもたちに試してみてはいかがでしょうか?
【吉田良子さんのおすすめメニュー】
吉田良子//
よしだ・りょうこ
スポーツ栄養アドバイザー。延べ1万人以上に講義・指導、数々の選手のパフォーマンスアップに貢献する。また、健康運動指導士として25年以上のキャリアを持ち、セルフマッサージやストレッチ・整体体操指導等で、健康のサポートをする。5月にプレラ西宮でスポーツ栄養に関するセミナーを行うほか、名古屋(5月、7月)、東京(6月)でも開催。
【吉田良子さんのスポーツ栄養セミナー】
◎プレラ西宮
5月4日(金・祝)
5月5日(土)
◎ウイル愛知
5月19日(土) 13時15分~
7月16日(月・祝) 13時15分~
◎マイペース新宿3丁目ビックスビイル店
6月2日(土) 13時15分~
6月3日(日) 13時15分~
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取材・文/森田将義 イラスト/MIHOKO 写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2012より)