サッカーなどの全身スポーツにケガとキズは付き物。元日本代表の福西崇史さんも、例外ではなかったようです。そこで、お母さんたちはわが子のキズにどう向き合うといいか、また有効なケア方法は何か。今回はスポーツトレーナーの金子聡さんと経験談を踏まえて語り合っていただきました!
■その知識は正しい? 家庭でのケアこそが明日のパフォーマンスに直結します
── サッカーでケガしやすい部分というはありますか。
福西さん (以下、福西) 「僕はヒザや太ももの外側をしょちゅうケガしていましたが、それってプレーの個性によっても変わってくるんですよね」
金子さん(以下、金子) 「スポーツをしている子どもは、同じ箇所にキズをつくりやすいですよね」
福西「治ってないうちにまたケガをするから、キズが重なって!痛くてかゆくてツラかった記憶があります。僕の場合、母がいつもケアしてくれていたんですが、当時は赤チンとかだから。とにかく空気にあてて乾かしたほうがいいと言われていたけど、寝るときパジャマや布団にキズが貼りつくこともあって大変でした(笑)流血事件でしたよ!」
金子「昔は、キズは消毒して乾かし、かさぶたにさせて治療する『ドライヒーリング』という方法が主流でしたからね」
── 最近は、逆の発想の『モイストヒーリング』という治療法が広まっていると聞きました。
福西「そうそう。僕の周りのママさんたちも話してた」
金子「無理に乾かさず、傷口から出る液体(滲出液)を利用して、痛みを少なくキズをきれいに早く治すという方法です。実は傷口から出る液体にはキズを治す力が秘められていたんです。その力を最大限に生かすために傷口を乾かさない(かさぶたをつくらない)ことがとても大切なんです」
福西「昔とは逆の方法が実はよかったという!ケアも簡単ですよね」
金子「①傷口を水でしっかり流す②専用パッドを貼る。そして③経過を観察する。以上の3工程だけです。消毒などはかえって良くないので、不要です。ポイントはパッドで早く密閉すること、そして液体による潤い環境を保つために数日間はきちんと貼っておくことです。途中、経過観察として時折パッドをめくってキズを見る程度で大丈夫なんです」
福西「楽だし画期的だよね。昔は必死に消毒していたもんでした」
金子「モイストヒーリングをするようになってからは消毒液をあまり使わなくなりましたよね。今は、傷口の少し上から流水で異物やバイ菌をしっかり流すだけです。衛生的ですし、モイストヒーリングのパッドは違和感が少なく、痛みが軽減されるんです」
福西「子どもにとっては特に重要ですね。痛いとプレーに集中できず、またキズをつけるのが怖いと本能的に感じることで十分なピレーができなくなりますから。モイストヒーリングの専用パッドは動きにフィットするし、ピッタリくっついてははがれにくいのも魅力ですよね。僕が子どもの頃はガーゼで覆ってテープで貼っていたけど、あれに比べるとつっぱらない分、違和感がない。不安がないからメンタル面でもすごくプレーしやすくなりますね」
金子「そうなんです。キズやケガのケアひとつで心身の両方に大きく影響が出ます。まずは、身近なママたちが日常のキズケアの正しい方法を知ることが最重要です」
福西「正しいと言えば、モイストヒーリングのパッドを選ぶコツって何かあるんでしょうか?」
金子「完全防水タイプがオススメです。入浴中にはがれないし、汗にも強いです。そしてキズの大きさやその部位の動きに合わせた形をしているもの、関節の動きにフィットするタイプのパッドもあるので、お近くのドラッグストアなどで実際に見て、適したサイズの製品を選ぶといいでしょう」
福西「なるほど。はがれにくいと何回も貼り替えないで済むから経済的ですね」
金子「そうですね。数日に1回、パッドをめくってキズが膿んだりしていなければ、モイストヒーリングを継続してください。もちろん最後までキズの観察は忘れずに」
福西「ママたちの負担と労力がグッと減りますね!これはうれしい!!」
──では、最後に読者に一言ずつエールをください!
金子「正しい知識を身につけて適した製品を選んであげてください。その上でどーんと構えてあげると、子どもは安心して多くのことを吸収できます」
福西「子どもが100%思い切りプレーできる環境をつくれるのはママだけ!時にはケガやキズも大事な成長の要素なので、心配し過ぎずに一番身近なトレーナーとして見守ってあげてください」
●日本体育協会公認アスレティックトレーナー、全米認定ストレングス&コンディショニングスペシャリストなどの資格を持つ、最先端のスポーツトレーナー
●お問い合わせ先:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 コンシューマー カンパニー お客様相談室:0120-101110(平日 9:00~ 17:00 土日祝除く)
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文/まえだ絵里 写真/藤井隆弘