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健康と食育

水分補給と体温コントロールで、真夏の試合はパフォーマンスを最大限に発揮しよう

公開:2013年7月 2日 更新:2013年8月30日

キーワード:水分補給熱中症疲労回復

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 並木トレーナーに聞く水分補給。二回目は実戦編となります。試合中の効果的な水の摂り方、普段から心がけたい『プレーに効く』水分補給のポイントを聞きました。
 
<<水分補給の2つの目的、身体から失われた水分を取り戻すのと、もうひとつは?
 
 

■体重減は要注意!? 失われた水分を取り戻そう

「朝起きたらまずやるのが体重を計ることです」
 並木さんが帯同したジュニア年代の日本代表で朝必ずやることが選手たちがじぶんで体重を計ること。彼らの朝は体重計に乗るところから始まります。
 
「朝の体重をしっかり記録して、練習前後にも計ります。体重がどのくらい減ったのか?そして朝の体重と比べてどのくらい減ったのか?を確認します。そして、こまめな水分補給と疲労回復・エネルギー回復のための食事によって、朝の体重に戻るように意識させます。体重が戻っていれば水分、食事も含めてしっかり管理できている。もし体重が減っているようなら要注意です」
 
 練習の直後、選手たちの体重は平均するとだいたい1.5kgは体重が減るそうです。出て行く水分、エネルギーを水分補給と食事で埋めなければ、いい練習ができたとは言えません。並木さんは過去にも「コンディショニングには食事が大切」と食べることの重要性を教えてくれています。
 
「水をしっかり飲んでいてもお腹を下している子どもは危ないんです。それは体重の変化を見ていればわかりますよね。水分、栄養がしっかりとれていない子どもは脱水症状になります。大量の水を一気飲むことや、冷えた水をカブ飲みするのを勧めないのは、やはりお腹を下しやすいからです」
 
 実戦編の始めに伝えたいことはコンディションを整えて試合に臨むことの大切さです。夏休みだからといって夜更かしして試合に臨んだら熱中症のリスクは当然高まります。練習中の体調の変化を把握しながら、子どもたちに無理をさせないことも親やコーチのできるサポートのひとつでしょう。
 

■飲む水とかける水 水分補給と身体の熱を取る方法

 試合中の水の摂り方にもポイントがあるそうです。
 
「基本的には給水タイムがありますが適宜水を摂ればいいのですが、子どもたちには『喉が渇いたな』と思う前に口の中を湿らすくらいの感覚で水を摂るように伝えましょう。普段の練習からインターバルで必ず水筒の水を飲む習慣づけをしておくことが大切です。水を飲む練習もサッカーの練習のうちです」
 
 並木さんは選手たちに「水を飲むときは走って飲みに行く」ことを徹底しています。試合に近いシチュエーションで水分補給をすることもポイントのひとつ。普段の練習の意識の差が試合でのプレーの質に関わってきます。
 
 給水タイムで飲む水は保管場所にも気をつけましょう。水筒はすぐ飲めるように手元に置いておくことの方が大切ですから、日よけのないベンチに放置しておくことになります。水分を摂ることを目的にする場合は、この水を飲んでも問題ありませんが、もし大人がサポートする場合は、これとは別に冷えた水やタオルを用意してあげるといいようです。自分では冷やしづらい箇所もあります。過干渉はやはり良くありませんから、試合に出ていないメンバーが出ているメンバーの首筋や頭の後ろ、もも前などにかけてあげるというのがよいでしょう。
 
「熱を持った頭は上手く動きません。ボーッとしていると、サッカーのプレーにも影響が出てきます。炎天下の試合では必ずと言っていいほど、頭が働いていない選手が出るのですが、そういう選手には水を飲むように伝えるのと、ハーフタイムでは重点的に氷につけたタオルなどで身体を冷やします」
 
 海外のクラブや日本代表では、試合後選手たちをミニプールにつからせ、身体を冷やすそうです。
 
「15℃くらいの水で半身浴。これは最近特に良く見かけますね。海外に行くとピッチの横でプールに入っちゃうチームもありますよ」
 場所の問題もあるのでなかなかそこまではできませんが、それだけ身体を冷やすことが重要視されている現れでしょう。
 
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■熱中症の予兆を見逃さず素早く対処

 判断が鈍ってきた選手は、パフォーマンスが発揮できないだけなく、しっかり見ておかないと熱中症になる可能性があります。
 
「選手たちには唇の周りがしびれるような感覚があったらすぐに言ってくれと伝えています。これは熱中症の予兆で、ここから頭が働かなくなり、足取りもフラフラになってきます。こうなる前に手を打ちたいので、まずはとにかく体温を下げること。足がつるというのも、水分、ミネラルの不足が主因と言われていますが、両方の足を同時につった選手は危険と考えてください」
 
 少しでも症状が出た選手は日陰で休ませ、身体を冷やすこと。スポーツドリンクや最近よく目にする経口保水液などを摂らせて安静にします。素早く対処しないと熱けいれんや失神が起きる場合もあるので、無理はさせないようにしましょう。
 
 炎天下での連戦も珍しくない子どもたちのサッカー。大切な試合で最大限のパフォーマンスを発揮できるように、普段から汗をかく身体作りを進め、試合を想定した水分補給、体温の下げ方を工夫しましょう。
 

■その他熱中症に関するまとめ

熱中症対策まとめ。熱中症対策は9月下旬まで! (2013年8月29日更新)
 

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並木磨去光 //
なみき・まさみつ
日本代表アスレチックトレーナー。スポーツマッサージ・ナズー代表。トレーナーとしてW杯、五輪日本代表をサポート。ケガ人の治療、マッサージによる疲労の回復、コンディショニング、リハビリテーションなどを担当。今年行われたAFC U-16選手権では久しぶりにアンダーカテゴリーのトレーナーを担当。チームの準優勝、2013年に行われるU-17W杯出場権獲得に貢献した。
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取材・文/大塚一樹 写真/田川秀之(JA杯全農チビリンピック2013全国決勝大会より)

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