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元ベイスターズトレーナー直伝!家庭でできる簡単疲労チェック法【プロから学ぶ疲労回復と夏バテ対策1】

公開:2015年7月 7日 更新:2021年6月18日

キーワード:ストレッチベネクス夏バテ平野元章栄養疲労回復習慣

そろそろジメジメとした梅雨も終わり、暑い季節がやってきます。そうすると、気温の上昇とともに体への負担が増え、夏バテが心配になります。そこで、元ベイスターズのトレーナーを務め、現在はゴールドジム成田千葉店でトレーニング指導を行う平野元章さんに疲労回復に関するお話をうかがいました。サッカーをがんばる少年少女たちのお父さんお母さんは必見です。(取材・構成 木之下潤 写真 サカイク編集部)

 

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■だれでも簡単! 家庭でできる太腿の疲労チェックとは?

――今回は夏バテ対策として「疲労回復」がテーマです。まずは疲労が溜まるメカニズムを簡単に教えてください。
 
「疲労とは、トレーニングや試合で体を繰り返しつかうことで起こる疲れのことです。たとえば、どんな場面で疲労を起こしやすいかと言えば、10m先のボールを奪い合うような短距離を短時間で走るダッシュ、またドリブルで相手を抜くときにつかう切り替えしといった動作です。サッカーはボールを足で扱うスポーツですから、下半身の筋肉に疲労物質が溜まりやすいです。ただ一般的に、疲労は肉体的なものだと思われがちですが、それだけではありません。疲労回復と捉えたとき、メンタルの疲労も考慮に入れる必要があると考えています」
 
――なるほど。特にサッカーでは、どの部位に疲れが溜まりやすいのでしょうか。
 
「もちろん、体全体です。その中でも足裏、下腿(ひざから足首までの部分)の表裏、太腿(ふともも)の表裏、お尻、股関節のつけ根に疲れが溜まりやすい傾向があります。ですから、下半身の動きが鈍くなれば、人間は上半身でそれを補おうとするので、上半身に疲れが生じます」
 
――だから、久しぶりにプレーすると下半身ではなく、意外に上半身が凝ったりするんですね。そもそもトレーナーは選手の何を見て、疲れが溜まっていると判断するのですか?
 
「それは動作です。選手の動きを毎日チェックし、私たちはいい状態と悪い状態を記憶しています。その微妙な違いを見分け、実際に筋肉や関節の動きを体に触れながら検証し、判断をしています」
 
――コーチやお父さんお母さんでも確認できる簡単なチェック方法があれば伝授してくれませんか?
 
「では参考までに、疲労が溜まりやすい太腿(ふともも)のチェックをお教えします。仰向けになって膝を伸ばし、両足を垂直に上げてみてください。もし太腿の裏側に疲労が溜まっていれば、そこが固くなって脚が垂直に上がらず、下がった状態で止まってしまいます。次に、うつ伏せになって両足を膝から下を曲げてみてください。そして、誰かに踵(かかと)を押してもらい、お尻につくかどうかを確かめてみましょう。もし太腿(ふともも)の表側に疲労が溜まっていれば、踵(かかと)がお尻につきません。要するに、いつもの可動域よりも狭くなるのです」
 
[家庭でできる!簡易疲労チェック法]
 
1.仰向けになり片足は地面につけて伸ばし、もう片方の足をまっすぐ空中にあげる。ももうらの筋肉を伸ばすイメージで行う。
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2.うつぶせになり、両足の踵をおしりにつけるように膝から曲げる。太腿(ふともも)の筋肉を伸ばすイメージで行う。
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伸ばしている筋肉が普段よりも固ければ、その分疲労が蓄積されているといえます。この2つの疲労チェックを毎日の習慣にして、その日の疲労の具合を計るようにしましょう。
 

■リカバリーは、肉体の回復だけでなくメンタルの回復も

――では、その疲労を回復するためには何をすればいいのでしょうか。
 
「よくリカバリーという言葉が使われます。ジュニア年代の子どもたちにとって、一番有効なのはストレッチです。重要なことは自分の体の状態に意識を向け、しっかりと思い通りに体を動かせているかどうかを確認すること。筋肉を伸ばしたり縮めたりして、いつもと同じ動きがスムーズにできるかどうかを判断するのです。『あれ、いつもと違うぞ?』と感じたら疲労が蓄積されている状態です。ですので、普段からある程度はストレッチの方法や伸ばす部位を決め、ルーティーン化しておくと便利です。そうすれば、いい状態と悪い状態が比較しやすくなりますから。とにかく、自分の体に意識を向けることを習慣化しておくことがケガの予防につながります。それができなければ体に対するセンサーが働きません。ストレッチは自分の体との会話が大切なのです」
 
――リカバリーはどのタイミングがベストなのでしょう。
 
「試合直後です。Jリーグのクラブは試合直後にストレッチを行い、翌日に疲労回復を促すチームも多いようです。Jリーグのフィジカルコーチの方々によると、試合直後にストレッチを行ったり、翌日に軽いランニングやストレッチを行い疲労回復を促すチームも多いようです。試合で強度の高い運動をしたら一刻も早くリカバリーをやるきべき。それは筋肉をほぐし、体全体を緊張状態から解放して緩める肉体的な疲労回復をはかる一方で、試合直後は興奮状態にあるので、まずは気持ちを落ちつけて心をリフレッシュさせるメンタル的なリカバリーをはかる狙いもあるのです。そうすれば、次の試合への準備にもつながります。プロはシーズンを通して、いいパフォーマンスを維持しなければなりませんから」
 
――だから最初に、疲労には身体的なものとメンタル的なものがあると言われたのですね。身体的なリカバリーで見落としがちなところはありますか?
 
「意外に、足裏は見落としがちです。たとえば、足裏でゴルフボールをグリグリと回してみるだけでも凝りがほぐせます。イチロー選手のドキュメンタリーを見ると、マッサージ機で足裏をほぐしているシーンを見かけますよね」
 
――「お風呂に浸かって脚をもみなさい」とよく昔から言われます。実際に、もみほぐす行為は子どもの体に負担にならないのでしょうか?
 
「優しくもんで“気持ちいい”と感じる程度だったら問題ないと思います。ですが、ストレッチの方がおススメです。そこに科学的な根拠があるのかはわかりませんが、力強くもむのは控えてください。基本的に、お風呂はお風呂の目的を果たせば十分です。先日、専門家の方にこんな話を聞きました。入浴で大切なことは、お湯の温度と浮力と水圧だそうです。具体的に温度は温めの39℃、水量は肩まで浸かれる程度。よく半身浴がいいと言われていますが、あれは水圧が上半身にかからないため、思った以上にちの血液が全身を巡らないのだとか。そうなると、疲労回復という点では、疲労物質が血流によって排出されず、回復効果があまり得られないのだそうです。お風呂は、きちんと肩までお湯に浸かって10分程度入浴することが大事。そうすると、血流によって疲労物質や老廃物が外出されるのだそうです」
 
――お風呂は癒し効果も期待できます。
 
「おっしゃる通りです。半身浴も意味がないわけではありません。リカバリーと表現しても身体的なものだけではありませんから、メンタル的なもの、つまり『心』のリフレッシュも大事なことです。心技体が揃って、はじめてベストパフォーマンスが可能になるわけですからね」
 
次ページ:疲れにくい身体づくりにはげむことも夏バテ対策の一つ!
 

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取材・構成 木之下潤 写真 サカイク編集部

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